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本能のままに生きると肥満にならない

本能のままに生きると肥満にならない!? その理由は?

 野生動物に肥満の動物はいません。キリンもゾウもライオンもウサギも、皆種類によって大体同じ大きさをしています。ところが、人間には肥満があります。人間だけではなく、ペットのイヌもネコも肥満になります。一体、これはどうしてでしょうか。
 最近、私の研究室でマウスを使った実験によって、面白い事実が明らかになりました。マウスに、カロリーの高いショ糖とそうではないサッカリンを毎日交互に飲ませます。自由に餌を食べることができるようにしておくと、何も起こりません。ところが、1日あたりに摂ることのできる餌の量を制限して、いつも空腹の状態にして、体重が減少するような状態を作ってやると、甘味の強さはほぼ同じなのに、サッカリンの摂取量は変化しないのですが、ショ糖の摂取量は少しずつ増加していきます。このような状態で、サッカリンとそれよりも甘味が遥かに低いショ糖のどちらかを選ばせてみると、なんとマウスはショ糖を選ぶようになります。つまり、ショ糖とサッカリンの甘味以外の微妙な味の相違を識別して、カロリーの高い食品を選ぶようになったのです。
 カロリーの高いショ糖を摂取することによって、少しずつ体重が増加し、元の体重にまで回復します。するとどうでしょう。ショ糖に対する嗜好性は、急激に減少していきます。つまり、マウスは自分の最適体重が分かっていて、カロリーを過剰に摂取することはしないようなのです。
 このように、常に飢餓状態にある野生動物は本能的に自分の体重を適切な値にコントロールできるのですが、飽食の環境に暮らす私たちやペットたちは、この本能を見失ってしまっているのです。昔から、腹八分目という諺がありますが、将にそれが私たちを健康に保つ秘訣なのです。
                                                              物質生物学科 宮本 武典 
宮本先生

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