時間を祝う劇場住宅
–「非意味」からそのものを愛でる建築–
都市に溢れる建物は、それぞれが特定の「意味」や目的を貼り付けられている。一方で、高架下や建物の隙間、廃墟などの空間は、「意味」から解放され、空間や物体そのものの存在を純粋に愛でることができる。そこでは、人間とは異なるスケールの時間を感じることがある。このように人工物は、「非意味」の状態を経て、人間が主体的に空間の価値を見出す「再意味化」が起こるのではないだろうか。本提案では、この「非意味」から「再意味」へのプロセスを、時間経過や環境に委ねるのではなく、設計によって意図的に生み出すことを試みた。下北沢の閑静な住宅街の一角に、劇場とそれを取り囲む集合住宅を設計する。音によって形が導かれる劇場と、人々の生活が形作る住宅の異なる「意味」を重ね合わせ、「意味」の転用、スケールの対比、ままならないものの貫入などを起こすことで、建築を人間とは異なる時間を生きる存在として再解釈し、人々が主体的に時間を紡ぐことを期待する。
佐々木萌絵
▶︎ 梗概
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