荷電粒子の動き


 磁場 が一様で、初期速度 が 磁場に垂直ならば、粒子は磁力線の周りを円運動します。
 オーロラとは、荷電粒子が磁力線に沿って、地球の上層大気に侵入して起きる発光現象です。そして、オーロラ荷電粒子がどこまで突入できるかは、その粒子の初期のエネルギーに大きく左右されます。例えば100eVの電子は約300kmの高さで大気中の原子、分子と衝突し、それらを電離させてエネルギーを失ってしまいますが、50keVの電子は110km付近まで止められずに侵入できます。つまり、オーロラの光っている高さを正確に測れば、そのオーロラをおこすべく、極地に降下している荷電粒子のおよそのエネルギーが推定できるのです。
 荷電粒子は磁力線に巻きついて、らせん(gyration)運動をし、その半径は磁場の強さに逆比例します。したがって、荷電粒子が地球に近づくにつれて、磁場にとらえられているように半径が小さくなりながら進みます。磁場の強さが荷電粒子のエネルギーよりも強くなると粒子はそれ以上進めず、いかにも鏡に反射されたように元の方向へ戻っていきます。この折り返しの地点を磁場の鏡点といいます。

1.らせん運動(gyration)
らせん運動の角度 をピッチ角(pitch angle)といいます。 が小さい(中心線に沿う)ほど、荷電粒子が極に近づきオーロラが発生します。電子のらせん運動のピッチは、地球に近づくと磁場が強くなるために、きつくなってきます。そしてピッチ角が90度になると、電子は上にむかってらせん運動をはじめ、赤道面に戻っていき、南半球に向かいます。したがって、たとえ電子のエネルギーが高くても、大部分の電子は地表数百kmのところまでしか侵入できません。このため、電子のらせん運動のピッチをゆるくし、しかも加速しなければ、地上100kmの高さまで侵入することはできません。

2.ミラー運動(mirror motion)
磁力線に沿った方向に磁場の強さが変化していると起こります。回転粒子の磁気モーメントμは不変です。熱運動によって粒子が弱磁場領域から強磁場領域へ動いたとき、粒子にとってはBが増大するわけで、μを一定に保つためにv⊥は増大することになり、全運動エネルギーが一定なので、v//は減少することになります。もしBがのどの部分で十分に強ければv//は0となり粒子は弱磁場領域へと反射されます。このように非一様な磁場では磁気ミラーが形成され、これに挟まれた領域で往復運動します。

3.grad B ドリフトと湾曲ドリフト(grad B drift , curvature drift)
ドリフト運動には、grad B ドリフトと湾曲ドリフトの2種類があります。磁力線に垂直な方向に磁場の強さが変化しているときに起こるドリフト運動をgrad B ドリフト、磁力線が湾曲しているときに起こるドリフト運動を湾曲ドリフトといいます。 Maxwell方程式から、
▽・B=0
▽×B−εμ(dE/dt)=0 ―――@
@式は、湾曲ドリフトでは =0なので、
▽×B=0   ―――@'
と書き換えられ、これらの式を満たさなければなりません。 @'式から、湾曲ドリフトのらせん運動の方向は、自然と湾曲に沿う形になることがわかります。 磁力線が湾曲しているとき、grad B ドリフトは常に起こっています。