先日ゼミにて、担当の先生から呼びかけの形で「4年生の皆は勿論卒論進んでるよね?」と言われましたが、何も答えられなかったももなです。最近度々でメディアで「ボーっとすることは脳にとって刺激になるので大事」と言っているのを自分の都合の良い方に解釈している日々です。即ち、「いつも頑張っているからたまには頑張らないでいることも必要だよね」というのを正解とすれば、「あ、ボーっとすることって脳めっちゃ使ってるんだったらいつも私めっちゃ使ってるやん、じゃこれでいいじゃん」という不正解を正解だと言い張っているのですね。
週2回の大学以外じゃ何をやっているのかと言いますと、やたら映画を見ております。
「元々映画が大好きで、日本文学科に入った理由の一片にはそれも関係しているんです~」
という訳ではないのです残念ながら…
私はグロい怖いホラー血飛沫等々がまるでダメな為、アクション系やホラーなどは全く見ない代わりに日常系といいますか、ほのぼのとするようなものを好みとしております。そのため、今まで見たものは「A列車で行こう」とか「舟を編む」とか「清須会議」とか、安心して見ていられるもの+邦画ばかりでした(とは言いつつ一番好きな作品は小学生の時から「踊る大捜査線」という矛盾…青島くん大好き)。それがどうしたことでしょう、近頃見ているのは単館系且つ海外映画ばかりではありませんか。
直近で鑑賞したラインナップは
①イヴ・サンローラン
②ウィークエンドはパリで
③リスボンに誘われて
でした。「ほのぼの」が好きから延長して「ステキな画の作品(というか広告)」に惹かれたのだと自己解釈をしているのですが、どういう訳だか蓋を開けたら①②はPG12でした(開けるも何もチラシに書いてある)。私はたぶん生まれてこの方年齢制限・警告のある映画は見たことが無かったのではないかと記憶しているので、年齢的には無論何の問題も無いとはいえ無駄にドギマギしておりました。そして観劇順に作品を並べたのですが、直近のものになるにつれ個人的に満足度の高い作品に出合うという不思議な組み合わせとなりました。
で。問題なのは一緒に観劇した人間でして、何故かよりによってPG12指定の2作を母と観に行ってしまったのですね。別にR18じゃないし、とタカをくくっていたら、②はまぁいいものの①が・・・イヴ・サンローラン…
映画のキャッチコピーは
「あなたは目撃する。永遠のエレガンス 誕生の瞬間を。」
予告もろくに見ないまま、このキャッチコピーに「ステキなオートクチュールとプレタポルテの世界を垣間見られるのかしらん」とわずかに残った乙女心を弾ませながら足を運びました。
始めの10-15分は平穏に過ぎたのです。異変を感じ始めたのはその後。イヴの相棒・ピエール(明らかに彼がいなければイヴはイヴとして存在しなかった)と仲睦まじい…と思いきやいきなりきゃっきゃうふふのお散歩に、キスまでし始めたではないか。私の隣に座っているのは実母である。一体どうしたことかこの状況。純粋無垢な私はテレビでドラマのキスシーンはおろか抱擁シーンですら気まずさを覚えるというのに、である。とはいえ、イヴサンローラン財団初の公認作品。まぁここだけやり過ごせば大丈夫だろうと思っていました。
が。時間がたつにつれ、話が進んでいくにつれ、それはどんどん濃くなってゆき、精神病院に入ったとか、Diorから独立したなどの下りももちろんあったにせよそういった所ばかり気になってしまうのです。芸術の世界には同性愛者が多いとはよく聞く話で、私なんかは卒論も半分それに足を突っ込んだような話でありますし所謂偏見というような視座はないつもりであったのですが、それにしても絵が「濃かった」為、私の気まずさも一周し「もうどうにでもしてくれぇ」となっておりました。順番が前後してしまいますが、ショーのシーンも(「濃ゆい」ところよりは比率は下がりますが)あり、それはそれは美しいファッションのライン・モデルさんなどを堪能することが出来ました。
鑑賞後、母と一応感想を言い合っていましたが、やはり目につくところは同じようで。
煌びやかな世界にこそ、光と影のコントラストは強いとは思いますが如実に、想像以上に浮彫になっていた作品であるかのように思います。そして、軽く魂を持って行かれた気味があるので、鑑賞する際には「オートクチュールの憧れ」よりも「あらゆる世界を受け入れる気持ち」を強く持って鑑賞した方が本来楽しむべき点を正確に楽しめるのではないかと思いました。
と、珍しく映画評のように(しかも①だけ)なってしまいましたが、次は(懲り性もなく)③リスボンに誘われての話をしたいと思います。
「リスボンに誘われて」は今年見るべき作品No.1と言っても過言ではない・・・