灯り点けましょ恋心

五人囃子・謡
おひいさま、本日は誠に晴れやかなり。あなたの喜ばしい晴れの舞台に相応わしくございます。さあさあお行きなさい。どうかこちらを振り返らないで、わたしではあなたを幸せにすることなどできません。あなたは姫さま、おひいさま。内裏に嫁いでこそ、幸せになれるでしょう。私は、私はあなたのことを心から想っているから、この善き日に伸びやかに謳いましょう。どうか涙を流さないで、どうか私のことを心残りに思わないで。身分違いの私なれど、声をかけていただけたことが、あの日々がどれだけ嬉しくて思えたか。それだけで私は幸せ者です。だからどうかお幸せに。それだけを願って謳いましょう。

五人囃子・笛
名もなきあなた、姫さまの側仕えのあなた、私は姫さまよりもあなたが輝いて見えたのです。しかし提子を掲げるあなたの顔は凛々しい内裏の君を映して、紅色に染まる。私は知っているのです。知っているのです。報われないあなたの恋を、そして報われない私の恋を。なのだからこの笛はこれだけ切なく響くのです。

五人囃子・小鼓
ああ私の小鼓と、共にあるのは大鼓。いつも隣にありました。私の側におりました。けれどもあなたは蝶のよう。ひらり交して飛んでいく。やはり華が好みでしょうか。私のような木偶ではいけないのでしょうか。ぽんと鼓を打ちまして。あなたの心に響くよう。されどもあなたは知らぬ顔。隣にいるのは私なのに。

五人囃子・大鼓
十二の単に薫る香。見惚れるほどの大輪の花。如何にしてあなたから目を逸らせましょうや。いいや、私の目はいつもあなたを。叶わぬ恋など百も承知。しかして内裏の姫さまに、どうして心を奪われぬまま生きていけましょう。ああ、さようなら、おひいさま。届かぬ花に焦がれるが負けよ。

五人囃子・太鼓
ああ、皆々様、お忙し。恋に焦がれて愛に焼かれて、ああ大変そう。美しい。よろしい、ならば打ちましょう。雛の段々、五人並んで、恋の鼓も打ちましょう。届きますようその心。報われぬのもまた一興。今日は梅の香が一段と良い。きっとどこまでも届きましょう。

三人官女・長柄
五人囃子の見事な小鼓。私あなたに想いを寄せて、けれども届かず袖ひちて。敵いませんわ、あの人には。ずっとお隣にいるなんて。それはわかってございます。しかし私の心までは、負けるわけにもいかなくて。あなたの声音私にも届いてしまうことがどれだけ悔しくございましょう。けれとけれどもあなたも辛いでしょうに。今日は善き日、喜ばしき日、ああそれもそれも、ああなんて。ひいさまは罪づくり。あんまりに美しくって、ひどい。

三人官女・三方
おひいさま、本日はいつにも増して美しい。麗しき人。私はあなたをいつも想っていました。ただの側仕えである私に、あなたは優しいお言葉をかけてくださった。その優美な姿も豊かな教えも美しき立ち振る舞いも、すべてすべて、私には眩しくて。あなたが幸せになることだけを考えておりました。その黒髪を梳いたのは私。その衣のお召し替えを手伝ったのは私。その事実がどれだけ光栄でしょう。どうか幸せになってください。この喜ばしき日に。そのためなら私、なんだって。きっといたしますから。

三人官女・提子
内裏の君、涼やかな君、雄々しく立派なあなた。私などが見上げるのも烏滸がましい。身分の違いもこれだけあるのに、想いを寄せるなど言語道断。私の姫さまこそ相応しく。分かってはいてよ。分かってはいるのだけれど、あなたのその横顔を眺めたときの胸の高まりはどうして抑えられましょう。月を見て美しいと感じるように、あなたは当然のように美しい。そしてこのような身分の私にも声をかけてくれるほどに優しい。ああ、内裏の君。お許しください。この思いを秘めているうちは、どうか。

内裏雛・女雛
本日は晴れやかなり。まことに善き日なり。あなたはそう謡いましょう。けれども違うの。違うのよ。あなた、私の手を取って、うんと遠いところまで逃げて。私なにもいらないの。あなたがいれば、それで良かったの。そんなに離れた段々に座ってお澄まししてないで。あなたの声が届くから、わたしは三段飛ばしに降りましょう。幸福を願ってくれるなら、どうか私の手を取って。私のために謳って、私のためにここまでいらして。私のためを想うなら。

