この回では、トラスとは何か、ピン接合の三角形という形態が構造的に安定していることを学ぶ(写真2)。三角形の幾何学的な組み合わせが、曲げをともなわず軸力のみで構成され、前回学んだ引張・圧縮力の組み合わせであることを理解する。用語として、節点、不安定・安定構造、支点(ピン、ローラー)、反力などを理解し、トラスに働く力の種類と示力図との関係を詳述する。示力図を用いて、力のつりあいの基本概念である力が閉じることの意味を演習を通して習得する。
特に小さな変形を学生全員に同時に見せて説明するため、映像で拡大して中継するという教育上の工夫も実施している。つまりCCDカメラでトラスの各部材の引張・圧縮の度合いを拡大して映写し、学生一人一人に見えるようにした。こうした映像を用いて、実物とその詳細を全員が同時に情報共有することは、意識が発散しがちな学生の参加意識を高め、授業への集中を促す効果がある。時には実験プロセスを映像中継することも有効である。
|
 |
| 写真2 トラスの実験 |
この項目は、引張・圧縮の授業回と連動し、次のような手順で授業を構成している。
|
| (1) |
引張・圧縮の回と同じトラスキットを用いて、基本的なトラスを作成し、載荷による各部材の変形を可視化により体得する |
| (2) |
実験で体得したトラス結果を、示力図を用いて理論的に理解する |
| (3) |
示力図の図式解法(演習)を通して、「力のつりあい」概念を習得する。
(数式解法はこの後の静定力学で学習) |
|
この回では班ごとに行う実験結果を用いて、トラスを解説し、実際にレポートで問題を解く(資料2)。未知である反力は示力図から解けることも指導のポイントである。
実験結果と理論値を示力図を使って解説することが今回の主目的である。したがって、この回では示力図は各点における示力図を描くまでにとどめている。力のつりあいという考え方を抽象的に、あるいは示力図の解き方を方法だけで学ぶと、与えられた問題は解けても実構造物への展開や応用力が不足するが、学生は具体的な例を通して学ぶことで、理解が深まっていく。
また実際のトラスの例を写真や資料を活用して見せるようにした。レポートでは、実際のトラスを収集し、その形状や大きさ・種類をまとめるように課題が出される。これによって学生は身近にトラスを多く発見し、その力の流れを考察することで実構造物、構造学へと動機付けられていく。
|