「運動的本質」を呼び起こす建築

 

こっちに行ってみたいなどの能動的な運動を行うことができる場所には身体と空間が結びつく感覚がある。そして、これらの行動の手前には機能や用途を超えた無意識に働きかけるものがあるのではないかと考える。哲学者メルロ=ポンティは『知覚の現象学』の中で、私たちが空間に対しまなざしを向けると知覚と運動が一つになったシステムが働くと述べており、まなざしから手掛かりを得て「運動的本質」によって運動が喚起され場所からの応答を受け取るとある。この「運動的本質」が働くためには、エッジの質と感覚の厚みが大切なのではないかと考え、建築空間について分析しその構成要素をもとに新宿御苑の庭園に本屋の提案を行う。「運動的本質」によって運動が誘発され、その中で得た経験をセミラティス状に結びつくように構成することで、身体と空間が結ばれたと感じる建築を目指した。人々の無意識に働きかける運動的本質を持つ空間により、豊かな出会いが自然と生まれ人々の心を豊かにする体験となることを期待する。

野田理裟

▶︎

© miya akiko architecture laboratory 2018 All rights reserved.