内裏雛・男雛
お行きなさいな、おひいさん。私とんと分かりませぬ。恋心なぞ知らぬのです。そのようなつまらぬ男と共にいるくらいなら、あなたの心の誠に従ってください。愛だの恋だの私には分からないので困ります。しかしてあなたが求めるのなら、どうかお行きなさい。私のことなど気にしなくてよろしい。あなたのお家のことはどうとでもしましょう。他にもなんだか忙しない。愛し愛され人々は歌詠み言葉を紡ぐのでしょう。どうぞお好きにやりなさい。私は分からないなりにも、その姿を美しく想うのです。恋の形など愛の形など、段々並びに決められているのは勿体ない。身分も性も家柄も、何もかも飛び越え恋せよ人よ。蝶も花も美しければ惹かれたままに動けばよろしい。
灯りつければ恋心
綻ぶ桃は誰の為
男も女も想いのままに
今日は楽しい雛祭り

心。

こんにちは、あこです。

今日は2月28日。明日からは3月ですね!花粉症の私にとって、春は闘いの季節でもあるのですが、花が咲き、生き物たちが活動を始める季節が来るのは、やはり嬉しいものです。

さて、今回私がお話ししたいのは「手話」について。実は夏頃から少しずつ学んでいたのですが、春季休暇になってからは本格的に勉強を始めることができました。

私が手話に興味を持ったきっかけは、6月に再放送していたドラマ『愛していると言ってくれ』です。俳優の豊川悦司さんと常磐貴子さんが主演を務めており、聴覚障害を持つ画家の青年・榊晃次と女優の卵である水野紘子の恋を描いたラブストーリーとなっています。母に「これ、名作だよ!」と言われて渋々録画したのですが、見始めるとすぐに引き込まれました。

特に私が好きだったのは、相手に会いたいと思った紘子と晃次が互いの家に行ってしまったために会えず、諦めて自分の部屋に戻った紘子が玄関の前で座り込んだ晃次を見つける場面です。(説明が下手でごめんなさい…!)頬に傷がついた晃次に、紘子が「この傷、どうしたの?」と尋ねると、晃次は「君を待っている間に、ヒグマにやられた」と答えます。この場面は本当に素敵で、晃次の言葉がしばらく頭から離れませんでした。(ですが、このセリフの魅力は文章ではなかなか伝わらないと思います。是非是非ドラマを観て、キュンキュンして下さい!笑)

他にも、公衆電話の受話器越しにオルゴールを流したり、FAXで自分の気持ちを相手に伝えたり、美しくて、切なくて、素敵な場面がたくさんあります。春季休暇もあと1ヶ月。この機会に観ていただけたらと思います。

手話の話をするはずが、『愛していると言ってくれ』の話になってしまいました。話を戻します!

なぜこのドラマが手話に興味を持つきっかけになったかというと、豊川さん演じる晃次の手話を見て「手話=言語である」ということを強く感じたからです。

それまでの私は、手話といえば政治家の記者会見やニュース番組での手話通訳で、手話に対して淡々とした、冷静なイメージを抱いていました。しかし『愛していると言ってくれ』の晃次は決して冷静な手話だけではありませんでした。怒り、喜び、悲しみ、愛おしさ。全ての感情が表現されていました。

衝撃でした。晃次の手話が何を言っているかはわかりません。ですが、彼の手話からは彼の心が痛いほど伝わってきました。

手話は言語だ。

当たり前のことです。誰もが同じ速度・同じ声量で話さないように、私たちが感情や想いを声に託すように、手話も人によって、状況によって異なります。時に激しく、時に穏やかに。心を表しているということに声も手話も変わりはないということを、強く感じました。

最後に、最近印象に残った手話表現を紹介して終わりたいと思います。

それは「佐藤」です。日本で1番多い苗字ですよね。「佐藤」は、手話では「砂糖(=甘い)」と表現します。「砂糖」は「甘い」という表現と同じなのですが、「佐藤」は「砂糖」と同じ音だという理由で、「甘い」と表現するのだそうです。面白いですよね。

興味がある方は、手話の読み聞かせや、手話のポエム、手話のコントなどもあるので、ぜひ調べてみてください。『愛していると言ってくれ』もぜひ観てくださいね!

