【学生インタビュー】JWU推し大生 Vol.1

文学部史学科4年生 井上捺稀(いのうえ なつき)さん

JWU PR アンバサダーです!
「好き」に一途な学生をPRアンバサダーが深掘りし、魅力をお届けする新企画「JWU推し大生」
第1弾となる今回は、文学部史学科4年生の井上捺稀さんに、文学部日本文学科3年の今井がインタビューを行いました!
大学での学びや好きなものについて教えていただきました。

演劇は今の自分をつくる大切なパーツでもある

― 今は大学でどのようなことを学んでいますか?

卒業論文の執筆と博物館学芸員の資格を取るための勉強が今の私の二本柱になっています。
卒業論文に関しては、日本の商業演劇の歴史について調査したのち、アンケート調査を通じて現代の観客のニーズを研究できたらいいなと思っています。ひとえに商業演劇といっても、江戸時代初期に誕生した歌舞伎から始まり、最近では宝塚歌劇団とか2.5次元ミュージカルとかいろんな形がありますよね。時代の中で演劇が変化していく中で、どういったニーズがあって、興行主としてどういうものを打ち出していくかを、研究出来たらなと思っています。
博物館学芸員に向けた学びは、もともとは史学を学ぶ上で文化を修復し、保全していく活動を経験しておきたいと思って履修していました。学芸員は歴史や文化を老若男女にも伝わるように展示を用意する一方で、史料を保存していくための手入れも行うんです。 たとえ学芸員にならなくても、相手に何かを伝えるためにどうすべきかということや、歴史を守るってどういうことなのかは博物館の外でも役に立つことなので、学ぶことが出来てよかったと思っています。

― 卒業論文の話のなかで「演劇」という言葉がでてきたのですが、普段は観劇されたりするんですか?

私はグランドミュージカル(1000人以上の劇場で上演されるミュージカル)を見ることが多いです。あとは、劇場でアルバイトをしているので、その関連でストレートプレイ(台詞だけで物語が進行する演劇)と呼ばれる演劇も観ています。

― 演劇に触れる時間が結構多いんですね。

多いですね。きっかけとしては高校2年生の夏に帝国劇場で「レ・ミゼラブル」を観劇したことです。自分の人生を変えたターニングポイントのような作品ですね。高校1年生の時から演劇部に入っていたので、演劇を通じて他者に感情を伝える魅力とか、虚構の世界を作り上げる面白さは実感していたのですが、プロの演劇は見たことがありませんでした。そんな時、母に誘われて観た“レミゼ”の世界は、幕が開いた瞬間に鳥肌が立って、1幕、幕間、2幕ずっと涙が止まらなくて、「なんだこれは」と思ったんです。そこではじめてミュージカルとか商業演劇に魅了されて、のめり込んでいきました。
ちなみに、就職活動の時に、自分が今まで観た本数を数えてみたところ、90作品・100公演くらいだったんです。数えてみて自分でも驚きましたが、それほど演劇は今の自分をつくる大切なパーツでもあると思っています。

高校時代の演劇でスペインの国王、エンリケ4世を演じる井上さん

― 今まで見た中で一番印象深い作品は「レ・ミゼラブル」ですか?

難しいな…今のところ自分の中で同率1位として、「レ・ミゼラブル」「マリー・アントワネット」「マタ・ハリ」がすごく好きですね。
好きな作品は何ですか?と聞かれたら止まらないのでこれくらいにしておきます(笑)。偶然にも3つの作品に共通していると思ったのは、史実をもとにした作品が好きなのと、意志を明確に持って行動に移している女性が出てくる作品であることでしょうか。

成人の日に思い入れのある帝国劇場と撮った一枚

自分のやりたいことに向かっていく中で磨かれていく途中

― 大学入学後のギャップについて、何か感じたことはりましたか?

