松能会

こんばんは。あやです。

昨日、石井先生のご引率の下、セルリアンタワー能楽堂で催された「松能会」に参加して参りました。
日本文学科からは15名ほどでしょうか、院生の方も数えれば、有志は約20名の大所帯。自由席に充てられた脇正面・中正面は見知った顔で溢れておりました。因みに私は図々しくも脇正面最前列に陣取るという…こういう機会は勢いが大事ですからね!笑

松能会では第一部に「二人静」、第二部に「野守」が演じられ、終演後にはなんと本物の能面(「オモテ」と呼ぶ)がかけられるワークショップが催されました。
テーマに「静」と「動」と据えられた今回は、それはもう素敵な対比。

「二人静」は終盤にある二人の静御前の舞がヤマ場。一挙手一投足を合わせなければならない大変な舞が揃った様は感動モノです。まして最前列といったら!綺麗な装束の模様までバッチリ、生着替え(!)も目の前でなされ、後見の方の表情まで丸見えで終始キュンキュン。最高でした。第一部は若手の方を中心に組まれていたそうで、キュンキュンも倍増です。和服の男性っていろいろと応援したくなりますよね。

第二部は主催者である松木千俊師が前シテ・後シテの野守ノ翁・鬼神を演じる「野守」。こちらは前半に野守ノ翁が「野守の鏡」の謂れを語る静けさと、後半に鬼神が野守の鏡を持って舞う力強い美が対照的に表れる曲で、本当にドキドキしました。山伏に「怖!」と言われて帰ろうとしたけれど、鬼神はこう言ってはなんですが「可愛いヤツ」。曲の開始前に聞いた「鬼神は山伏と友達になりたかったんですよ(笑)」という石井先生のコメントを思い出しつつ見ていると、なんということでしょう、まあ本当に愛らしい。笑 オモテだって何だか可愛く見えてきて、「眉はポ●モンのオタ●ロ、鼻はT●KIOのドラムにそっくりだわ…」なんて思ってしまい。なんともすみません。
ただ、「力強い美」と謳われた鬼神の舞は、本当に素晴らしかったです。上に向けると非想非非想天が、下に向けると地獄が見えるという野守の鏡を持った鬼神の舞は、足を踏み下ろす度に震動が直に伝わってくるほどの迫力。最初は「カワイイ」なんて思っていても、実際に神様の舞が目の前にあると、邪な考えも吹っ飛びました。能って凄い…。

そして終演後には、希望者(観客40名!)が能舞台の上で能面をかけられる、さらにそのまま歩けるという大サービスのワークショップ。足袋を履いてすり足で歩くだけでも大変ですが、面をかけるともうびっくり。視野は黒目の部分のみで、横も下も見えません。「こんなに過酷な状況の中で舞っていたなんて…」と心底驚かされました。
ちなみに私がかけさせていただいたのは、「中将」の面。平安のプレイボーイの代表格、業平を思わせる面です。それがこちら。

なりひら

中将だよ

こんな人が垣間見してたら間違いなく通報ですね。

しかし個人的にはせきねさんの般若が一番ウケました。この場合、肖像権がどうなっているのかがよく分からないので私がお見せすることはできませんが、いつか彼女の記事でお披露目されることを期待しております。

能をここまで身近に感じながら観られたのは初めての経験でした。石井先生、そして松木千俊師、ありがとうございました。