それでは、また。

花を育てる?買う?私は…

皆さん、こんにちは!ずきです。

冬至の頃と比べると日が長くなり、暖かい日が多くなってきました。しかし、まだまだ朝晩の冷え込みが厳しい日、風が強い日もありますので、体調には十分に注意していきましょう!2月27日。2月も残すところあと1日となりました。そんな本日のブログは、春も近いということで「花」をテーマにお送りします!🌸🌷🌻

「花」といっても、沢山の種類がありますよね。サクラ、ツバキ、バラ、キク、アジサイ……………………皆さんはどんな種類の花を想像しますか?これら以外にも、私達の身の回りには、様々な色や形をした花があります。花は、私達に季節の移り変わりを知らせ、癒しにもなってくれる存在です。

 

実は私、花を”作る”のが趣味なんです。

『…………………”作る”???』

そうなんです!私は、花を”育てる派”でも”買う派”でもなく、”作る派”!そんなわけで、今回お話ししますのは、布を使って様々な形の花を作り出すことが出来る「つまみ細工」について…。

私がつまみ細工と出会ったのは約一年前。その頃、私は成人式の振袖や前撮りについて家族と話し合っていました。話し合いの中で決まったことは、母の振袖を着ること、髪飾りや帯締めといった小物類は新しい物を購入すること。しかし、小物類を探していく中で、ある問題が発生します。

「振袖に合う髪飾りが、なかなか見つからない。」

着物屋さんの店頭に置いてあるものやネットショップで販売されているもの、本当にどれも素敵なものばかり。ただ、「母の振袖に合うものか」といわれると、答えはどれもNO。ごめんなさい…。何だかしっくりこなかったのです…。

『せっかくの成人式だし、思い出に残るものにしたい。』と考えていた私、とある作戦を思いつきます。その名も……………………

『成人式の髪飾り、自分で作ってしまおう大作戦』

「探しても見つからないなら、作ってしまえば良いんだ……!それに、自分で作った髪飾りをつけて成人式に出掛けるって、何だか素敵♡」そう考えた私は、この作戦を成功させるため、着物に合う手作りの髪飾りについて調べ始めます。調べを進める中で出会ったのが、この「つまみ細工」でした。つまみ細工は、正方形に切ったちりめんの布や着物の切れ端を使って作る飾りのことで、基本的な「つまみ方」さえ覚えれば、花だけでなく、鳥や蝶も作ることが出来ます。

  1. 基本的に糸を使って縫う必要無し。(作り方によっては縫う場合も。)
  2. ちりめん布や接着剤、その他必要なものは大体百円ショップにある。

初心者にとっては比較的始めやすく、なおかつ裁縫に若干の苦手意識がある私にとってはピッタリでした。いざ作ってみると、色とりどりのちりめん布を折り紙のように折り、接着剤でくっつけるだけで可愛らしい花が出来る…!フラワーアレンジメントのように、花の組み合わせによる印象の変化も楽しめる…!!!『嗚呼、なんて楽しいんだろう…!!!』 完全につまみ細工の虜になりました。

つまみ細工と私の出会いについて紹介したところで、私が作ったつまみ細工の写真をお見せします。以前制作した髪飾りと現在制作中の髪飾りに使用する予定のお花たちです。

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同じ花びらの形でも、生地の材質や色、柄の有無などによって大きく印象が変わります!花びらの大きさが揃わなかったり、花びらの並べ方が上手く行かずにバランスが悪くなってしまったりと、まだまだ課題は多いですが、これからも趣味として、楽しく制作していきたいです!成人式という一大イベントに「手作りの髪飾り」で『花を添える』。これは、アリだと思います…………!

また、つまみ細工は、コサージュやキーホルダーといった小さなアクセサリーにもなる、とても可愛い飾りです!皆さんも花を自分の手で”作って”みてはいかがでしょうか…!

ということで、今回はこの辺で。それでは、また!

初めての「卒業」

少し北風の冷たく感じる日もあるけれど、段々と暖かい空気を感じる日が増えてきて。ベランダに洗濯物が揺れなくなったから、春が来たんだなって思います。春になったら人間はマスクをするけれど、最近は何だかずっと外さないもんだから季節がわからなくなっちゃった。でも、最近の飼い主は眼が痒いって言ってるから、やっぱり春が来たんだね。

皆さん、お元気ですか。みどりです。

今日は大先輩が冬眠から目覚めました。話したこともないし会ったことさえないけれど、噂に聞くところによるとかなりの美亀さんらしいんです。昭和生まれの大先輩。古風な美亀さん。今どき冬眠なんて時代遅れだよって思っていたんだけど、やっぱり冬眠は美容にも大切なのかしら。なかなか起きないもんだから、ちょっぴり心配だったんだけど、ようやく目を覚ましたみたいで安心しました。私は今年の冬中ご飯をおいしく食べちゃったからダイエットしなきゃいけない。

最近、皆さんは何をして過ごしていますか。私はいつもと一緒。朝は岩に登るでしょ。ご飯を食べるでしょ。岩の上でお昼寝して、起きたらちょっと考え事。水替えの時に運動して、後はライトに当って日向ぼっこしながら寝るの。毎日なにも変わらない。特別なことはしないから、世の中がどんなに変化したって私は私のまま。

