探索と俯瞰

― 都市に記憶の軌跡を編み込む ―

 

子供の頃の道の記憶は思い出と共に鮮明に残っている。一方で大人になり GPS が発達した現在、自分の位置がはっきりしない地に足がついていないような状態で体だけが目的地へ向かっていく。廊下や道は、ただ部屋から部屋へ、建物から建物へと移動するための手段に過ぎなくなった。そんな中、谷中の高低差が多く曲がりくねった街路を歩いた時、子供の頃の歩く楽しさを久しぶりに感じることができた。しかし、その一方で複雑な街路を俯的に捉えることが難しく、自分の進行方向や道同士の関係を把握することができなかった。大人の俯瞰的な視点も、空間を理解するには重要なことである。本制作では「成⻑と共に変化する空間の捉え方」を建物の中で再現する。建物に入った時は、子どもの近視眼的視点で建物を探索し、身体的な空間体験を通して徐々に大人の俯瞰的視点に変化していく。自分だけの地図を脳内に描き、自己の存在を確立できるような建築になることを期待する。

晝岡 美優

梗概

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