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地震災害で家などを失った被災者にとって、避難所は短期間ながらも”第二の住居”になります。住居学科は、「住む人の立場で空間を思考する」学科です。住居学科の知見をいかして、避難者にとって、まるで住まいのように心地よい、よりよい避難所になるための活動が何かできないかと考えたことから、このテーマが始まりました。
2006年度は初年度であり、手探りで杉並区に適用するモデルで研究を開始しました。杉並区ではすでに数カ所の避難所のマニュアルができあがっているところがあり、これを参考にしつつ杉並区役所や住民の防災組織にヒアリングしながら、当時の卒論生内田あやか氏が阪神・淡路大震災に実際に起こったトラブルやその収拾事例を分析し、多くのトラブルを整理・考察してルールブックの内容を考案しました。その資料を本学の防災を専門とする教員を始めとする専門家数名に評価してもらい、さらに内容や体裁を決めていきました。
このルールブックは、杉並区のある避難所における避難所運営マニュアルの別冊に該当する存在ですが、内容は比較的長期にわたる避難所生活の運営ルールづくりにフォーカスして、独自に構成しています。他の避難所にも使える汎用性があると思いますので、これをもとにアレンジすれば、市民のための防災教育や防災訓練にも使えると思います。
都市部で地震災害が起こると、多数の避難者はなれない共同生活にとまどいます。家や家族を失うという極めて悲しい体験だけでなく、集団生活でのトラブルによって苦しむようなことはできるだけ避けなければなりません。そして第二に避難者は、避難所を運営していく主体でもあります。ボランティアや行政・避難所となる学校などの運営者と協力して、自ら運営していくことが求められています。そのためのスキルをもち、自主的によりよい避難所運営をめざしましょう。市民の心の復興が早ければ、それだけ都市の復興も早まります。
ルールブックの構成は、ダウンロードファイルをご覧ください。すべての項目とその内容は、阪神大震災の実際のトラブルを教訓としてつくったものです。
このルールブック作成に当たり、阪神・淡路大震災の避難所生活などの多くの文献に助けられました。深く感謝します。
また、実際にお使いになった例などがあれば、どうぞ私どもにお知らせください。
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