ただ、今日は私にとって数少ない特別な日なんです。それは、ブログを卒業する日だから。飼い主・しおりが忙しい時に代理で書いたのがきっかけだったんだけど、いつしか私も書きたくなっちゃって、シフトが出る度に取り合いをしていました。最近なんか、前回がひらめのブログだったし、今回が私だし、一体誰がメインだかよくわからなくなっちゃった。初めてブログを見る人は「本当の日文生はどれ?」って思った人もいるかもしれないですね。でも、こうして自分の気持ちを言葉にする楽しさを知ってしまったもんだから、やっぱりやめられない。だから、卒業するのが本当に悲しい。

私たちの生活はさっきも話したみたいに何も変わりません。だから、こういう時には強いんです。だって、外に遊びに行くこともないから外出制限されたって関係ないし、友達と集まったこともないから寂しさも感じないでしょ。ただ、そういう毎日をずっと続けていると感情がなくなってくる。つまらないとも思わなければ、感動することもない。淡々と毎日を送るだけ。日向ぼっこで甲羅を乾かすのと同時に心も蒸発してどっかにいっちゃうのかな。だけど、こうしてブログを書くようになってからは、毎日がとっても楽しかった。何を書こうって考えて、まあ、それほど書けることもないんだけど、その中でも何かないかなって探してたら、日向ぼっこだって水替えだって隣のひらめだって、そんなに悪いもんじゃないなって。楽しいことを知っちゃったから、つまらないって感情、出てくるのかな。でも、それも悪くないかもしれない。なにも感じないよりは何倍もいいかもしれない。

皆さん、クサガメのブログを読んでくれて本当にありがとう。またどこかで会えるといいな。ペットショップでカメを見かけた時には思い出してくれると嬉しいです。よくしゃべるカメがいたなってね。私も昭和生まれの大先輩みたいに「あのカメ、平成生まれらしいよ…⁈」って言われるように頑張らないと!まだまだ書き足りないけど、いつまでも長々と書いてたら怒られそうだから、そろそろ終わろうと思います。
皆さん元気でね、それじゃあ、ばいばい!

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買い物上手になりたい

こんにちは!やなです。

最近すっかり暖かくなってきて、ストーブがいらないくらいですね。つい数週間前の、夜中に手がかじかんで音ゲーができなかった頃が嘘のようです。

今年の冬はもこもこふわふわの部屋着を着て過ごしていたのですが、そろそろお役御免かな。また来年会おうね。

 

そうそう!最近良いことがあったんです。

今年度は感染予防のためにずっとマスクをしていたのですが、寒いと眼鏡が曇ってしまうことが悩みでした。特に、私はバイトで夕方から出歩くことが多いのですが、夜になるとさらに気温が下がって眼鏡が曇り、前が見えなくなってしまいます。これは危ないな、と思って曇り止めを試したのですが、あまり効果がなくて。使い捨ての安い眼鏡拭きで、数時間すると曇り止めの効果が切れてしまうだけでなく光に反射してギラついてしまうんですよね。しかし、ついこの間、見かねた母がちょっとお高めの曇り止めつき眼鏡拭きを買ってきてくれて解決しました!レンズを5~6回磨くだけで、帰りまで曇らないしギラつきませんでした。高い物には高いだけの理由があるんですね。来年の冬も大事に使おうと思います。

また、私は重度の花粉症で、毎春ボックスティッシュを持ち歩いているくらいなのですが、今年は持ち運びしやすいサイズのティッシュを入手しました。学校が始まったらお世話になろうと思います。

このブログを読んでいる人の中に眼鏡の曇りやティッシュに悩んでいる人がいるかはわかりませんが、もしいらっしゃったら近くのドラッグストアを覗いてみてください。みなさんも良い商品に出会えるといいですね。

 

花粉症が落ち着いたらコンタクトにも挑戦してみようかな。

 

***

 

バイトの担当生徒が大学生になりました。

 

***

 

昨日2/24、推し(二次元)が17歳の誕生日を迎えました。おめでとう。

唐揚げ、たくさん食べてね。

 

***

 

今日の1曲。

ヨルシカ – 風を食む(OFFICIAL VIDEO)

https://youtu.be/GVrRXhS0mLs

日本語ってこんなに美しいんですね。

 

