場所の内側性
ー誰かにとっての〈ここ〉がつながりあう、都市の中の住宅群ー
電車の窓から見えたマンションの一室の生活風景に愛おしさや懐かしさを感じることがある。そのとき私は、知らないその人のマンションの一室に意識が入り込むことで、〈そこ〉として捉えていた場所が〈ここ〉に変わる。それは私の知らないところに私の存在が続いているのではないかと思わされる瞬間である。
本提案では、外界とのつながりが希薄で都市が他人事になりやすい現代において、いま私がいる〈ここ〉を感じることと、時たま他者のいる〈そこ〉に対して〈ここ〉を感じること、この感覚に行き来によって、都市が誰かにとっての〈ここ〉のつながりで形成されていることを認識できるような建築を目指す。都内の公園と川に挟まれた住宅地に、敷地内外で相互に〈ここ〉〈そこ〉の関係性を見出しながら老人ホームやインキュベション施設を備えた複合用途型の集合住宅を提案する。周辺環境に基づいた様々な原理の縫い合わせによって構成される全体は、多重人格的でありながら、それぞれの〈ここ〉にいる感覚が連なることで、私と都市の中の誰かを意識の中でつなげることを期待する。
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