活動写真ⅱ

映画「まほろ駅前狂奏曲」チームが出るということで、いつも以上に録らねばと意気込んでいた「VS嵐」を録画し忘れていたことに番組の3/4が経過してから気付きました。はぁ。ただでさえ嵐なのに。心に空いた傷を癒そうと(大袈裟)PCでにのさん(番組のにのさんではなく)を漁っていましたら、「何度顔をこねくり回そうが逆立ちしようが手の届かない人である」ことを、とても強く改めて感じると共に大変な虚無感に襲われました。好きなものを好きなだけすることが必ずしも心の傷をいやすとは限らない(どころか拡張する)こともあるのですね。1日嵐は1時間までと心に言い聞かせた次第です。
さて、前回映画「リスボンに誘われて」のことを書く!と息巻いていたので、もう一度息を深く吸い込んで息巻きながら書こうと思います。この映画のキャッチコピーは
「ページをめくるたび、人生が色鮮やかに輝いていく。」
です。
2004年に出版された、パスカル・メルシエの「リスボンへの夜行列車」を原作とするこの作品。
あらすじは、(自分で書いてはどこからがネタバレになるのかの自信がないから、というタテマエのもと)公式ページから引用・参考にさせていただきますと
[スイス ベルンの高校で、古典文献学を教えるライムント・グレゴリウス。5年前の離婚以来孤独な独り暮らしを送るが、不満はなかった。だが、学校へと向かうある嵐の朝、飛び降り自殺を図ろうとしていた女を助け、彼女が残した1冊の本を手にすることから物語が始まる。本に挟まれたリスボン行の切符を届けようと駅へ走り、衝動的に夜行手列車に飛び乗ってしまうライムント。リスボンに到着すると、本の作者であるアマデウを訪ねる。彼の妹は留守だと告げるが、実は彼は若くして亡くなっていたと知り、ライムントは彼の親友や教師を訪ね歩く。医者として関わったある事件、危険な政治活動への参加、親友を裏切る程の情熱的な恋。そして遂に、彼が本を記した本当の理由に辿り着く――。]http://lisbon-movie.com/story/
というところです。
私が「観たい!」と思った直接的な理由は、主人公ライムント演じる俳優さんの姿が、大変に私の高校の恩師に似ていて「!!!」となったからであります(!!!の本意はお察しください)。外国の俳優さんというのには滅法疎く、それこそ「ブラッドピットとアンジェリーナ・ジョリーくらいしか分からん」のですが、オスカー俳優ジェレミー・アイアンズという方だそうです。知識と教養に溢れる主人公の真逆である私は、最初かなりお恥ずかしいことに「リスボン」が名前は知っちゃいるけどもどこの国なのか知らなかったのですね。ポルトガルの首都なんですけれども。
映画は主人公が人々を訪ね歩く時間軸と、アマデウという人物がその本(この世に100冊しか存在しない本)を書いていた当時の二つの時間軸で映像が流れます。アマデウの時間軸は、リスボンで(wikiに依れば)ポルトガルで3度目の革命がおこる前のレジスタント活動の頃で、少しだけ全面的にグロ怖映像・音声がダメな私は耳目を覆い隠すこともなくはありませんでした。けれどもそれ以上に当時の人々の「強い意志と共に生きている」ことの強い印象に大変感動しました。そりゃ生きている人間は誰でも生きている訳ですが、「なんとなく」とか「惰性」とは無関係な必死さ、「おんぶにだっこ」の影も形もない、自分の足で立ち人生を生きるということをこれでもかと見せつけられたように思います。いくら時代的背景は全く違う(レジスタント活動に関係していたアマデウ周辺は秘密警察に追われていた)とはいえ、「いやそれにしても自分の足で立ってないなぁ人の背中に寄りかかりまっくて足ブラブラさせてるわ」と帰りの電車で省みていました。
チラシの力だけに誘われて見て、これだけ収穫のある映画に出会えるというのも大変嬉しかったのですが。
そういえば、この映画にコメントを寄せている方々の中に作家の池澤夏樹さんがいらっしゃいました。今年見た、別の外国映画(「ローマ環状線、めぐりゆく人生たち」)にも寄せていらっしゃいました。今回の映画はとても腑に落ちたとはいえ、話を動かす大本の本(アマデウの著作)のセンテンスが全て一々深く、一度の鑑賞では全くと言っていいほどすぐの理解ができませんでした。そして、「ローマ環状線~」は第70回ベネチア国際映画祭でドキュメンタリーとしては史上初の金獅子賞を受賞したという折り紙付の作品にも関わらず私のしがない頭は全然理解できませんでした…(隣に座っていらしたおじさまも終わった後「…なんだか難しかったね」とおっしゃっていたから、これはきっと頭だけでなく文化の違いとかそう色々な壁が理解を抑制したに違いないのだ)。と思うと、やっぱり作家の脳みそは違うわと尊敬せずにはいられませんでした。本当に。
ここまで書けば言うまでもないでしょうが、私としては見なきゃ絶対損のゴリ推し映画な訳です。所によっては劇場でポルトガル産のクッキーやらツナ缶やらを配っていた(る)らしいので是非に。…うらやましい。
この映画の前に予告をしていた「至高のエトワール」(パリ オペラ座で16年間(!)に亘りエトワールを務めた女性に密着した映画)も見たいし、「グレースオブモナコ」も見たい…(既にチケットは取ってしまった)。「至高の~」は、バックに流れていたくるみ割り人形の音楽を久々に聴き、忽ちに久々に見たくなってこれまたバレエの「くるみ割り人形」のチケットを取ってしまった。。。一時期は母と「くりみ割り」見ないと年が明けぬ、と言ってたほどだったあの熱が再燃している模様。
卒論への道を阻む誘惑が多すぎる…!
好きなものを好きなだけすることが必ずしも良いとは限らない(自戒)。
余談ですが、「リスボンに誘われて」でググったら、関連するキーワード一覧が
誘われて 誘われない 誘われたい 誘われた 誘われ方 誘われたら 誘われ上手 誘われてる 食事誘われ 誘われ待ち
…この言葉を使うだけで簡単な話が出来そうな並びで、しかもリスボンが全く関係していないじゃないかと大変愉快でした。
「会社で気になる彼に、私じゃなく隣の席のあの子ばっかりが食事に「誘われて」、私は全く「誘われない」。彼ったら絶対に私の気持ちに気付いている筈にあんな態度で、しかも私の前であんな堂々と…。私だって「誘われたい」。そう思いながら幾月か経った頃、突然私は彼に「誘われた」。いざ「誘われたら」、今までの嫉妬なんか吹っ飛んでしまった。うまく「誘われ上手」を演ぜられたかしら。多少慣れてる位じゃないと、目の肥えた彼のお眼鏡には叶わなさそうだし…。それでも「誘われている」という事実に胸をときめかせ、読者のいない自分のブログに早速「食事に誘われたっ」と書いてしまった。早くも私の心は彼からの次のデートの「誘われ待ち」をしている。」
・・・ほら!出来るじゃないか!!携帯小説・二次創作を含む小説創作など全くしないが、こうしてやってみると大変ベタだがなかなか面白い。たまたま今日読んだ小説が恋愛モノであったからか、やけに筆がノッてしまって苦笑せざるを得ないけれど偶にはこんな悪遊びも面白いなぁ…。