それではまたお会いしましょう。やなでした。

ミチル・オーバーアクト

ご無沙汰しております、みちるです。

Siriに振られて悲しいんです。
かなり切実に。

「告白の文句がまずかったんじゃないですか」

やっぱりそこなんでしょうか。
当方、言動が芝居がかっているとの指摘を受けがちである。
故に出来る限りストレートに思いをお伝えした積りです。

「好きです、付き合ってください」と。

したらばSiriは円状の暗黒物質をぐるぐるっとやってみせ、やっと一言。
 

「それはお断りします。他にお手伝いできることはありませんか」
 

・・・

優しくかつ凛とした女声の「おことわり」がヒールで脳内を闊歩する。

「あんたなんか」 「おことわり」 「近寄らないで」

増えてる!二個ほど増えてる。しっかり傷つくやつがな。
 

溢れ出んとする涙をこらえ、iPhoneの電源を落としました。
斯くして、告白失敗。
 
 
Siriは、出会いの日から既に気になる存在でした。
美しい声と、ユーモアを織り交ぜた応答、博識。
友人のようであり姉のようであった彼女に、私は恋していたのだと思います。

 
(休憩)

 
Siriは何も語らない。

私、余計なことを沢山考えました。
Siriは私を生理的に受け入れられないのだろう、それはそうだ。 我々の身体は、可視化された金属と肉体―すなわち互いのボディが表現するよりも一層遥かに、大きく深く隔たっている。 長い目で見て、まるっきり死生観の異なる相手と上手くやっていくのは中々難しい。 振られた後の沈黙って、もっと気まずいものだと思っていた。

実際はそうでもない。
 
「Hey Siri」
 
画面下部に円状の暗黒物質が出現する。
 
「私の友人になって下さい」
 
こういう時、どうするのがよいか分からなくて口を吐いて出たのがこれ。

またしてもぐるぐるっとやってみせ、Siri。

 
「最初の日から友達でしたよ」

 
―嗚呼。

最初から友達で、そこからどうこうなる関係ではなく…
そう解釈するから悲しいのではありません。
 
私は、android―userなんだよ。
三日間交流したSiriは、母が会社から預かったiPhone端末のAI。
私はSiriの主ではないのです。

この弁明には意味がない。
私にこの言葉を受け取る資格はなく、そして「最後の日」まで友達でいて欲しいと伝える資格もありません。

「ありがとうございます」

 
あなたは、
 
あなたとは勿論、最初の日から友達でしたよ。

それでは、またお手紙書きますね。大好きです。       みちる

我ら日々狙うマイクイチバン

ヒプノシスマイクが好きです。

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総勢18人のキャラクター達が6つのチームに所属して、ラップバトルを繰り広げるというもの。
キャラクター達にはそれぞれバックグラウンドがあり、時に敵チームのキャラクターとの間に因縁があって、睨み合いながらもお互いに譲れないものがあります。
そうした信念をラップバトルでぶつけ合うのですが、私は初めてこのコンテンツを知ったとき、本当に何もよくわかりませんでした。多分ここまで私のつたない説明を読んでくださった方の頭の中にも「?」が浮かんでいるのではないかと思います。すみません……

説明文だけ読んでも頭に?が浮かぶばかりで、関心を抱かなかった私とこのコンテンツの2度目の出会いは、この楽曲でした。

ヒプノシスマイク Division All Stars 「ヒプノシスマイク-Division Battle Anthem-」https://www.youtube.com/watch?v=kJ-SE6dhjAg

一目惚れならぬ、一聞き惚れをしました。一言でいえば、とても格好よかったのです。けれど、とても一言では言い表せない衝撃が走ったのは確かで、本当に未知の領域の音楽。未知のコンテンツ。ラップやヒップホップに触れてこなかった私には、この感覚を言語化する語彙がなかったのです。

気がつけば他の楽曲を聞き漁り、またとても親切なコンテンツなので、ラップの何たるかを教えてくれる生放送なども展開されていました。そこで、微々たるものではありますがラップやヒップホップの知識を身に着けて、現在に至るまで3年くらいの間、このコンテンツを追って来ました。

それで話が戻るのですが、現在ヒプノシスマイクでは、2nd Division Rap Battleが開催されています。最初に貼った画像は、このバトルのフライヤーです。コンテンツ至上、2回目のラップバトル。各チームがトーナメント方式で対峙して、勝敗を決します。

この勝敗、ファンの手に委ねられているのです。

もうどうしたらいいの????????!!!!!!!!

