miya akiko architecture laboratory

 

視覚以外の諸感覚が前景化する建築

焦点のしぼられない体験

大野 蓮

 

私たちは普段から、常にいろんなものを見ているし、目ばかりでなく、様々な受容器を通じて世界を知覚しているが、どの感覚よりも視覚に負っているのではないだろうか。スマートフォンをはじめとするデジタル社会では、多様な情報を視覚から取り込み、遠くにいる人とでも繋がり合うことができる一方で、わずかな匂いや影から想像を巡らすことや、気配や手触りを感じとる機会がとても減っていることに疑問を感じた。そこで、歴史的にこの社会視覚の優位が進んだ背景から、なぜ視覚が優位になってしまうと生き生きとする体験が生まれないのかを探り、そこから視覚に独占されない体験を日本の絵画や、実体験から解き明かし、設計方法とする。そして、得られた断続と重層の関係を踏まえ、現代都市における美術館を提案する。視覚以外の感覚が開放されることで、自分を取り囲む世界と自分の身体が通じ合う。取り囲む世界とは、ものだけでなく、他者や空気、見えないものまで含まれる。視覚の操作によって、生きられる経験を都市に取り戻す研究と制作である。

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