美しきは目の保養

去る11月29日、母と共に久しぶりにバレリーナ・上野水香さんのバレエ鑑賞に行ってまいりました!

第21回神奈川国際芸術フェスティバル 神奈川県民ホール開館40周年記念
上野水香プロデュースバレエ
Jewels from MIZUKA

あまりテレビには出演なされていないと思うので、もしかしたら「誰」と思っている方も多いかもしれませんが、間違いなく史上最高のプリンシパルでございます。彼女は、1993年のローザンヌ国際バレエコンクールにてスカラシップ賞を15歳で受賞した後、モナコへ2年間バレエ留学、首席で卒業。帰国後は牧阿佐美バレヱ団で活躍し、2004年から東京バレエ団にて活躍なさっています。詳しくは彼女のホームページを見ていただければ!
私がよく彼女の演目を鑑賞していたのは小中学生の牧阿佐美時代で、「くるみ割り人形」金平糖の精、「白鳥の湖」オデット・オディール、「ドン・キホーテ」キトリ等を見させていただきました。彼女の何がすごいかと言いますと、まずその柔らかさ!「バレリーナは身体が柔らかい」というのは当たり前のことだとは思いますが、比じゃない。トゥシューズで立った時の足の甲がですね、普通つま先立ちをするだけならば床と足の甲は「垂直」になるかと思うのですけれども、彼女の場合足の甲が前に出るのですね。つまり甲が美しい曲線を描くわけです。中々そんな方はいらっしゃいませんし、踊っている時のみならず最後にお辞儀をする場面で後ろに下げた足(トゥで立っていないとき)すらも曲線が美しい!バレエの衣装で有名なチュチュは、バレリーナの足使いがよく見えるようにということで発生したと言われていますが、上半身を隠されても本当に足使いだけで「水香さんだ!」と分かる確信があります。
そして2つ目は表現力でございます。一口に「バレエ」と言っても、先に挙げたように様々な演目がございます。先の3演目は所謂「古典」なのですが、「ザ・カブキ」という忠臣蔵をモチーフにしたものなどの現代バレエもあります(大学に入ってから一度水香さんの出演回で見に行きました…!が、古典とはまるっきり違う!古典は「王子様」「お姫様」が基本モチーフですが、現代は夢物語ではなくとにかくメッセージ性が強いし、なんというかキビキビしてる…)。どんな踊りをとっても0.1秒の無駄もなく、常に「何を伝えんとしているのかが分かる」踊りをなさるのです。手足が長細く、顔が小さいことに加えものすごい目力を持ってらっしゃり、それらを総動員して客席に表現を弾け飛ばしてくれるのです。特に「白鳥の湖」のオデットとオディールの演じ分けが、もう、別の人がやってるんでないかというくらい。オディールが悪役なのですが、如何にも悪女のオーラを出しながら確実に王子を誘惑していく踊りはまさしく「惚れてまうやろ」です。
えー、それで、今回の公演なのですが、水香さん初のセルフプロデュース公演でした。神奈川県民ホール40周年記念と冠がついているのは、水香さんが神奈川県は鎌倉育ちというゆかりの土地ということもあるそうです。とはいえ、出演者は水香さんのみならず著名な海外アーティストや、彼女が所属する東京バレエ団からも何人か出演なさっておりました。「バレエ」というと堅苦しいイメージを持っている方も多いかもしれませんが、彼女の今回の公演では、オープニングとエンディングが設けてあり、それがなんともお茶目で可愛らしかったのが印象的でした。所謂ドラマのオープニング・エンディングのような。一般に出演者紹介というのは、当日のパンフレットにのみ書いてあるのが常なのですが、オープニングでは出演者名の紹介なども舞台装置を使って行われているのが新鮮でした。演目は合わせて10演目程あったのですが、うち水香さんが出演したのは
オープニング
レ・トロワ・ジムノペディ
シャブリエ・ダンス
ドン・キホーテ 第三幕より
チーク・トゥ・チーク
エンディング
でした。もうどれもこれも筆舌に尽くしがたい!レ・トロワ・ジムノペディは、白いドレス風の衣装に黒の長手袋で登場。まるで猫のように相手役の男性を魅了するかのような踊りが可愛らしく、最後男性を残して去ってしまうところも気まぐれな猫のよう。とてもアクロバティックな振り付けで、スケートでいうところのリフトが何度もありましたが、大胆な技術が含まれているのに気まぐれな猫のように見えるところも表現力故かと思います。また、私の母などが予てより見たがっていた「ドン・キホーテ」!キトリははまり役で、情熱的な演目にその目力、踊りのメリハリがとても映えていました。ここまでなんやかんや偉そうに書いてきていますが、もうコメントすることさえ恐れ多いというものです…。
最後、エンディングで、出演者全員がラインになってポーズを決める場面があったのですが、その中で「白鳥の湖」のアダージョを踊った吉岡美佳さん演じるオデットとウラジーミル・マラーホフさん演じる王子が、オデットが頬にキスをするようにくっついていらしたのですね。「白鳥の湖」は言わんと知れた悲恋の物語ですが、その二人がお茶目にもくっついているのを見てたまらなく悶絶していました。かわいい!!
完全に私物化した本ブログエントリーとなってしまいましたが、ただ一つ言いたいのは「水香さんのバレエ、一度は生で見たほうがいいよ!!」ということです。男性のバレエダンサーもイケメンな方ばかりで、そういった意味でも目の保養です(笑)水香さんは、来年2015年2月7日(土)14時開演の「眠れる森の美女」(@東京文化会館)にも主演されるそうなので!ぜひ!どうやら学生料金もあるようなので!ぜひ!!