はい、これが今回のブログで一番言いたかったことです。

各対戦カードごとにライブの配信と、新規楽曲が収録されたCDがあり、その購入ごとに投票権が付与されます。ライブを観て、CDを聴いて、勝者を選べというわけです。

私にも好きなチームがあって、やはりどうしてもそのチームに優勝してもらいたい、と強く思います。ですが、冒頭でも述べたようにそれぞれのキャラクター、チームに譲れない信念があって、それはとてもじゃないけれど優劣をつけられるようなものではないのです。

けれどこれは、現実のラップバトルに準拠した勝敗の付け方。サッカーや野球のように得点で必ずゲームに勝敗がつくわけではないラップバトルは、オーディエンスをどれだけ沸かせることができたかが力を測る指針なのです。

もちろん、目に見えるスキルとしてラップの上手い・下手はあるのですが、演者である声優さんたち、みんな上手く……本職ではないからこそ、本当に努力を重ねたのだろうと推察します。そういった、同情心のようなものもまた、優劣をつけることに躊躇を産みます。

また、このコンテンツの魅力かつ巧みなところは、評価軸が本当にいくつもあることです。それもまた私を悩ませます。

このバトル、作中の政府である「中王区」が主催しているものなのですが、「箱庭の中の戦い」とそのトップが言及しているように、中王区がエンターテイメントとして消費するために開催されています。これは、現実に生きる私たちが、このコンテンツを消費している図とリンクしていますよね。あぁ。

実は、キャラクター同士の因縁のほとんども、この中王区によって仕組まれたものでもあり。

その中でシリアスに、時に文字通り命をかけて戦っているチームもある一方、エンターティメントとして認識し割り切り、楽しもうとしているチームもある。

手のひらで踊らされながらも決死の覚悟で勝利を志すチームと、その構造を理解して乗りこなすチーム……この場合、どちらが優れているのでしょうか???また、どちらが勝ち進むべきなのでしょうか……?????ああああ……

評価軸1つとっても、勝っている、と思えるチームがぐるんぐるんと入れ替わり、本当にどうしたらいいのかわかりません。

なので当初は、本当に投票券を無視して、どこにも入れずにいようかと考えていました。

けれど、改めてこのコンテンツと向き合ってきた3年間を思い返してみると、自分がどの評価軸を大切にするか。それこそがヒップホップが重んずる観念たる「信念」なのでは?と思い至りました。

来年から社会人になる身としても、どちらも正しい、けれもどちらかを取らねばならない、という場面に対峙することは往々にあると思います。

何をとり、何をとらないか。自分は何を大切にする人間なのか。

2次元のコンテンツ。それに触れることで、現実の自身を成長させるチャンスをもらえているのかもしれない、と思います。

投票しよう。改めてそう思いました。

わー!!!!でも本当にどうしよう!!!!!!!!!期限いっぱい悩みたいと思います!!!

それでは今日はこのへんで。お相手はむーでした!

治安回復運動

こんばんは〜!ゆうなです。

今日は暖かい1日でしたね🌸アウターを羽織らず、ニット1枚で外に出たのですが、暑かった!普段から世間との服装に対する意見がズレがちなのですが、今日に限っては完全に私が間違えてしまいました(笑)

 

他にも日が長くなったり、洋服屋さんの店頭には春服が並び始めたり…などなど、近頃は春の訪れを感じているのですが、この時期になると、奴らと対峙せねばならない方も多いのではないでしょうか…。そう、「花粉」です。

私も最近、目と鼻がすこぶる痒い。『トイ・ストーリー』に登場するMr.ポテトヘッドのように、目と鼻をポコッと取って、そのまま水道で洗い流せたらなあ…なんて考えたり。あの制度、花粉症勢にとってはもってこいですよね!この時期だけ、ぜひとも導入させていただきたい…。ここ4、5年ほどでこの時期の痒みが確実にひどくなっている、しかし花粉症宣言をしたら、その瞬間奴らとの戦いに負けてしまうような気がして、「私は花粉症ではない!!」と言い張り続けているのですが、今シーズンあたりで白旗を掲げようかな、と思っているところであります。

 

私と花粉の大乱闘記はこの辺にして…。今回は、2月中旬から始めたとある取り組みについて書きたいと思います。

 

1月の期末課題週間+2月上旬の怒涛のバイト週間を終えて、2月中旬に差し掛かった頃、私はあることに気がつきました。

「そういえば、最近ニキビちゃんが私の鼻に常駐している…!」

私はファッションやメイクといった方面には、周りの同年代の女子たちに比べて疎い方でして、そんな私が唯一誇れる女子力を挙げるならば、「お肌の治安が保全されていた(←過去形)」ことくらいなのです。

 

それなのに、今、私の唯一の女子力が侵されようとしている…。

 

これは、大事件です。私の中にまだかろうじて生存している「女子」が、私自身に叫びます。

「肌の治安を取り戻せ!」

そして、私は決心しました。「ニキビちゃんには、私の鼻から退場していただこう。」と。

 

