一本の樹木と建築

都市に森を作る新たな建築文明の提案

 

 

樹木のある空間には魅力がある。その本質は、「畏怖」と「安心」の二面性であると私は考える。圧倒的長い時間を生きる生命力への畏怖の念、人に快適さを与える安心の念、この相反する要素が同時に存在することが樹木本来の姿である。

しかし現在の都市は畏怖の要素が排除され、人にとって心地よい部分のみが強調された樹木でああふれている。人々の往来が激しく、日々移り変わってゆく都市にこそ、1000年という長い時間その場に留まり続ける樹木と共にに生きる建築形態が必要なのではないだろうか。

以上の事から、人や建築の時間の単位で樹木を伐採することなく、樹木の時間単位で人や建築の存在を考える事で、樹木に寄り添い支え合い、樹木への畏怖の念が留まり続ける、新たな建築文明の手法を提案する。

材を接ぎ木しつつ他の要素へと転換していく事で建築も樹木と同様の長期寿命を生き、1000年後には、樹木と共に生きる集落のようなものが形成されることで、多種多様な人々が一つ家族のように長い歴史を生きる。

石川紗也佳

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