miya akiko architecture laboratory
感傷主義的建築
-普段は想いを馳せない自分の感情や記憶との邂逅を果たす空間-
山口早紀子
本提案では「感傷主義」に基づき、現代の子どもたちが抱える行き場のない不安や孤独を受け止める建築として、小・中学校及び特別支援学校の設計を行った。
「感傷主義」とは、理性や意志よりも個人の感情面に支配される傾向の総称である。例えば、幼い頃に押入れの重みある襖をそっと開くと、そこには仄暗い世界が広がっていた。身をかがめてそこに入ると周囲の世界はたちまち遠のき、自分だけの世界が広がっていく。この時、「収納」という機能的な側面や実際の大きさを客観視している時とは違って、目の前の空間を主観的に捉え、隠れ家のような親密さを覚える。本提案では、このような空間を『感傷主義的空間』と呼ぶ。
設計段階では、自身の原風景であるベネチアの都市を参照してスケールを調整した。さらに、敷地周辺のコンテクストから読み取ったグリッド上に、壁の操作によって無数の『感傷主義的空間』をシワのように織り込んで配置し、全体を構成した。
© miya akiko architecture laboratory 2018 All rights reserved.