メダカと視力と放射線

 めだか研@日本女子大学から論文が公表されました。以下のPDFは、責任著者(保田研究員)による解説です。

 

 以下は補足です。

 視運動反応試験(optomotor response test)は、めだか研ではここ10年ほどやってきました。「メダカを水槽に入れて、その周りで縦縞を動かす」だけの単純な実験ですが、意外に奥が深いです。視運動反応は「刺激を見せれば必ず起こる反応」ではなく、メダカの「気分」に左右されます。その場に留まりたい時(=視運動反応が起こる時)がある一方、その場から移動したい時や自分がどこにいるかなんてどうでも良い時(=視運動反応が起こらない時)も、あるわけですから、そんな「メダカの気持ち」と向き合いながら実験しなければなりません。

 素直にクルクル回ってくれる個体がいる一方、縞を無視してひたすら爆走を続ける個体もいれば、あえて縞の動きとは逆方向に泳ぎたがる天邪鬼も、かなりの頻度でいます。このような「実験に非協力的な個体」をそのままデータにすると、ロクな結果が得られません。同じ「回らない」という結果でも、「縞が見えないから回れない」のか、「縞が見えてるけど回りたくない」のか、で結論が180度異なりますから、これを見極めなければならないのですが、単純な数字を見るだけではなかなか困難です(それをしようとした論文がこちらです)。

 今のところ、結局は「観察者のセンス」に頼るしかないと思ってます。非科学的なことを言うようですが、動物の観察眼を養い、物言わぬメダカの状態・気分を察する能力。そこさえクリアできれば、こんな単純な実験系でも、色々なことに応用できる気がします。最近興味があるのは、老眼モデル。メダカも老眼になるんでしょうか。老眼を治すことができたらどんなにQOLが改善することか・・・。なんなら近視も・・・。