家のかけがえのなさについて
『空間の詩学』の空間化
本制作では、「家のかけがえのなさについて 『空間の詩学』の空間化」と題して、内密性を軸に研究・設計を行った。本制作で扱う「内密性」とは、子ども時代に秘密基地を作ったり、屋根裏部屋や押し入れに閉じこもったりする経験の中で生まれる、自分と場所が一体化して限りなく自己と対話する感覚である。このような経験は成⻑とともに減少し、自己よりも他者や社会に向けた意識が強くなる傾向がある。同様に、建築においても内向きの経験よりも外向きの経験が増えているように感じる。そこで、「内密性」を再び経験できる建築をつくりたい。内密な経験では、場所や建築物、物との結びつきが強固で、「かけがえのなさ」 が生まれる。この「かけがえのなさ」は、愛着や思い入れが深い経験とそれに準ずる想像力が働くときに生まれるものと仮定し、その探求の一環としてガストン・パシュラールの著書 『空間の詩学」を取り上げる。内密な意識を再評価するために、詩的なイメージを喚起させる空間に焦点を当てたこの著書を分析して得られた内密性が生まれる条件や、図面や経験から分析することで分かる近年の建築の傾向などを既存の建築事例に適用する。その上で内密性が欠けがちだと考察できる介護施設に対して「かけがえのなさ」を生む設計提案を行う。
© miya akiko architecture laboratory 2018 All rights reserved.