写真左:麻原さん、右:Tさん
日本女子大学では、女性が社会的・職業的自立に向けて必要な知識や技能、態度を身につけ、社会で力を発揮できる思考力と実践力を育むことを目的として、全学部共通カリキュラムである「JWUキャリア科目」を展開しています。
本特集では、「JWUキャリア科目」を7回に分けて、学生視点でご紹介します。
最終回では、麻原千愛さんに「現代女性論」の内容と魅力を伺いました。
(インタビュアー:4年 Tさん)
身近なニュースや広告から、ジェンダーについて考える
― よろしくお願いします。まず、履修した科目について教えてください。
「現代女性論」という科目を履修しました。
現代女性論1と2ってなっていますが、前期と後期で、先生も内容も一緒です。だから、前期取れなかったら後期取れば大丈夫です。
―1と2で先生も内容も違うパターンあるよね。
そうなんです。授業名が一緒だけど全然違うとか、ありますね。シラバスはちゃんと見ないとだめですね!
― 授業はどんなことを?
内容は、性別に対してのイメージが無意識にあると思うんですけど、それがどのように作られていくか、イメージ化されることでどういう問題が起こっているのかなどを学びました。男性女性の2択じゃなくて、LGBTQ+もあって、それに関連して、パートナーシップ制度や同性婚といった問題もあります。全然分からないところから学んでいける、教えてもらえる授業です。
― 私は、例えば「レズビアンとかゲイとか直接的すぎる言葉かな?」と思って、言葉を選んでしまうことがよくあります。先生はその躊躇をしてしまわないように、もっと根本的な考えを短くわかりやすく教えてくれるんですか?
そうなんです。確かに専門的ではあるんですけど、専門書みたいな言葉じゃなくて、全然知らない人でもわかりやすい説明で、履修しやすいと思います。1回目の授業で、話し言葉と書き言葉の違い、引用の仕方など、レポートやリアクションペーパー(授業のあとに感想等を書いて提出するもの。出席確認も兼ねていることが多い。)の論理的な書き方のコツを教えてくださいました。
― 一番知りたいけれど、なかなか教えてもらえないところですね!
分からないまま書いちゃってるところがありますよね。とても勉強になりました。レジュメだけ読んでも理解できるくらい分かりやすくて、いい先生でした。
― 授業はオンラインですか?
そうでした。オンデマンドで、毎週水曜日に、録画してくださった講義とレジュメを一緒に送ってくださって。細かく、レジュメだけ読んでもよくわかるくらい。レジュメにメモをしながら、リアクションペーパーを書きます。私が受けたときは、リアクションペーパーも2回だけと、期末レポート。リアクションペーパーも短くて、100字程度でいいよって。でも、内容が濃いので、100字じゃ全然収まらなくて長くなってしまうんです。
― なるほど、なにか印象に残っていることはありますか?
久しぶりに資料を引っ張り出して見直していたんですが、LGBTQ+のようにカテゴリ分けすることで、良い点や悪い点があることが分かって。良い点は、そういう人もいるという証明になるところ。悪い点はその人を過度に、LGBTQ+の人だとそこだけに注目してしまう。その人を構成するところは他にも色々あると思うんですけど、そこだけに注目しちゃう難しさがあるのが印象的でした。
― 私がよく見るYouTuberで、女の方だけどメンズの恰好をしたい、メンズの服を紹介してくれるチャンネルをフォローしていて。その方の「カテゴリで分けるんじゃなくて、自分自身として見てほしい」という話があって、印象的でした。
学校でダイバーシティの動画を絶対みてくださいって連絡がきて、そこにも載っていたんですけど、SOGIっていう概念があって。これはLGBTQ+の人とか、そうじゃない人とかでなくて、全員が尊重されるべきだよねという概念です。さっきおっしゃっていたように、「この人、LGBTQ+の人だ」とかでなくて、その人自身で受けとめるという考え方です。
― たしかに、結構基本的なことかなと思っています。特別なことじゃなくて、もともと、もっと簡単に考えていったら、女だとか男だとかよりこの子はこの子だからって考えるべきですよね。いまに始まったことじゃないというか、「その人を見よう」という考え方は、基本的なことかなと思います。
そうなんです。もちろん、パートナーシップ制度だけ取っても、日本では同性婚をまだ認められていないですよね。抱えている問題は大きく、重要ではあるんですけれど、基本的なところをみると、そんな難しく考えることなのかなって思います。
― 授業を受けて変わった点とかはありますかね?
そうですね、私はあまりジェンダー論の授業をとってこなかったので、性別に対して考えていなかったんですが、よく考えれば、社会は「男性はこう、女性はこう」という視点から作られているんだなと。私も、無意識にそのなかで生きているので、そういうつもりはなくても、「女子だからこうだよね」みたいな感じで考えてしまうところがあるので、考え直していきたいなと思いました。 あと、広告とかCMをちゃんと見ると、今のジェンダーの意識が活かされているのかなと思いました。今は洗い物のCMとか男性の方も一緒にいたり、洗濯のCMが男性4人で、結構変わりつつあるのかなとか。CM見るときに、そこに注目して見てしまうときがあります。
― なるほど、たしかに!洗濯のCMは今、言われるまで全然気づかなかったです。柔軟剤のCMはかわいい女優さんがやって、たくさんのシャツと子どもの泥だらけのTシャツを女の人が抱えているCMとかのイメージが、たしかにあります。
そうそう!よく考えてみれば、そうだなって。何も考えないで、「柔軟剤のCMだ」って見ちゃうじゃないですか。知らないところで男女観は埋め込まれているんだなって、学んで思いました。
― ジェンダー観は、私も1年生の軽井沢セミナー(教養特別講座)のときに先生が扱ってくれました。炎上した広告を何枚か用意してくださって、グループで1枚、なんで炎上したのか、どう改善すればよかったのかを発表していったな。この授業をどんな人におススメしたいですか?
そうですね、全ての人におすすめしたい感じです!私みたいに「そんなジェンダーについて学んでこなかったし、よくわからないし」という人にも、受けやすいと思います。基礎的なことから教えていただけるので、あんまりジェンダーに興味ない人でも、履修していて面白いと思います。動画が1時間30分くらいあるんです。
― 結構ありますね
結構あるんですよ。でもすぐ見終わっちゃう。長いと全く感じないくらい、分かりやすくて、すごく面白いのでジェンダーに興味がない人でも、受けるとそこから興味をもつきっかけになるかなと思います。
― ジェンダーに興味なくても大丈夫という話だったんですが、なんで受けようと思ったんですか?
そうですね、まずオンデマンドということと、シラバスの「常識を考え直す」というのが面白そうだと思って。それから、ちょっとぶっちゃけたことを言うと、この授業はリアクションペーパーとレポートで成績が決まり、テストじゃないことと、毎回リアクションペーパーの提出がないので、他の授業とも両立しやすいと思いました。あと水曜5限が丁度空いていたので、面白そうだな~って感覚でとりました。JWUキャリア形成科目か社会連携科目の1単位、どっちかは絶対に取らないといけないので、1年生のときにとっちゃおうと思いました。友達もたまたま取っていて、「授業面白かった」って言ってたので、結構幅広くおもしろいと思える授業かなと思います。
― ちょっと、興味がでてきました。面白そう!
― 以上で、インタビューを終わります。ありがとうございました!
ありがとうございました!