定行研究室では、子どものための環境の研究を中心に、集合住宅や高齢者、知的障害者など広い分野における住環境の研究に取り組んでいます。時代と共に変化するライフスタイルや地域コミュニティの在り方を、アンケート・観察などによって調査し、住居学・生活学の視点から分析しています。
保育所には子どもの成長を促すより良い環境が必要とされ、特に子どもたちが長時間過ごす室内環境は重要と考えています。研究室では、子どもの年齢に応じた多様な活動を促す室内の設えや子どもたちにとって健康で快適な室内環境などについて、子どもの生活行為や遊びに関する観察調査、および環境調査機器を利用した温湿度などの実測調査などから研究しています。同時に、保育所の園庭も子どもたちの大切な空間であり、子どもの遊びなどの観察調査から園庭環境のあり方なども研究しています。調査の対象とする保育所は、自然豊かな郊外にある施設から近年都市部に増えているビル型の施設まで幅広く、それぞれのケースについて分析を行い、各保育所の保育方針なども把握しながら保育環境のあり方を探っています。他にも、保育環境をどのようにデザインするべきか、家具、収納空間、床材、環境設備に至るまで様々な観点から、保育所に関する研究を積み重ねています。
放射能と共に生活することを強いられた福島県において、安心・安全を確保した日常生活の回復を目指すために、子どもたちの生活環境の現状を把握し、必要とされている支援の在り方を考え、実践していく研究を行っています。2011年から継続して、福島県の全保育施設を対象にアンケート調査を実施してきました。同時に福島の保育施設にヒアリング調査も行い、これらの調査を元に、震災後の保育環境の現状把握などを行ってきました。また2013年には、福島県のS保育園への支援として、子どもたちが安心して遊べる新しい砂場作りを行いました。様々な専門家の方たちと共にワークショップや話し合いを重ね、砂場のディティールを考えていきました。砂場が完成した最後のワークショップでは、保育士・子ども・保護者と一緒にサンドアートを行いました。現在は同じくS保育園にて、子育て支援施設と新しい園庭を作る計画が進行中です。本研究室では福島と関わりを持ち続け、福島に必要な支援は何か、これからも考え続けていきます。
都市部における空き家の実態と空き家を活用した居住支援について、豊島区居住支援協議会からの受託研究を行っています。豊島区内を対象に、空き家の有無を調べるための街を歩きながらの目視調査、所有者などを調べる登記簿調査、さらに具体的に空き家問題を把握するためのアンケート調査やヒアリング調査などを行い、空き家問題の実態把握を続けています。空き家活用という観点からも、活用できる空き家はどのような建物か、反対に活用できない空き家の事情は何か、など活用の可能性を探っています。住まいを確保しにくいとされる住宅確保要配慮者、特にひとり親世帯などに空き家を活用できるのか、そうした方々の住まいのニーズをくみ取りながら都市部の空き家問題について考えています。調査の際には、対象地域の町会や地域住民の方にご協力をいただき、研究を行っています。
UR団地や都営住宅などの集合住宅に関する研究や、そこで暮らす人々の研究を行っています。特にこのような集合住宅における高齢者居住の問題は深刻になっているといえます。団地・集合住宅には多世代が居住し、豊かな緑があふれ、団地敷地内には地域の拠点となる施設や場所としての魅力もあります。研究の視点は、子育て世代から高齢者世帯まで様々で、居住者へのアンケート調査やヒアリング調査、周辺施設の調査、居住者の行動観察調査、団地内イベントにおける観察調査、施設空間の使われ方調査など、様々な角度から研究を行っています。また、集合住宅内の共用部の利用実態やマンション内コミュニティに関する調査、居住者参加型のワークショップの実践、地域包括支援のあり方など、多世代に対する団地内の住環境・居住空間のあり方について、幅広く研究しています
日本のみならず、スウェーデンやドイツをはじめとする世界の子ども環境や住まい環境についても調査・研究しています。2015年3月にはスウェーデンのウプサラ、リンショーピン、ヨーテボリを訪問し、現地の学童保育・保育施設などの見学や、北欧教育学会にて研究内容の発表などを行いました。また、日本女子大学でスウェーデンの方を招いた国際シンポジウムを行い、スウェーデンと日本の子どもを取り巻く環境について意見交流を行いました。
発表論文:
Importance of children’s time and space for sustainable society-Through
focusing on swedish leisure time center
須郷 詠子 / 浅野 由子(学術研究員)
Necessity of Ideal Children’s Environment for Sustainable Society−Through Children’s Everyday Life in Child-care Facilities in Fukushima− 藤井 里咲