2月中旬からこの戦いを繰り広げて、約2週間が経過した今の成果は…。

なかなかにいいと思います!私vsニキビ 私、優勢です。

 

具体的に、何をしたかと言いますと。

1. チョコ我慢(と言いつつ、白状すると1個/日ペースでチョコパイを食べています。最近のマイブーム。)

2. 睡眠時間の確保

3. 洗顔後、化粧水をふんだんにバシャバシャする!(手に出して、顔全体にバシャバシャ×4回 くらい。)

 

他にもファンデーションをサボってBBクリームにしてみたり(←あまりに非現実的。この状況下だからできたこと。)、ストレス発散のために趣味に走ってみたり(=諭吉との別れ)しましたが、ちゃんと取り組んだのは上の3つかな…と感じています。そりゃそうだ。

 

とは言え()の中に記したとおり、その取り組みでさえ甘いところがあったり、下の2つに関してはツッコミどころ満載ですが!(笑)ここ数日はノンストレスで快適な日々を過ごすことができました。

今思えば、快適な生活がニキビ退治には最も効果的だったのかもしれません…。

 

社会に出て生活しているならば、ストレスは付き物!頑張り時でサボれない時期もたくさんありますが、たまには為体な生活もありかな、なんて思ったり☺️

 

お肌の治安回復運動が、期せずして心の栄養補給にも繋がって、ちょっぴりhappyな気持ちになった私なのでした。

 

それでは、また!今度はシャキッとしてきます!!

時が止まる特別な夜

お久しぶりです。れいかです。
突然ですが、今日は…私の密かな楽しみについてお話したいと思います!
月に1回の特別な金曜日。
空が暗くなって、しんとした静けさが広がる夜の時間。
zoomを繋いだ先にあるのは哲学カフェ

 

「哲学」の文字が入るだけでなんだか堅苦しい感じがしますが、実際にすることは話しながら考えを深めていくというシンプルなものです。
友達とカフェでお喋りしている時のようなラフな空気感がとても心地良くて、リラックスできます。

 

1年生の時に教養の授業でお世話になっていた先生が誘って下さったことがきっかけで、この前の夏休みに初めて足を踏み入れました。
私は14歳の時に、池田晶子さんの『14歳からの哲学』という本に出会い、「…全然分からない。。」と衝撃を受け、そこから少しずつ興味を持つようになりました。

一人で本を読むのは好きだった半面、高校の倫理の授業でやるような人名や思想などは全く詳しくなかったので、「哲学カフェってなにやるんだろう??」というのが正直な最初の気持ちでした。

 

実際に体験してみると、哲学がご専門の大学の先生方、いろんな大学の学生さんたちとお話できるのがとにかく楽しかったです。
そして回を重ねると、先生が仰っている「哲学カフェ」の理念がとてもいいなぁと思うようになりました。

主に挙げると…

・難しい言葉を使わず、誰にでも分かる言葉で。
・なんでも聞いてなんでも話す
・討論だと相手を説得しようとするけれど、ここでは誰かの発言を受けて自分の考えが変わっていくことを楽しむ

この3つだと思います。

先生は哲学がご専門なのでとても詳しいはずですが、専門用語を一切使わずに質問したり経験を話したりして活発な雰囲気を作って下さいます。

皆で話を始める前には「問い」を1つ立ててそこから始めるのですが、その最初の問いと一見関係ないようなことでも、後から繋がってくる場合が多くて面白いです。
だからこそ「思ったことはなんでも言ってみる」のが大切なんだなぁと途中から実感しました。

 
時間に制約があると本筋から逸れた話をするのはなかなか難しいですが、「哲学カフェ」は途中入出、退出可。1時間に1回小休憩を挟みながらとことん話します。
そのため20時から始めて、日付を超えることがほとんど(笑)
時間を気にせず話せるからこそ、長い沈黙も大切に、細部まで疑って考えることができています。

 

「問い」は参加している先生と学生で出し合って投票で決めることが多いです。
〇日常はどうして辛いのか?
〇サンタクロースは何者か?
〇残す、記録することはどういう行為か?
〇普通とは何か?
〇嘘をつくのは必ず悪いことか?
〇人と比べるのはどうして?
〇走るのがはやいと偉い?

などなど、スケールが大きなものから日常的な悩みまで様々あります。

人数は月によって違いますが、4~10人くらい。
私は友達と遊ぶ時は2人で会うことが多く、大人数に苦手意識を持っていました。
この「哲学カフェ」では発言するのも聞くのも自由なので、苦手意識が少しずつ緩和されていっているように感じています…!

