miya akiko architecture laboratory
ぼんやりとできる場所についての研究
心理的距離を持って現象をみつめる
箕輪久子
通勤・通学で毎朝駅まで自転車を漕ぎ駐輪場に止め、夕方になり再び駅から駐輪場へと自転車を迎えに行く繰り返しのリズム。その中で混雑した電車から降り、たくさんの自転車の並ぶ駐輪場に佇む時間は、一日の中でONとOFFが、公と私が切り替わる時である。ほっと一息空を見上げる人、電車の行き来を眺める人、誰かに電話を掛けている人、鼻歌を歌いだす人。家に帰る少し手前、思い思いの時間が流れ始めている。そんな駅前の駐輪場の上にレンタルスタジオとカフェを架けたい。仕事帰りに夕食を取る人や、家で疲れて眠る前に趣味のピアノを少し練習しようという人、読書をする人。思い思いに様々な行為が隣り合うことでふと思いがけない風景に出会うようになる。多彩な物事が混ざり合う中でぼんやりと他者のひと時を垣間見つつ佇めるような、常にたくさんの色を受け止めて堪えている大きな皿のような場所を、住宅街と駅のあいだにそっと置きたい。
自身の個人的経験を材料とし、日常の中でぼんやりとするために空間・建築ができることを考えた。ぼんやりとしている当事者側の心理的、立場的、空間認識的特徴を諸要素に分解することなくひとつながりに広いあげることを考え、肯定したいと思った。
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