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平田唯です。
私は8の字結び目外部における境界付き normal surface の理論について調べました。
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3次元球面とは、2つの球体の表面同士を貼り合わせたものです。
これは8の字結び目です。
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結び目外部とは結び目の近傍を3次元球面 S3 から繰り抜いて残った部分です。
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結び目が trivial とは、それを縁(ふち)とする円盤がとれることです。
結び目がほどけるとき、結び目外部に unknotting disk が存在します。
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uknotting disk の縁は Seifert surface の縁と一致することが知られています。Seifert surface とは結び目を縁とする向き付け可能曲面です。その縁はこのような赤い輪っかになります。
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truncated 四面体とは四面体の4つの頂点を取り除いたものです。8の字結び目外部はこの2つの truncated 四面体の同じ色の6角形の面を貼り合わせて得られます。ただし、同じ種類の矢印の辺が貼り合わさるようにします。
頂点付近を削ったところの三角形たちに紫の arcs が描き込んでありますが、truncated 四面体分割によって Seifert surface の縁はこのように分断されます。
(林注: 惜しい! 紫の線が間違っているようです。とは言え、この後の議論は同様のもので大丈夫です。8の字結び目がほどけないことが証明できます。詳しくは論文Download pdf file (263KB)の第6節をご覧下さい。)
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truncated 四面体の中の normal disk を定義します。disk の縁は truncated 四面体の辺と横断的に交わり、truncated 四面体の各々の辺とは1回のみ交わります。右の図は normal disk ではありません。
normal disks の和集合になっている曲面を normal surface と呼びます。
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結び目外部に unknotting disk があるとすると、うまく取り直して normal surface であり、かつ Seifert surface の縁を縁とするようにできることが証明できます。これを使って結び目がほどけるかほどけないか判定します。
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オイラー標数への貢献値 χ ' を定義します。χ ' は各頂点と各辺、そして面の数値の和で計算できます。各頂点、各辺は何枚の面に共有されているかで数値が決まります。例えば、この図の面 F を考えます。ここの頂点は5枚の面に共有されているので、1/5 となります。内部の辺たちは -1/2 , 縁の辺は -1 で計算します。面は +1 です。したがって、F の χ ' は合計して -1/20 となります。全ての面の貢献値を足し合わせると、normal surface 全体のオイラー標数 χ が求まります。
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truncated 四面体の中の normal disk を P:R disk と呼ぶことにします。ただし、切り口の三角形に現れる arcs の本数を P, その他の arcs の本数を R とします。各 P:R disk のオイラー標数への貢献値 χ ' はこの式で求めることができます。
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normal surface で disk であり縁が Seifert surface の縁と同じものがあるかどうか考えます。
χ ' がプラスの数になる面は 1:2 disk のみで、χ ' は 1/6 なので、disk のオイラー標数の +1 になるには最低 6 枚の 1:2 disk が必要です。Seifert surface の縁の断片が 12 本なので、1:2 disk の数は 6 枚以上 12 枚以下と分かります。
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1:2 disk と χ ' が 0, -1/6, -1/3 等の disks との組み合わせを考えると、1:2 disk が 6 枚から 12 枚の場合全てが不成立となり、結び目外部に unknotting disk が存在しません。よって8の字結び目はほどけないと証明されました。