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岩倉美和です。
lens space における Q-fundamental surface について発表します。
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(p,q)-lens space という3次元多様体を定義します。p と q は互いに素な自然数、p は q より大きいとします。2つの p 角錐の底面同士を張り合わせます。上の p 角錐の錘面たちは、下の p 角錐の錘面たちと貼り合わさります。これが (p,q)-lens space です。例えば、(4,1)-lens space の場合、v+, v0, v1の面は1/4回転して v−, v1, v2の面と貼り合わさります。v+, v1, v2の面は v−, v2, v3 の面と貼り合わさります。他の2組の面も同様に1/4回転して貼り合わさります。
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(p,q)-lens space を中心軸 α を取り囲む p 個の四面体に分割します。(4,1)-lens space の場合、4つの四面体に分割します。また、lens space では p 個の四面体の水平の辺たちは全て貼り合わさって、1つの辺になります。各四面体の水平の辺を Eh とおき、軸 α に対応する垂直な辺を Ev とおきます。
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四面体の normal disk type は triangle type が4つと square type が3つの7種類あります。square type の normal disk を短く Q-disk と言います。
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square condition について述べます。1つの四面体の中に2種類以上の Q-disk が存在すると交差してしまいます。交差のない曲面を考えたいので、各四面体内に Q-disk は高々1種類とします。これが square condition です。
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定義 Q-matching equation
四角形の normal disk の type たちに、X1 から X3t まで番号を付けます。ただし、t は四面体分割の四面体の数とします。ek を四面体分割 τ の k 番目の辺とします。このとき、sense を以下のように定義します。ek を手前に見ます。そのとき、左肩上がりの normal disk Xi に対して sense εk,i は1、右肩上がりの W-disk Xj に対して sense は−1、どちらでもない Q-disk Xl に対して sense は0と決めます。小文字の fi を normal surface F を構成する type Xi の normal disk の枚数とします。F ベクトルは fi たちを並べたベクトルとします。F ベクトルはこの連立一次方程式 the Q-matching equations の解になります。この方程式は、四面体分割の各辺に対して立てられます。
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定理 M を3次元多様体とする。もし F が M 内の normal surface ならば、Q-matching equations の解であり、square condition を満たす。逆に 0 でないベクトル z が Q-matching equations の解で square condition を満たすならば、そのとき F ベクトル= z ベクトルとなる normal surface F が存在する。頂点を取り囲む球面を無視すれば、F は z に対して一意的に決まる。
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Q-fundamental surface
normal surface F が Q-fundamental surface であるとは、F ベクトルが F1 ベクトル+ F2 ベクトルと分解できるような normal surfaces の組 F1, F2 が存在しないことを言います。
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定義 essential 球面
M を3次元多様体、S を M 内の2次元球面とする。S が essential 球面であるとは、S が M 内の ball の表面になっていないことです。この図は1次元低い模式図で、circle S1 は M から円盤を切り取らないので essential です。
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定理 M を3次元多様体、τ を M の四面体分割とします。M が essential 球面を含むならば、τ に関して Q-fundamental である essential 球面または射影平面が存在する。
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(p,1)-lens space の場合、図のように辺の番号を付けます。1/p 回転して、同じ番号の辺同士が貼り合わさります。
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Q-type の normal disk に番号を付けます。k 番目の四面体を τk とし、軸 α を手前に見て右上がりの normal disk を Xk2, 左上がりのものを Xk3 とします。軸と交わらないものは Xk1 です。
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(p,1)-lens space の場合、sense は先程の normal disks Xk1 , Xk2 , Xk3 に対して、このようになります。
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よって (p,1)-lens space の Q-matching equations の係数行列はこのようになります。行は辺と対応していて、上から e1 , e2 , …, ep , Eh , Ev となっています。列は normal disk の type の番号と対応していて、τ1 の X11 , X12 , X13 , τ2の X21 , X22 , X23 , …τp の Xp1 , Xp2 , Xp3 となっています。この行列は p+2 行 3p 列です。rank を計算すると p です。
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the Q-matching equations を実数の範囲で解いて、解空間の基底を求めました。基底は 2p 本です。一般解はこのようになりました。a と b は全て実数です。
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(p,1)-lens space の fundamental surface を全て求めました。結果、PA , PB , PC とおよびこれらと回転対称なものになりました。ただし、PC は p が偶数のときのみ出てきます。これら3つの表す曲面を調べます。
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まず、PA です。PA は τ1 から τp まで全ての四面体に Xk1 disk が一枚ずつあります。これら全てを貼り合わせると中心軸 α を取り囲むトーラスになります。
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次に PB です。PB は τ1 には square type の disk が 1 枚、τ2 には 2 枚、τ3 には 1 枚入っています。貼り合わせを考えると、図のように triangle type の disk が継ぎ足されます。これらを貼り合わせると辺 e2 を取り囲む球面になります。
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次に PC です。PC は τ1 から τp まで square type の disk が 1 枚すつあり、Xk2 , Xk+1,3 disk が交互に入っています。これらを貼り合わせると p/2 個の射影平面の連結和になります。essential 球面は出てきませんでした。(p,1)-lens spaceは素な多様体であることが分かります。
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続いて、(p,2)-lens space の fundamental surface も全て求めました。中心軸 α を取り囲むトーラス、辺を取り囲む球面が出てきます。(p,1)-lens space のときと異なり、向き付け不可能曲面は出てきませんでした。
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続いて、(p,3)-lens spaceです。(p,3)-lens spaceは現在研究中です。(8,3)-lens spaceに出てきた曲面を紹介します。これは (8,3)-lens space の fundamental surface の1つです。貼り合わせると、向き付け不可能閉曲面のクラインの壷になります。