肌理の知覚
-自然がつくる時間と人工物がつくる時間-

 

多くの人は時計が刻む時間に従って日常を送る。時計の時間は一定で、毎日が、繰り返される単調な日々に感じられる。しかし私たちを取り囲む環境は必ず、物質のリズムをもって日々変化している。

視覚で捉える環境は無数の肌理で構成されている。肌理とは、あらゆるものの凹凸のある表面のことである。子どものときにいろいろな肌理を見て、触って、地球を学んでいく。肌理から読みとれる情報の1つには時間があり、一般的に自然を癒しの対象とされることも、自然にあふれる、肌理の時間に意識が向くからではないか。樹木が、石が、コンクリートがそれぞれ刻む時間のあいだには”ずれ”がある。その”ずれ”を日常の空間に挿入することで、日々の時間にムラが生じ、居心地の良さの創出に作用すると考える。肌理を知覚することが、日常の変化に気がつくことへの一歩になるのではないか。

肌理を設計する。それによって生まれる空間の豊かさを導き出し、肌理を設計することの現代社会における有用性を見出したい。

増田り子

梗概

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