大きなギャップはなかったというのが正直な感想です。というのも、私は日本女子大学附属中学・高校に通っていたので、なんとなく大学のイメージがついていました。それに、同じく日本女子大学に進学した先輩からお話を伺っていたのもあって想像と全然違うみたいなことはなかったです。
ただ、強いて言うとするならば、高校生の時に大学生に対して思っていた、洗練されていて、自分にはなれないみたいなイメージとは違い、むしろ洗練されすぎてないというか、みんな自分のやりたいことに向かっていく中で磨かれていく途中という印象です。

―「磨かれていく途中」とありましたが、大学に入って4年間過ごしてみて、井上さん自身の変化はありましたか?

すごく難しい質問ですね。強いてあげるとするならば、変化を楽しむよう意識するようになったことでしょうか。
私の大学生活は2年生になった時に新型コロナウイルスが流行し始めたので、2・3年生はほぼ大学に行けず、4年生でまた行き始めるみたいな感じでした。オンライン授業が導入された頃は先生も学生たちも試行錯誤しながら授業をしていて。それこそ演劇も観劇予定が全部なくなってしまって、さらに友達とも会えないのできつかったです。元々インドア派なので家にいることは苦手ではないのですが、余りにも家にいすぎて苦痛になってしまいました。初めの一年間はかなり鬱々としていたのですが、そこで改めて楽しいことを自分から見つけに行くことの大切さを学んだ気がします。変化する環境を憂いても辛くなるだけだけだなと思ったので。
他に自分の成長ではないのですが、“誰かと”共に過ごすことがいかに素敵かということに気づきました。3年生ではPRアンバサダーの一員になり、実際にみんなで交流しながらものづくりをすることがとても楽しくて、良い経験をさせていただいているなと感じています。もちろん難しいこともありますが、失ったからこそ気づいた、人との交流の大切さは痛感したなと思いますね。

― コロナウイルスの影響は大きかったですよね。今のお話でPRアンバサダーのことが出てきましたが、実際に多くの人と活動をするなかで心がけていることはありますか?

私は、去年も今年もPRアンバサダーの中でリーダー職をやらせていただいているんですけど、高校で演劇部の部長やっていた時の失敗や、やってよかったことを活かすようにしています。例えばチームでモノづくりをするとき、人数が増えるほど、メンバーが同じベクトルで進んでいくことはほぼ不可能に近いですよね。それぞれアルバイトとかサークルの予定があり、PRアンバサダーの活動を主軸にできる人ばかりではないので。あまり参加できないメンバーを、どのように同じ目標に向かって歩めるようにするのかというのはリーダーとして課題ですし、常に気を付けていることではあります。そのために何が大事か自分なりの結論としては、学年関係なくいかに楽しめる環境をつくるかだと思っています。やっぱりみんな楽しいことって続けたいじゃないですか。それが楽しさややりがいのようなプラスの感情よりもマイナスの感情が勝ってしまうとみんな離れていくと思うんです。だから私はチームでモノづくりをするときの環境づくりをしっかりやることを意識しています。背中で魅せるリーダーよりも、礎を築くほうが性にあっている気もしますし(笑)。

自分の“好き”に対して一直線に進んでもいいと思える、自分を確立する上でとても大事な環境だった

― 次に大学の好きなところについて教えてください。

私は女子校だからこそ、女性であることに捉われない環境がとても気に入っています。例えば、一昔前の考え方で「女性は家に入って家事をやるべき」とか、「女性だからこうするべきだ」といった概念がないので、性別で人を量るのではなく、その人の個性をしっかり見るような環境だと思います。私が通っていた附属の中学・高校でも、もちろん大学でも、ありのままの自分を解放している学生がすごく多いと感じます。「私はこれが好きです」ってみんなが主張できる環境でした。だからこそお互いの個性がはっきりしていて、その個性を互いに尊重できたのがすごく素敵なところだと思っています。私は“演劇好きキャラ“だったのですが、学校を小さな社会だと捉えた時、自分がその道のプロフェッショナルだと言われている気がして自分の”好き“に自信が持てました。だからこそもっと自分の”好き“に対して一直線に進んでもいいと思える、自分を確立する上で非常に大事な環境だったと思っています。

