日本女子大学では、女性が社会的・職業的自立に向けて必要な知識や技能、態度を身につけ、社会で力を発揮できる思考力と実践力を育むことを目的として、全学部共通カリキュラムである「JWUキャリア科目」と、女性が社会で力を発揮できる思考力と実践力を育むため、自治体や企業、研究機関等と一緒に社会課題の解決について実践的に取り組む「JWU社会連携科目」を全学部共通カリキュラムとして展開しています!
この特集では、本学の新タグライン「私が動く、世界がひらく。」にちなんだ2つの「JWUキャリア科目」と1つの「JWU社会連携科目」を全3回に分けてご紹介します。
結婚や出産、育児、更年期、介護などライフステージの変化は、女性が社会で活躍する上で特に大きな影響をもたらします。社会に出る前に、未来の自分を取り巻くさまざまな変化や、女性のサポートに特化した制度や法律などを、事前に知っておくことは、世間の荒波の中で自ら舵を取り向かいたい道を進むうえで非常に重要なことです。「JWUキャリア科目」には、私たちが社会に出る前に知っておくべきことが学べる、本学独自の授業が多く用意されています!
第1回目は、「JWUキャリア科目」の中から、「現代ビジネスと起業」を実際に受けた史学科2年のNさんに内容と魅力を伺いました。
(インタビュアー:史学科2年M、史学科1年A)
——これから『現代ビジネスと起業』の授業に関するインタビューを始めさせていただきます。まず、受講のきっかけについて教えてください。
きっかけは「起業」に興味があったからです。また、就職活動をする時に、現代ビジネスを学ぶことによって、どのようにキャリアを形成していけば良いのか理解できるような気がしたので、受講することにしました。
——ありがとうございます。授業の内容について教えていただけますか?
今抱えている問題を解決し、女性のキャリアアップをどのように進めていけばよいのかについて詳しく学ぶことができる授業です。全部で13回の授業の内、第9回までは担当教員の奥山先生の授業が行われます。毎回テーマが決まっていて、最初はSDGsとは何か?ということから教わり、その後、企業のSDGs、貧困、環境問題への取り組みに加え、現在の会社がどのように経営しているのか、そしてキャリアをどのように形成していくのかまで幅広く学びました。
第10回からの4回の授業は、OGの方に加え、税理士の方、実際に起業した方や、社会で活躍している方など幅広い分野で活躍されている方々をお招きして、お話を伺います。
——なるほど。女性のキャリアアップについても学ぶのですね。
はい。たとえばこれは女性に限った話ではありませんが性別や人種が理由でキャリアアップを阻まれてしまうことを表す「ガラスの天井」問題について学びました。さらに、それだけではなく男性ばかりが押し込められる「ガラスの地下室」という言葉もあって、これは主に男性が収入と引き換えに、長時間労働をしたり、危険を伴う仕事に従事したりすることで使い捨てられてしまっている問題を表すものです。
現に労災の件数は男女比で表すと圧倒的に男性が多く、これだけが理由であるとは言えませんが1920年代は1歳しか変わらなかった男女の平均寿命が、今では6歳ほどの差が生まれてしまっているそうです。
——「ガラスの天井」という言葉をよく聞くように、ついつい女性のキャリアに目が向きがちですが、男性の社会問題についても気づくことができますね。「ガラスの地下室」と聞いてはっとしました。
それらを解決するためにも、1つの方法として女性活躍、女性所得の増加といった女性が誇りを持って生きられる社会の実現のため女性登用を進めていくべきであると学び、それを考えさせられる授業でした。
——詳しく教えてくださりありがとうございます。
この授業の受講後にNさんに何か変化はありましたか?
先程お話したような人種や性別による不平等といった社会課題の解決に取り組んでいる企業が気になるようになりました。
—なるほど。
この授業をどのような人におすすめしたいですか?
起業の方法や考え方を教わることができるので、起業したい人にはもちろんおすすめなのですが、それ以外でも就職活動で何から始めればいいかわからない人や、現代に潜む社会課題を知りたい人にもおすすめです。もちろんそれに限らず、実際に社会で活躍している方のリアルなお話を聞くことができるので、好奇心を持っている人なら誰でも楽しめると思います。
加えて採用面接ではどのように振る舞えばいいか?についても教えてもらいました。
——就活について学べるのは学生にとって嬉しいポイントですよね。
ちなみに、印象的だった授業回はありますか?
