むーです。
もう12月ですね、ああああ年末だ!!!焦りとわくわくと寂しさがごちゃまぜになった年末特有の感覚。このそわそわ感がとても好きです。
11月のつごもりにお送りしますのは、前回ブログでお話しいたしました、人形劇新作鋭意制作中のお話。後日談です。おそらくこのブログだけでもなんとなく伝わるかと思いますが、気になる方は私の記事の欄より前回のものをご参照ください……
狂言が原作のものを、子供向けのコンテンツにするために、
①タイトルの改題
②「お酒」の表現をどうするか
ということでとても悩んでいたのですが、さて先日の勉強会でプロの人形劇団所属の先生に観ていただく機会を経て、どんなアンサーを得たのかご紹介させていただきます。
①タイトル
『だまされんぞう』になりました。
……?
原作にした狂言の演題は『船渡聟(ふなわたしむこ)』、人形劇の題は悩んだ末『だまされたむこ』として勉強会に持って行き、それが帰るころには『だまされんぞう』に。はちゃめちゃに飛躍しました。
それもそうで、経緯もほんとうに偶然としか言えないことだったのです。勉強会では、参加した人形劇団体同士で感想用紙の交換をするのですが、その中にどなたかはわからないけれど『だまされんぞう』とタイトルを誤って書いてらっしゃった方がいたのですね。一体どこから来たのだろう、けれどメンバー内で「これいい!!!」と盛り上がってしまい、主人公であるおむこさんの名前を「れんぞう」さんにしてタイトルを『だまされんぞう』に改題することにしました。
より子どもに楽しい響きになった一方で、本来のタイトルからはるかに離れてしまいました。けれど確かに、もともと原作の筋をかなり簡略化して独自要素も足しつつ勢いづけて人形劇ナイズしているため、自分たちの作った人形劇には『船渡聟』や『だまされたむこ』よりも、実際に観た人が作り出した『だまされんぞう』というタイトルが合っているように思われました。
ある意味での翻訳・翻案の問題に対面して、何を尊重するか考える局面に立ったとき、私たち人形劇団ぴよが重視したのは「いかに内容を観る人(=子ども)に伝わりやすく、面白くするか」でした。それを叶えるための最善手であるかどうかはわかりませんが、『だまされんぞう』も1つの正解だろうとは思います。突拍子もない経緯ですが、劇が一層私たちの作品になったような気がいたしました。
②お酒が登場することについて
なんと、先生からも、他の人形劇団体さんからも、誰からも何も言われませんでした。
「お酒」が作品の中で必要不可欠な立ち位置にあったからかもしれません。それごと作品をまるっと受け入れて下さって、みなさん劇中で事あるごとに大笑いして下さいました。嬉しい!!!
昔話で、さらにそれも人形劇にデフォルメされた形になっているから、そうした二重三重にある現実とのギャップのようなものが、酔っ払いやお酒を飲む描写さえも健全に見せてしまうのでしょうか。いやただ単に皆さんが気にされなかったからだと思うのですが……昨年もこの行事に参加して、打ち上げにも出席したのですが、ご年配の方が多いのに皆さん本当によく飲まれるのですよ、お酒を。そんな皆さんだから、気にされなかったのかなぁとも思いつつ、過敏になりすぎているのかなぁとも思いつつ……
キーアイテムに変動がないことには、正直かなりほっといたしました。
そうして、気にしていた2点については先生から特にご指摘をいただかなかったのですが、思いもよらなかったところを突っ込まれました。それは、舟の漕ぎ方の動き。
それまで、小道具の櫂をオールのように舟から離して動かしてしまっていたのが、本来であれば舟につけて漕ぐのであり、実際の漕ぎ方と乖離していることを指摘されました。人形劇がどうこうというよりも知識の領域で、私たちだけでこの劇を作ろうとしていたのなら、おそらく全く気がつかなかったことだろうと思います。そのとき人の手と目を借りることが、よりよい表現には必要不可欠と改めて感じました。前回の劇『きのこ』が何回も人の目を通してブラッシュアップしたものだったからこそ身に染みて。
そんな中で本当に嬉しかったのが、劇がはちゃめちゃにうけたこと。勉強会という批評の場ではありましたがコントとしてまず楽しんでもらえているのが嬉しくて嬉しくて。ちなみに1番笑いが起こったのは、船頭=聟のお義父さん、の図式が明かされた場面でした。面白いよね~~わかる~~……
それから、発表が終わった後に立ち話をしていて、「狂言って面白いのね」と観た人に言っていただけたことも、日本文学科の末席に座す者として冥利に尽きる思いでした。個人的な活動ではあるけれど、誰かにとっての狂言への窓口になれているなら、なんだか文化を学ぶものとしてそれにちゃんと還元ができているような気がして、とても嬉しいです。
この劇が日の目を見るのは、3月の中旬ごろになります。その頃にはまた演劇の公演も近づいて、アウトプット続きであわただしくなっていることとは思いますが、そんなあたたかく花の咲く季節に思いをはせつつ、12月を迎えることといたします、その前に課題や試験や課題や課題や色々あるのだけどね。頑張るぞ。
むーでした!!