Laboratory of Evolutionary Genetics

動物と色について、遺伝学と進化学の視点から研究しています。

Concept

日本発祥の研究モデル ーメダカー を用いた色彩生物学

動物には様々な色や模様があります。 ヒトにも様々な肌色や毛色があります。
これらの色や模様は、どのような仕組みで作られ、
何の役に立っているでしょうか?
動物の目にも、ヒトが見る時と同じ色や模様が
映っているのでしょうか?
色違いメダカの遺伝子や行動を調べることで、
興味深いことがわかってきました。
Colorful medaka

Research

メダカを研究する理由

メダカは毎日産卵するため、 研究材料がいつでも手に入ります。
世話も容易で、約3ヶ月で性成熟し、一般の人でも繁殖を楽しめるほどです。
ヒトと同じ脊椎動物ですから、研究成果の医学的な応用が見込めますし、
マウスよりも低いコスト/少ないスペースで多くの個体を管理できます。
 ゲノム編集をはじめとする最先端の技術も適用でき

実験動物として大変優れた性質を持っています。

Color Gene

体色遺伝子

メダカには様々な色違い品種がいて、江戸時代にも飼育の記録があります。現在も熱心な愛好家によって、次々と新品種が生み出されています。色違いの原因となる遺伝子の同定や機能解析を通じて、色や模様が形成される仕組みを解明します。研究成果はヒトの肌色や毛色(医療・美容)、水産業などへの応用が期待されます。

梅園魚譜

Mate Choice

配偶相手の選り好み

ヒトを含むほとんどの動物は、生殖の際、何らかの基準(性的嗜好性)にもとづいて配偶相手を選びます。メダカにとっては、体色が一つの重要な基準です。異性の好みは、いつどのようにして決まるのか? 経験や投薬、外科的な処置などによって性的嗜好性は変化するのか? メダカの研究からヒトの理解に繋げたいと考えています。

Mate Choice

Color Perception

色覚

ヒトは網膜に赤・緑・青の光受容体(錐体)を持ち、これらの信号比で色を判断します(三色型色覚)。魚類には4種類の錐体があるので、ヒトよりも多くの色が見えている可能性があります。遺伝子改変メダカの作出などを通じ、四色型色覚で見る世界の理解を目指します。色盲患者の遺伝子治療は、目指すゴールの一つです。

GFP Transgenic

Publication

いくつかの成果をご紹介します。(研究室設立以前のものを含みます)

Gene Cloning

色違いメダカの原因遺伝子

Sequence Electropherogram

日本で古くから知られる色違い品種であるヒメダカ(b)、色消しメダカ(ci)、アルビノメダカ(i-3)を調べたところ、それぞれslc45a2somatolactin alpha (SLa)、pink-eyed dilution 遺伝子の突然変異体でした。slc45a2 pink-eyed dilution は、ヒトを含む哺乳類における先天性の白皮症の原因遺伝子であり、人種間の肌色の差にも関わっています。

Somatolactin

魚類特有のホルモン

chromatophores

ci が失ったSLaは、成長ホルモン(growth hormone; GH)に似たホルモンですが、陸棲の脊椎動物にはその遺伝子がありません。水棲脊椎動物に特有の生理活性(浸透圧調節など)が予測されていますが、ci もSLaを過剰に分泌するメダカ(soma)も普通のメダカ同様に元気で、体色以外に目立った特徴はありません。主に体色調節に関わるホルモンと考えられます。

Unsexy Medaka

モテないメダカ

Medaka Face

モテる人がいれば、モテない人もいます。メダカはどうでしょうか? 幾つかの色違い系統を使って配偶相手の好みを調べたところ、ci がモテないことがわかりました。SLaを失ったのがci ですから、SLaを大量に分泌するsomaは大層モテるだろうと期待したのですが、結果は逆で、更にモテなくなりました。過ぎたるは猶及ばざるが如し。体色にも適度な色合いがあるようです。

Sexual Preference

なにが好きで、なぜ好きなのか。

Okazaki Large Spectrograph

ci とsomaがモテないのは、本当に体色のせいでしょうか? 白色光の代わりに単色光(1種類の波長しか含まない光)を照射して、色の違いがわからない状態で実験すると、ci もsomaもモテるようになるので、形や匂いではなく、確かに色が異性を選ぶ基準です。異性の好みは育った環境の影響を受けつつ形成され、一度形成された好みはその後ほとんど変化しないようです。

Color Blindness

色盲メダカの色覚

Red Colorblind Courtship

ゲノム編集技術を利用して、一部の錐体が機能しない色盲のメダカが作れます。色盲メダカは、普通のメダカ同様に元気ですが、配偶相手のこだわりが弱くなります。ヒトの色盲患者と同様に、光のスペクトルを見分ける能力が低下した結果、体色を区別しにくくなったと考えられます。※文意を明確にするため、あえて色盲(color blindness)という用語を使用させていただきます。

Giant Medaka

成長ホルモン過剰メダカ

Growth Hormone Transgenic

SLaとGHは類似したホルモンですが、ci(中段)にSLaを過剰に分泌させるとsoma(下段)、GHを過剰に分泌させると巨大メダカ(上段)になり、生理活性は明確に異なります。巨大とは言え、体重増加は約二倍にとどまり、マグロのようにはなりませんでした。メスは卵形成をほとんど行わず、成長と生殖は、ある意味相反する生命活動と言えそうです。


Member

深町昌司

Shoji FUKAMACHI

日本女子大学 理学部 物質生物科学科 教授

72年生。流山市立江戸川台小学校、流山市立北部中学校、千葉県立東葛飾高等学校、東京大学理学部生物(動物)学科卒業。東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻博士課程中退。博士(生命科学)。青年海外協力隊(平成7年度2次隊 ザンビア 理数科教師)、東京大学大学院新領域創成科学研究科助手、日本学術振興会特別研究員、Human Frontier Science Program Long-Term Fellowなどを経て、10年に日本女子大学就任(准教授)、19年より現職。スクーバダイビング、温泉、酒、テレビゲームを愛する、人見知りの内弁慶。バイオリンが弾ける。

Shoji with Gorilla

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About Us

研究室概要

研究室名

日本女子大学 理学部 物質生物科学科 進化遺伝学研究室

所在地

〒112-8681 東京都文京区目白台2-8-1 泉山館2階

設立

2010年04月

専門

遺伝学、進化学、行動学

主な研究材料

ニホンメダカ(Oryzias latipes/sakaizumii

主な研究テーマ

体色遺伝子、配偶者選択、色覚

お問い合わせ先

E-mail: fukasho@hotmail.com