銭湯的都市空間

ー様々な活動をしその空間に居合わせる建築ー

 

季節の変わり目のにおいや子供と目が合った時の会釈…。外には人の出会いや環境の出会いがある。しかし近頃、そのような偶発的な、人や環境の出会いをシャットアウトして過ごしている人が多いように感じる。特に都市では皆スマートフォンを見ており物理的空間ではなくソーシャルネットワーク空間に繋がり、パーソナルスペースの強化が行われていると考えた。そこでパーソナルスペースの殻を破るべく、様々な人が居合わせ、バラバラなことを行いながらも、ある共有感が得られる銭湯空間に着目した。

敷地は東京都豊島区の池袋駅西口。象徴的な芸術劇場と開放的な公園があることで子どもサラリーマン、ホームレスがおり共存できる許容空間がつくられている。しかし都市開発の高層ビル計画によって芸術劇場と公園の関係が変わると考えた。そこで、芸術劇場と公園の関係を読み取り、銭湯的空間を持つ高層ビル計画の低層部を設計した。

楕円型のスペースは葡萄の房のように配置し、ひとつひとつの楕円のエッジはスロープがめぐり、移動に伴い変化するシークエンス、そこを歩く人々の視線の交差や見る見られる関係がつくられる。人々の殻を破り、人々の活動が浸透するようになる。銭湯的空間がこの建築だけに収まらず、都市にまで及ぼすことを期待する。

加藤真璃子

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