メダカLIFE vol.5が発売されます。
「メダカLIFE」は、2022年7月にvol.1が刊行された、改良メダカ専門の雑誌です。毎号、驚くほど美しい/愛らしい品種が掲載されています。
これらは研究的にも大変貴重な資源です。「品種」と言うからには「遺伝子」が影響するわけですが、その数は1つや2つではありません。いくつもの遺伝子が相互に関わり合って、このような美しい形質*が生じます。
これまでの遺伝学では、主に「突然変異体」すなわち「1つの遺伝子による影響」が研究対象とされました。その理由は、2つならまだしも、3つ以上の遺伝子が同じ形質(ヒレの長さ、ラメの多さなど)に影響する場合(専門的には量的形質と言います)、途端に状況が複雑になり(様々な形質が生じる上に、互いに区別しづらくなり)、遺伝学的な解析が困難になるからです。
改良メダカは、この「量的形質」の理想的な研究材料になり得ます。似たような研究は、古くから多くの品種が知られる「イヌ」で行われましたが、メダカの強みは何と言っても数です。100匹や1,000匹ではわからなくても、10,000匹解析すればわかることがあります。ショウジョウバエを使えば100,000匹も可能かもしれませんが、研究材料(量的形質を示す品種)が存在しません**。ハエを愛する人が少ないからです。「ハエLIFE」や「線虫LOVE」という商業誌は(恐らく)成立し得ないのです。
メダカは古くから日本に棲息し、沢山の日本人に愛されつつ、ヒメダカをはじめとする「改良メダカ」が育まれました。日本の研究レベルの低下が叫ばれて久しいですが、この貴重な研究資源は、外国人ではなく、日本人によってこそ有効に活用されて然るべしと考えるのは、国粋主義が過ぎるでしょうか?
「お前がやれ」と言われそうですけれども。笑
増刊号、vol.2、vol.3、vol.4に続き、今号にも記事を書かせていただきました。よろしければご覧ください。
*:「生物の特徴」を表す遺伝学用語(trait)。表現型(phenotype)とほぼ同義。
**:「野生集団の地域差(例:キタノメダカとミナミメダカの違い)」は勿論ハエにも存在します。




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