日本女子大学

学生の活動

日本女子大学国語国文学会

1951 年、国文学科(現在の日本文学科)の学生及び教職員、出身 の有志、その他関係者等からなる会員間の研究の推進をはかることを目的とし、国文学科を母胎とする学会が発足しました。日本文学科に入学した皆さんは、自動的に国語国文学会の会員となります。1 年次から 4 年次までの学生から選出された学生委員が中心となって、春季・秋季の国語国文学会大会、『研究ノート』・『国文目白』等の編集・刊行、自主ゼミ、鑑賞会、文庫見学、文学散歩などさまざまな活動を企画しています。

文庫見学

国語国文学会では、毎秋隔年で宮内庁書陵部と静嘉堂文庫の文庫見学を行っています。両文庫の格別のご厚意によって、貴重な古典籍を至近距離でじっくり拝見できる、本当に得難い機会を与えていただいています。貴重な資料に直接触れられる日本文学科ならではの満足度の高いイベントですので、学生・院生の皆さんは奮ってご参加下さい。

国文目白

日本女子大学国語国文学会が 1962 年から年1回刊行している機関誌です。教員、卒業生、大学院生の論文、その年に上梓された卒業生や諸先生方の御著書の書評・紹介をはじめ、学会活動報告などを掲載しています。研究の成果を内外に問う場であるとともに、国語国文学会の動静を伝え、日本文学科の教員・学部生・卒業生を結ぶ役割も担っています。

近年の『国文目白』の内容は、日本女子大学学術情報リポジトリでご覧いただけます。

研究ノート

自主ゼミなど学生の自主的な研究成果を自由に発表できる場として、1972 年度に創刊されました。自主ゼミの研究レポートや個人の研究レポート、自主ゼミの活動報告などが掲載され、学生の自発的な研究意欲を支える場であると共に、国語国文学会における活動の一つの柱ともなっています。

近年の『研究ノート』の内容は、日本女子大学学術情報リポジトリでご覧いただけます。

自主ゼミ

日本文学科では、学生の皆さんによる自主的な研究を奨励し、そのサポートを積極的に行っています。 自主ゼミは学生の皆さんが自発的に企画する勉強会で、いわゆる「授業」ではありません。したがって履修単位数にはカウントされませんが、志を同じくする仲間たちと密度の 濃い時間を過ごすことができるばかりでなく、大人数の講義を受けているだけではわからない教員の素顔を知る絶好のチャンスであると同時に、大学院生の先輩と親しく話をすることができる学びの場でもあるのです。

新入生歓迎会・春の国語国文学会でアナウンスがあり、ある程度の人数が集まったところで発足します。 例年、上代・中古・中世・近世・近代・創作・日本語・日本語日本文学交流などのゼミが活動を行っています。新しいゼミを発足させることもできます。 人数は各ゼミ 5~10 名程度で、複数のゼミに参加することも可能です。その進め方はさまざま。 春休みや夏休みにゼミ旅行を行うゼミもあります。やる気のある皆さん、日本文学科を自分にとって居心地の良い場所にしたい皆さんの積極的な参加を期待しています。

以下に、各自主ゼミを紹介します。

上代自主ゼミ

私たち上代自主ゼミは、毎年テーマを決めて上代文学に対する理解を深めたいと思っています。これまでのテーマは、普段なかなか読むことの出来ない漢詩文集『懐風藻』の輪読、『万葉集』の二十巻の構造・成り立ちの解明などでした。今年は、『万葉集』の編者と考えられ、集で最も多く歌が残る大伴家持を取り上げています。家持は、歌がたくさん残っている割には歌の評価が低い歌人です。しかし、一方では、同時代の歌人の中でも抜きん出た資質を持った歌人であるという評価もあります。家持の歌々をじっくり丁寧に読みすすめ、他の歌人と比較しながら、家持の歌人としての良さを見極めてゆきたいと思っています。
現在はなかなか思うに任せませんが、例年上代文学にかかわる場所に実地踏査に行っています。関東周辺が多いのですが、奈良、飛鳥などに足を伸ばした年もあります。また、日本で最も古典文学関係の図書が充実した国文学研究資料館を訪れ、写本、版本の実物を手に取って見ながらのセミナーも行っています。

中古自主ゼミ

中古自主ゼミは毎年ゼミ員全員で相談して作品を選び、研究しています。近年取り上げている作品は『源氏物語』・『伊勢物語』・『更級日記』・『古今和歌集』などで、物語、日記、和歌集など多岐に亘ります。担当者が自由に発表箇所や和歌を選び、自分の調査したことや考察をレジュメ(発表資料)にまとめて発表し、問題点や解釈について話し合います。
自主ゼミは、学部の一年生から参加可能です。少人数ですので担当の先生や学生同士意見が交換しやすく、授業とは異なった雰囲気で中古文学について楽しく理解を深めることができます。
また、レジュメの書き方や論文検索の仕方なども先輩方から学ぶことができます。
そしてコロナ禍が収束次第、夏休みや春休みなどの長期休暇に、ゼミ旅行や博物館見学を計画しています。学生と先生と一緒に史跡や寺社、博物館・美術館など文学作品に関わる場所を訪ねます。ゼミ旅行は京都が多くなりますが、周辺にも足を伸ばし、実際に現地を見ることで作品への見識が深まります。
少しでも中古自主ゼミにご興味のある方は、ぜひ一度いらしてみてください。

