一夜一夜に

 すさまじい男性を目の当たりにしました。
 自分の理想が生きて独立した姿で歩いているかのようでした。ええ~もう そら~もう すっっごかったぜあの衝撃は 打ってもいないヒロポンの禁断症状を心配した つまり幻覚でも見たかと思った 相手が佐々木倫子の絵で自分は漫☆画太郎の絵になったかと思った あれこそは塩見の藤木であり三島の近江であった……
 私の脳中の外には実現されまいと思っていた姿であった それであるだけに、ていうか脳中でも薄ぼんやりとした概念以上の美ではなかっただけに、いざ目の前に出されてみると驚愕と同時にすさまじい喜びでした。あまりにもすごかったのでただ視界に入れるだけでさえ照れるわ恥じるわ恐れるわ、一夜を経た今となってはそのお顔なんてまったくといっていいほど覚えていませんが、ともかくそうした印象を強く受けたという記憶が非常に鮮やかです。名も知らぬ彼の母上と日付も知らぬ彼の誕生日に感謝したいと思います。
 しかもものすごいことには、その美貌が勤めている中華料理屋が、まさに私が姉と伴って訪れた昨日を最後に閉店するということです。一期一会にもほどがあろうよ。廃れゆく店舗が見せた一夜の幻だったのではないかとさえ思います。
 長いんで折り畳む
 

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