こんばんは。あやです。
この学科にいると、いたるところで「何かオススメの本は?」と聞かれます。しかしこの「本」という括り、大抵は(最近のもの)(読みやすいもの)(ただし小説に限る)などという暗黙の了解が入っていると思うのですが、皆さんはいかがでしょうか。
案の定、今回は母からオススメの本を聞かれました。ただし、今回の要望は「何か考えさせられるような本」。
「本」、ここで先ほどの暗黙の了解を思い出してみてください。「考えさせられるような本」とは、訳をすれば「最近出た本で、読みやすく、考えさせられるような小説」という意味です。この絞り込みを怠ると「読んだけど…うん、まあ面白かったよ」という何とも言えないコメントを貰うか、最悪の場合、読んですらもらえません。
悩んだ結果、天童荒太著『悼む人』をオススメしました。
本の帯には七年の歳月をかけ、著者が「この世にいま一番いて欲しい人」を描いた奇跡の傑作とある第140回直木賞受賞作。高校の頃に授業で読み、「久々にすごい本に出会ったなぁ」としみじみした思い出の作品です。
母の読了後、「作品の解釈を話し合いたい」と言われたので、高校の頃に書いた作品論を引っ張り出し、自分の拙い(そして恥ずかしい)文章を読み解きつつ作品全体について語り合うこと約2時間。かなり長くなりました。しかし、オススメした「考えさせられるような本」でひとまずこれくらい感想や考察を出せたら万々歳かな、と少し安心もしました。
最近は古典作品ばかりを相手取っていたので、久々に現代の作品と向き合いましたが、『悼む人』の面白さは尽きません…。まだ色々と考えられそうなので、冬休みか春休み辺りにもう一度じっくり読んでみたいと思います。
未読の方は是非お手に取ってみてください。
あや