やはり、ぬいぐるみの回です!!
——ぬいぐるみですか?
はい。ウェルビーイングの構築がテーマの回で、ぬいぐるみで社会問題を解決していこうというお話が印象に残っています。
その回は、みんなが幸せになるぬいぐるみの会社、フラッフィコミュニケーションズを起業した金子花菜さんからお話を聞かせていただく回だったのですが、実際に起業した方の生の声を聞くことができる貴重な機会でした。金子さんは、小さいころからずっとぬいぐるみが大好きで、常に一緒だったそうです。就職して入った会社で、「ぬいぐるみが好きな人って痛くて気持ち悪い」と指摘されたことがきっかけで、ぬいぐるみが好きな大人が周囲を気にせずぬいぐるみ好きを宣言でき、そうでない人との共生のできる社会づくりを目指して起業したそうです。
フラッフィコミュニケーションズでは、「ぬいぐるみを起点に年齢・ジェンダー・国籍関係なく、ありのままの自分を愛し、互いに共感し合うwell-beingな社会へ」を掲げています。とくに印象的な事業は、ぬいぐるみの保育園です。金子さん自身、子供がいないことから、会社でのママ友やお迎え、時短勤務という言葉に敏感になっていたそうです。そこで、ぬいぐるみだって大切な子供なのだから保育園があっても良いのでは?という思いつきからぬいぐるみの保育園のサービスを始めたそうです。ぬいぐるみの保育園のサービスが気になった方はぜひ調べてみてくださいね。
——ぬいぐるみの発想はとてもびっくりですね。
次に講師の先生の経歴を教えていただけますか?
はい。講師の奥山先生は武蔵野美術大学卒業後、法政大学大学院や慶應義塾大学大学院を経て多方面でご活躍されていらっしゃり、SDGsを生かした社会の活性化のためのプランニングに携わっていらっしゃいます。
そして、現役のキャリアコンサルタントもされています。そのため、就職面接等で何が聞かれがちなのかも教えていただけたりします。
——先生ご自身も幅広い分野で活躍されているのですね。
授業はどのような雰囲気や形式で行われるのでしょうか?
毎回緊張をほぐすためにアイスブレイクが行われます。発言する機会に加え、グループワークも多かったです。
最初は主に講義形式でその後、課題やグループワーク、発言などを行い、先生からのフィードバックをいただきます。 課題は先生の教科書を参照してレポートを作成します。
—ありがとうございます。
最後に、授業で得た学びをどう生かしていきたいと考えていますか?
やはり1番は、今後の自分のキャリア形成に生かしていきたいです。この授業を受講したことで、SDGsや社会問題について学ぶことができ、日々の生活にも生かせる上に、社会に貢献したいと思うことも増えました。
また就職活動で企業に応募する際に提出するES(エントリーシート)のポイントだったり、面接だったりのポイントも教わることができて、就活に生かせそうだと感じています。
——なるほど。この授業を受講することで、自身の将来に繋がるお話が聞けるのはとても良いことですよね。
今回はありがとうございました!!
ありがとうございました。
今回のインタビューで、『現代ビジネスと起業』という授業名からは想像できない幅広い分野を学べることが分かりました。自分がこれから先どうやって生きていくのか、どのようにライフスタイルを築くのか、自分自身を見つめ直し、考えることができそうです。
この記事を読んで気になった方は、ぜひ『現代ビジネスと起業』を受講してみてくださいね!
※JWUキャリア科目「現代ビジネスと起業」は2年次以降に履修できる科目です。
担当の奥山先生よりメッセージをいただきました!!
これからは世界的な社会や経済の潮流を見つめ、労働環境を考えていくことが大切です。数ある働き方の選択肢の一つとして起業もあることを知っていただければと思います。
さまざまな問題提起からワークショップを行い、起業実践者の生の声も聞いて頂くことができます。これから社会に出ていくみなさんのどなたにでも、働く心構えとして学びの場を提供していきたいです。