― 私は共学の高校に通っていたのですが、井上さんのおっしゃる通り日本女子大学に入学して好きなものを前面に出している人が多くてびっくりしました。実際にそれがきっかけで交友関係も広まったりするので、私も素敵な環境だなって思っています。

今は特にジェンダーに関して色々な考え方がある世の中ですよね。女子校不要論も耳にしますし、社会の流れとしてはその通りだと思うので「女子校いいよね」って言いきるのも難しいです。日本女子大学ではトランスジェンダーの方も入学を認める流れがありますが、でも入学する際に心の性または身体の性が女性という線引きがあるわけじゃないですか。そういう意味では女子校は現代に対して逆行していく存在なのかもしれません。ですが、女子校だからこそ性別に捉われない環境があることもみんなに知ってほしいですし、それが良くも悪くもこの学校の特徴だと私は思っています。

大切な恩師からいただいた「本気でいることの大切さ」忘れたくない

― では、今後の目標について教えていただきたいです

私は来年の春にエンタメ業界に就職するのですが、将来的に高校生の頃から憧れた職業に就けるようこれからも精進していきたいです。このように夢が叶えられる環境に入れたのは、自分の実力だけではなく、家族のサポートや学校の経験等、色んなものがあって掴んだ場所だと思っています。社会人になるから新しい自分でいようとは思っていなくて、これまで通り、私は私らしくいるのと、自分の軸はずっと持っていたいと思います。
沢山のミュージカルを観劇してきた中で、意志をもって輝く女性たちの姿が自分の目に魅力的に映っているので、私もそんな人間でありたいです。また、演劇部の恩師であるコーチからいただいた「本気でいることの大切さ」は忘れたくないと思っています。作り手が生半可な気持ちで生み出した舞台は、絶対にお客様を魅了することが出来ないと思っているので、今後も私が演劇と向き合うときはこの気持ちを忘れずにいたいなって思っています。

― 演劇が井上さんをつくっている大切なパーツなのが伝わってきました。恩師の方との関係はとても素敵ですね。

そうですね。演劇部では特にコーチや顧問の先生から、演劇を越えて人生で大切なことを沢山教えて頂きました。顧問の先生私の憧れと言いますか…ロールモデルなんです。先生は学年問わず部員1人ひとりを常に見てくださっていて、間違った事をした時は厳しく正し、一方で頑張りを褒めてくださる先生でした。とりわけ引退した時に、先生から頂いたお手紙が印象に残っています。私が部長を務める中で、大変なことも多かったのですが、そうしたことも含めて3年間の頑張りを褒めてくださる言葉が並んでいて、号泣したのを覚えています。すごく愛で溢れた先生で大好きです(照)。最近お会いできないのが本当に残念で仕方ないくらい、すごくかっこいい先生なんですよ。なので……私の中のロールモデルですね。

― 顧問の先生が全員をちゃんと見てくれる方っていうのと井上さんがおっしゃっていたPRアンバサダーでも立ち回り方は共通するところがありますね。

そうかもしれないですね!今気がつきました!
私の好きな言葉で「鳥の目のように蟻の目のように」という言葉があります。鳥のように空を飛んで全体を俯瞰することと蟻のように細やかなところまで目を配ることの両立の大切さという意味なのですが顧問の先生はまさにその言葉が似合う方ですね。そういったところも今私が大切にしているのと同じだなと再発見できました(笑)。

―最後に後輩へのメッセージをお願いします。

私の体験談になってしまうのですが、自分が苦しい時や本当に辛いときに心の支えになったものを大切にしてほしいです。例えば仲間や家族、友達、推しとか、そういったものは今後の人生でも自分にとっての栄養剤であり、原動力であり、生きるうえですごく必要なものになると思います。限られた学生生活なので、思う存分、後悔の無いように思い切り楽しんでください!

― ありがとうございました!

編集後記
今回、井上さんにインタビューをさせていただく中で、演劇に関することをとても楽しそうにお話しされている様子が印象的でした。また、「好き」に一途で、それを学びや仕事にもつなげているところがとても素敵だと感じました。