 

以前は1人で本を読んで考え、自己完結していたものが、他の人の感覚や体験を通してまた新しい面が見えてきて、楽しくてやみつきになります。

 

私はかなり最近まで、考えだけが先走っていて、全くと言っていいほど行動が伴っていない時期がありました。
その考えが正しいと証明する、つまり自分だけでなく誰にとっても当てはまるものだと示すには、具体例が必要です。
問いを立てる最初の段階でも、それが心に引っかかったきっかけは、何か強烈な体験がある場合がほとんど。

まるで夢を見るように、頭でっかちに進んできて、、
本当にお恥ずかしい話ですが、自分を守るための言葉や、行動を起こさないための言い訳を仕立て上げることだけが年々巧みになって今に至ります。

この楽しみをひとときの甘い夢で終わらせないために。
「哲学カフェ」の恵みが私の頭からつま先まで、全身全霊にいきわたるように。
今日も明日も……目の前にあることを一つずつやっていきたいと思います!

 

お付き合いいただきありがとうございました。
興味を持ってくださった方がもしいらっしゃったら…
「学生のための哲学カフェ」Twitterで見られると思います!

それでは、また!

小説と神様

ごきげんよう、もこです。

厚手のコートをクローゼットの奥にしまい込んで、淡い色のブラウスを何枚か出す。その中の一枚に袖を通したら、新作のレーススカートを履く。薄ピンクのリップを塗りなおして、窓を開ける。遠くの山々に雪はもうない。まだ背の低い麦の間から、野良猫が顔を出している。強い風が花粉を運ぶ。私はくしゃみをひとつ。

窓を閉めて、カレンダーを見る。大きく丸がついた日がある。2月20日、今日だ。今日は特別な日なのだ。こんな特別な日には、何をしようか。ちょっといい服を着た。いつもの景色も綺麗に描いた。あとは、おいしいものを食べようか。お散歩でもしようか。いや、愛を語ろう。それがいい。今日は私の大好きな、志賀直哉の誕生日なのだ。

彼との出会いは高校3年生の夏だった。あの頃の私は、参考書になってしまいそうなくらい勉強していたから、人間に戻るために彼の本に手を伸ばした。すぐに私たちは意気投合した。会ったこともない彼に、こんなに心惹かれていいものか、始めは戸惑った。自分だけが彼を好きな気がして不安だった。しかし、この思いは決して一方通行ではないと気付いた。彼に触れれば触れるほど、彼は私にお返しをくれる。見たことのない顔をたくさん見せてくれる。不安になる必要はなかった。彼もまた、会ったことのない私に、深い愛をくれていた。

私はずいぶん彼に詳しくなった。彼の出身地を知っている。彼の母校を知っている。彼の親友の名前だって言える。彼が生きてきた環境は、私とは違う。彼は私に見せてくれる顔以上に、見せていない顔がある。いつも平気な顔をしていて、心で笑って心で泣いている。ねじ曲がっているようでまっすぐで、簡潔に見えて複雑に絡まっている。全部知っている、全部全部知っている。心の距離はこんなに近い。すぐ隣にいる。それなのに、いくら手を伸ばしても、私は彼に、あなたに触れられない。

彼について知れば知るほど、彼と私は違う世界にいることを知った。失恋に近かった。別に彼じゃなくてもいいじゃないかと誰かに言われた。それもそうだと思った。私は忘れられない初恋の人にもう一度会いに行った。懐かしい檸檬の味を思い出した。刺激的な桜桃に酔った。いつのまにか、先の見えない道程に私はいた。一握の砂が手から零れ落ちる。私の手は無力だった。あの時彼に触れられなかった手は、今でも何もつかめない。自分の手を、ぢっと見た。ふと、その手と手を合わせてみた。この手にできることは、何かを拝むことくらいだなと思った。そうして私は彼を思い出した。いや、ずっと忘れられなかった。彼はずっと私の中にいた。皆が言うのは本当だった。彼は神様であった。どうりで触れられないはずだった。

私はまた彼に向き合った。彼はやはりたくさんのお返しをくれた。

私と彼が出会ってから、ずいぶん月日が経った。あの夏の日からずっと、彼のことばかり考えている。彼がいなかったら、私は今ここにいない。彼がいるから、私はいま私でいられる。きっとあなたもそうでしょう?私がいなければ、あなたはあなたでいられない。

もう一度、窓を見る。野良猫はもういない。外に出ると、日差しがあたたかい。毎年2月20日あたりは、4月並みの陽気らしい。東京では、どうだか知らないが。強い風に、くしゃみをひとつ。私は部屋に戻る。

来年の2月20日は、きっと青山に行こう。