miya akiko architecture laboratory

 

風景をわたしのものにする

ー手の先のエノコログサから夕焼け空まで​ー

武田恵実

 

小学校の帰り道、エノコログサを触りながら帰った。手の先のエノコログサから遠くに広がる夕焼け空まで、その全てがわたしのもので、自分の世界が永遠に続くようだった。このように、帰り道は普遍的な場所でありながら、個人にとっては特別な私的世界となる。子どもの頃の帰り道は経験が更新・蓄積され、私たちは時間的連続性の中にあった。1つ1つの経験が空間的・時間的に断絶される大人の帰り道こそ、他者の痕跡や街の営みまでを自分自身の延長に感じる私的風景となるべきだ。風景を私的なものにする視点に基づき、アールの壁と高い直立壁で主に構成された駅前広場は、構造が出来事の次元に吸収され、経験は内から外へ拡張される。足元の小さな世界と大いなるものの内にある自らを交互に知覚する。何気ない日々を、かけがえのないものに感じて欲しい、今その瞬間を生きる建築。

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