中世自主ゼミ

突然ですが、自主ゼミは授業ではありません。
ここは、お堅い話を鞄にしまって己の心に移りゆくよしなしごとを同志たちと語り合う素敵な場所。
そう、私たち中世自主ゼミは、「楽しくなければ自主ゼミじゃない」をモットーに、和気藹々と活動しているゼミです。今まで扱った作品は、藤原定家の日記『明月記』や彼の習作とされる『松浦宮物語』をはじめ、『無名草子』『方丈記』『徒然草』『正徹物語』、そしてお伽草子や絵巻など、院政期から室町時代まで幅広く、実にさまざまです。
教科書には載っていない・載せられない作品や、名前しか知らなかった雲の上人のあーんな素性やこーんな私生活を、己の興味の赴くままに、楽しく、時には大胆に繙いていきます。楽しみながら、古典の基礎知識はもちろん、資料の検索力や発表力や文章力までちゃっかり身についちゃうという嬉しいおまけつき☆
重要なのでもう一回言います。自主ゼミは授業ではありません。そしてなにより楽しくなくてはいけないのです。中世って何?という人でも大歓迎。知的好奇心とポップな目線をコンパスにして、さあ、一緒に800年前の文学世界へ出かけましょう!

ゼミ生達の発案で作られたカードゲーム「徒然版キャット&チョコレート」

近世自主ゼミ

このゼミでは名前の通り近世(≒江戸時代)の文学を扱っています。学生自身が研究したい作品を選び、半年間その作品を読み解きます。実際に当時出版された本に触ることが出来るのが本ゼミの魅力です。読み解くのは、当時描かれた一風変わった世界地図や絵本など、お昼休みという短い時間で読める作品です。もちろん描かれている文字はうねうねとしたくずし字なので、メンバー同士であの文字はなんて読むのだっけ、この絵に描かれているあの人の表情がいい、とわいわいお喋りをしながら読み進めていきます。
また年に数回、文学散歩や歌舞伎鑑賞など、休日や放課後を利用して大学の外に足を伸ばすイベントがあり、江戸時代の軌跡を辿ります。

近代自主ゼミ

近代自主ゼミは、近代文学の中から1つの作品を扱い、考察していくことが主な活動です。たくさんある作品の中から、学生は好きなものを扱うことができます。講義ではあまり扱われない現代文学を先生と共に読み進めることもできます。また、作品について先行論を調べ、まとめて発表をするといった論文を書く際に必要となってくる作業に、1年生の早い時期から触れることもできます。少人数の活動のため、先生や先輩との距離も近く、ゼミ活動以外でも様々なアドバイスをいただけます。活動はお昼休みですので、時には甘いものを食べながら、楽しく落ち着いた雰囲気で行われます。少しでも近現代の文学に興味のある方は、ぜひ近代自主ゼミにご参加ください。

この日は、芥川龍之介作品の輪読にちなみ、「船橋屋」の葛餅と「梅園」のぜんざいを堪能しました。とくに葛餅は、「僕等は「天神様」の外へ出た後、「船橋屋」の葛餅を食ふ相談をした」「葛餅を一盆づつ食ふことにした」というように、随筆「本所両国」のなかで詳しく述べられています。「梅園」については、震災後の東京に残った数少ない「「しるこ」屋らしい「しるこ」屋」として、その名が随筆「しるこ」に登場しています。芥川は、食べ物や食べる人を書くことの少ない作家ですが、そんな芥川作品のなかに見られる〈食べ物〉を、当時に思いをはせつつ味わってみました。

創作自主ゼミ

私たち創作自主ゼミは、小説を中心とし、短歌、俳句などの作品を創作しています。
週に一度集まり創作やそのための準備を行っていきます。
小説なんて難しそう……。と思ったそこのあなた、大丈夫です!
当ゼミでは初心者の方にも先輩方が書き方をやさしく教えてくださいます。キャラクターシートの作成など、実践を通して楽しく小説執筆を始められます。
書いた小説はお互いに批評しあうこともあります。初めての方も、自分では気づかない長所や課題を発見でき、いつの間にか小説を書くのが大好きになっているはずです。もちろん、短歌や俳句なども作るので、小説以外の場所でも活躍の場を見つけられますよ。文章の執筆はお金もかからず、生涯続けていける趣味です。この機会に、言葉のより深いところを探検してみては?

日本語自主ゼミ

日本語自主ゼミは毎週1回、お昼休みに活動しています。気になる言葉や表現など日本語に関する様々な興味や疑問をテーマとして設定し、それに沿った論文収集や調査を行うことで日本語への理解を深めています。東京近郊の方言についての調査や、京都における言語景観研究、人形浄瑠璃文楽のことば、若者言葉などテーマは多岐にわたるため、日常生活での使用の有無や、時代に関わらず、幅広く日本語について考察することができます。テーマは例年、ゼミ員で案を出し合って決めているので、自分が興味を持った事柄をテーマとして調査を行うことができます。先生にもお力添えをいただきながら学年を超えて一緒に調査を行い、意見を出し合ったり質問しあったりすることができるので、調査方法や様々な考え方など多くの刺激を受けることができる点もこの自主ゼミの魅力の一つです。「日本語」に興味のある方、ぜひ一緒に活動しませんか?

日本語日本文学交流自主ゼミ

このゼミは、文学や文化生活に幅広く興味を持っている人たちが集まっています。留学生と日本人の学生で構成されており、担当の先生から薦められた映画、展覧会などから好きなものを選び校外研修によく出かけます。帰ってきてから、感じたことを話し合って要約することをゼミの活動の中心としています。留学生にとっては、日本語に一層磨きがかかるので、日本語力の向上と日本人の友達作りと、一石二鳥の効果を上げています。
特に世界的に有名な美術作品を鑑賞しに行くことは毎年行っている活動です。日本語で書かれている作品の説明に接する留学生に、日本人の学生は、日本人ならではの感性を伝え、また、留学生は、自分たちの目から見た感想を話します。お互いにとって、新鮮な交流の場となっています。