さえこです!百草園は梅が満開ですよ!春の訪れを感じるこの頃です。
昨日、粟谷能の会に行って参りました!〈三輪〉と狂言〈花盗人〉、そして〈正尊〉。全部最高でした!ちなみに今回は脇正面の、端の方の席。え!?正面から観れないじゃん!と、心配していたのですが、端の方にも演者は来てくださるんですよね(笑)近くで観ることができて幸せでした。
粟谷能夫さん演じる〈三輪〉は、もう、美しい!一つ一つの所作が丁寧かつ上品で、女に生まれてよかった!!と唐突に思いました(注:演じている方は男性です)。三輪明神にメロメロですよ。そこに座っているだけなのに、頭を下げたくなる衝動に駆られます。なんてったって神様ですから。そりゃあ頭を下げたくなるでしょう(何言ってんだ)。
今回は「神遊」という特別演出がありまして、リズミカルな音楽が演奏される中、三輪明神が舞うんですね。ここは天の岩戸の前の、神楽を再現する場面です。これがまた美しい。実に自然な、趣深い舞なんです。そんな姿に見とれていると、今度は破の舞が始まります。先程の舞とは対照的な、実にキレのある舞です。この緩急に、感動が生まれるわけです。さらには「三輪明神は天照大神と一つなんですよ」というオチにも感動しました。いやはや、能の世界には限りがありません。
狂言は野村万作さん演じる〈花盗人〉でした。本当に万作さんの演技は素晴らしいです。喜びも悲しみも驚きも、人間の心の底から表現しているように感じました。いつでも、あんなふうに笑ったり泣いたりしたいですね。
粟谷明生さん演じる〈正尊〉は、ハラハラどきどきの物語。見終わってからは「スゲー!スゲー!」と、日文らしからぬ言葉ばかり連発していました。だって凄かったんだもの。
正尊は源頼朝からの逆らえぬ命令によって、源義経の首を狙い上洛します。しかし、武蔵坊弁慶によって、強引に引き立てられてしまいます。弁慶と正尊、お互い睨み合い(この場面ヤベェ)一触即発の雰囲気です。状況を打開すべく、正尊は偽りの起請文を読み上げます。偽りの起請文を読む正尊の、一つ一つの言葉には力がこもっていて、すっかり聞き入っていました。正尊の力強い声とは対照的に、静御前の子方、友枝大風くんの声は高くてなんとも可愛いかったです。舞も謡も上出来、しっかり勤め上げていました。
そして迎えた決戦の時、もう、凄かった!!何が凄いかって、まず人数が凄い。立衆が五人、加えて江田と熊井、姉和の三人が現れるんですね。装束のキラキラが堪りません。これだけで迫力満点です。が、これだけじゃ物語は終わりません。次に、みんな太刀を抜いて戦い始めるわけです。その有り様が凄い。もう、バッタバッタ人が倒れる。斬られて座ったり(これは表現として分かる)、斬られて仰向けに倒れたり(初めて見たらビビる)、斬られて前に倒れたり(!?危ないよぉッ!!)。信じられますか?これ、みんな正尊の郎党なんですよ?この時の正尊の気持ちが分かりますか!?(熱い…)哀しい運命を受け入れた、決意のある男の姿に、感情移入せずにはいられません。ついに正尊が義経&静と戦います。正尊がんばれ…(´・ω・`)とか思っていたら、やっぱり力の差によって捕らわれてしまいました。正ぉ尊んんんんッ!!(´;ω;`)彼は何も悪くないよぉ!!泣
〈三輪〉でうっとり。狂言〈花盗人〉で笑ってほっこり。最後の〈正尊〉で口があんぐり。終始、眼が離せませんでした。今回の粟谷能の会、お腹いっぱい大満足です。お誘いくださいました粟谷明生さん、石井倫子先生に改めて感謝申し上げます。以前にも増して、能に興味が湧きました。これからもずっと、能に関わっていきたいなと思います。今度は一緒に、能を観に行きませんか?さえこでした!