miya akiko architecture laboratory

 

散歩知から考える環境のあり方

 ―建築と体験者との新たな応答性―

宇治萌花

 

散歩を通じて⼈と環境の関係を探り、新たな建築のあり⽅を提案する。散歩は明確な目的やゴールを必要とせず、歩くこと自体が目的となる。また、「⾒る」と「⾒える」が交錯する中で、半分意識半分無意識的な状態が⽣まれる。これらの特徴は「中動態」と通じ、⾏為と主体が⼀体化する状態を指す。散歩の⼼地よさは、中動態的な意識の状態と環境の様々な要素が「⾒える」ことによって成⽴すると考える。この知覚を「散歩知」と定義し、現代社会における⼼地よさの回復につなげる視点とする。

設計手法では、単に散歩道を再現するのではなく、散歩知の高い場所を分析し、心地よさを構成する要素を建築へ転換する。柱・床・壁を通じて環境的・心理的・身体的要素を再構築し、機能や形式に「揺らぎ」を持たせることで、多様な解釈や利用を可能にする。それらの建築は、中動態的であるといえる。散歩知を用いた設計により、建築と体験者が中動態的に交わる結果、心地よさが生まれ、人々が建築で過ごす行為そのものを豊かにすることを期待する。

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