佐渡島に行ってきました。
サークルの合宿であります。
いったいなんのサークルであったのかといいますと
「能」です。
正確には「仕舞」を練習するサークルです。
能の演目のハイライト部分(3分前後)の歌と舞をピックアップしたものをさします。
日本女子大学の能楽研究会主体の合宿というものは行なっていないので、他大学さんの合宿に参加させていただくという形になっています。
なぜ能で佐渡に行くのか。
そも、佐渡では能がさかんです。
あの島ひとつで、能舞台が20こくらいあるそうです。
なぜか。
能の大成者のひとり、世阿弥が島流しにされた場所だから?
これは実はそれほど関係ないそうです。
初代佐渡奉行の方が能楽好きで奨励した結果のようです。
少々ロマンが足りない。
真実などはえてしてそういうものですけれども。
そんなわけで、新幹線→フェリーと乗り継いで行ってきました。
日程をかくと、
一日目 顔合わせ(3つの大学の能研のメンバー+OB+師匠)
地元の方と、盆踊りをして花火をしました。
いつの間にか、後輩のひとりが線香花火の長持ちチャンピオンになっていました。
二日目 稽古
起床は…何時だったか。
薪能(屋外で行なわれる能の上演。照明に薪を使う)で使わせていただく神社の舞台の掃除に行く。
地元の方が車で神社まで送迎。これが5時半でした。
神社に着くと、すでに何人ものおじさま方が来ていて、作業を終えていました。
こ、この方々は何時に起きているのだろうか…。
これが島時間と言うものなのでしょうか。
学生たちは雑巾がけをして帰寮。
袴に着替え、また能舞台へとってかえす。稽古開始。
夕方ごろまで舞台で稽古でした。
三日目 本番
もう本番です。はやい。
開演の時間でも空は雨催い。
仕舞がおわり、大トリの半能(能の演目の後半部分だけを上演。40分ほどだっただろうか)、「鵺」のころにはザーザー降りに。
…いや、逆に風情があってよかったです。
ひゅーどろどろと鵺が出てきて旅の僧に恨み節。鵺を退治した頼政は誉れを得たのに、退治された自分は闇に消えるしかない。自分も成仏させてほしいと頼み、くるくると消えていく鵺。
この半能では、学生全員で地謡(能のバックコーラス)に参加していました。
上演中は、ずっと正座。
稽古のときは足が砕け散るかと思いましたが、本番は鵺の世界に引き込まれ、それほど気になりませんでした。
「昏きより昏き道にぞ入りにけり」という詞が好きです。
四日目 佐渡観光
わーい。
佐渡金山→たらい舟→宿根木の町並み、というコースでした。
たらい舟、ごぞんじでしょうか。
「千と千尋の神隠〇」のおわりに、リンが漕いでいたあの舟、そのモデルになったものです。
小回りが利くので、今でもサザエ漁などに現役で使われているそうです。
4人乗りでした。
思ったより安定していました。
めったなことではひっくり返らないそうです。
こんなふうに一日観光に使える日程は初めてだったらしく、主催の大学のみなさんも驚いていました。
五日目 師匠の能のリハーサル
主催大学さんの能研の師匠、ですね。
今度はプロの舞台のお手伝いです。
とはいってもせきねはできることがなかったので(他のメンバーは地謡に参加)、舞台正面でリハーサルを見学。
役得過ぎる。
そしてそのあとは温泉。
ばちでもあたるんじゃないだろうか。
六日目 本番
ちょこっとでしたが、仕事ができました。
お弁当をはこんだり、蚊取り線香を片づけたり、というていどでしたが…。
そんな軽作業でプロの舞台が観れるだなんてとんでもない話であります。
演目は「杜若」。
薪能の特色というか、すごさは「風」だなあ、とつくづく思いました。
袖をひろげるたびに、風がさあっと衣を持ち上げて、ほんものの花の精がたわむれにあらわれたように見えました。
そしてそのあとは温泉。
エデンはここか。
まあ次の日は東に帰るのですけれど。
七日目 さよなら佐渡
おみやげにヤスダヨー〇ルトを買いました。2本。
近所のスーパーでも売っているのに。
直売店があって安かったんです。
「くるり」の「ばらの花」を聴きつつ、新幹線に揺られていました。
♪ 安心な僕らは旅に出ようぜ
思い切り泣いたり笑ったりしようぜ
いい合宿だったなあ。