人体への影響

 

映像はときに人体に影響を及ぼすことがあります。その例についてまとめました。

 

 

ステレオ映像による疲労

ステレオ映像では、本来2次元である画像を目の生理的作用や、心理的作用を用いて3次元に見せているので、長時間見ていると頭痛などの症状が現れます。

人はものを見るとき、目の寄るところ(輻輳角)の調節とピント調節を行います。この2つの調節はリンクしていて、2次元の画像を見るときには同じところに合うようになっています。しかし、ステレオ映像では輻輳角は画像の見えるところに合うように調節され、ピントは元の画像に合うように調節されます。このようなことから不自然さを感じ、それが原因で眼球運動のバランスが崩れ、目に過度のストレスがかかり、ストレス反応として、頭痛などの症状が現れます。

目に対して、不自然な入力や、過度の入力はストレスとなります。今後はステレオ映像による何が原因でどんな症状を引き起こすのかという、「ストレスとストレス反応」の関係を見つけ出すのが課題です。

 

 

ポケモンショック

ポケモンアニメの冒頭のストーリーを見ていた子どもたちが、番組の終わりころから気分が悪くなり、続々と倒れた事件(19971216日発生)

症状は、けいれん、ひきつけ、失神(意識混濁)、めまい、はきけ、不快感、頭痛などがあり、救急車で病院に運ばれる子どもが続出しました。

この事件の原因として以下の理由が考えられます。

<原因>

@      ある映像が通常では起こらない眼球運動を誘発し、船酔いのような症状を引き起こしたと思われる(視性眼振抑制)

A      各方向に背景が動く異常な動きに、視聴者が視点を固定してがまんして見るという映像がたくさん出てくる

B      赤と青が閃光《せんこう》のように交互に刺激する場面が数秒間続き、その光は網膜の周辺と中心部という異なる部位を交替刺激する特殊な光である

C      映像への意識や注意の没入度が非常に高く、画面からほとんど目をそらすこともなく視聴しているため、発作を起こす可能性のある視聴者が光刺激の発生に対し光過敏性発作を回避することが難しかった

 

B    の刺激を受けると、PSEphoto sensitive epilepsy):光過敏性発作が起こります。

光過敏性発作とは視覚に飛び込んだ光刺激に対する異常反応の症状のことを言います。

光過敏性発作は次のような過程で起こります。

@     光刺激や、空間パターンのちらつきなどの刺激を受ける

A     脳の特定部位が強く刺激される

B     興奮が脳全体に広がる

C     脳全体が興奮し、正常に働かなくなる。

D     めまいなどの症状がでる。

     光過敏性発作は若いときに発症するといつまでも繰り返す傾向があり、大人になってからは発症しません。

 

<その後の対策>

このような事件の後、光過敏性発作を起こす恐れのある映像に対して、PSEの権威であるハーディング教授が作った基準を満たしているか、映像をチェックすることが義務づけられ、盛んに行われるようになりました。そのチェック内容は以下の通りです。

@     赤フラッシュが1秒間に3発以上点滅する

A    画面の大部分をきわだった一定の空間パターンの画像が占めている

(特に縞模様、渦巻き模様のような規則的なパターンが動いたり、明滅したりすることは人体に有害である) 

B     光フラッシュ(赤、青の光の点滅)がある

C     @ABが低レベルではあるが長時間持続されている

※ この4つの項目はハーディングマシンを使ってチェックします。

 

この4つに当てはまると「光過敏性発作を起こす恐れのある映像」としてみなされます。

このほかに“発作を起こす可能性のある視聴者が光刺激の発生に対し光過敏性発作を回避することが難しかった”という点について、十分に離れて明るい場所で視聴するよう視聴者に促すことをガイドラインで定めました。

 

電波(放送)関連についてはITUという国連下部組織が監視を行っていますが、ビデオ、ゲームなどについては具体的な基準が設けられていないので、これについてもハーディングの基準を満たしているかチェックする必要があるといわれています。