こんばんは。お久しぶりです、むーです!
こっちは人形劇の人形!写真でみるとぶっさいなぁ……鼻毛もでてるし……
今、人形劇団ぴよでは新作を鋭意制作していまして、今日はそのお話をさせていただきたいなと思います。
題材にしているのは、狂言。演目は『舟渡聟(ふなわたしむこ)』です。昨年の授業で触れた作品をいくつか他のメンバーに紹介して、その中から話し合って決めました。重視したのは、「制作コストの低さ」と、「動きの分かりやすさ」、「展開の分かりやすさ」。0歳児から小学校中学年くらいまでいる場での公演になるので、小さい子には人形の「動き」で笑ってもらえて、大きい子には「展開」で笑ってもらえるように、というチョイスです。他にも狂言『武悪』が候補に挙がっていたのですが、幼児には難しすぎるのではないかということで断念いたしました。ううううこの決断は正しかったのか。何を持ってして「子供うけ」と言っていいのか、わからなくなってしまっているのが正直なところです。
けれど対象年齢の話をしたら、『舟渡聟』もこれはほんとうに子供にうけるのか、親御さんも喜ぶのか、と不安になるところがいくつもあります。そのうちの1つが、「お酒」です。
『舟渡聟』のあらすじはこうです。
若いお婿さんが、お嫁さんのお父さんにお酒を持ってあいさつに向かう。舟で向こう岸へ渡ろうとすると、たいそう酒好きな船頭がお婿さんのお酒に目を付ける。船頭はあの手この手でお婿さんを言いくるめ、お酒を全部飲んでしまう。実はその船頭の正体こそ、挨拶に行こうとしていた義理のお父さんその人だった。船頭は自分の乗せた客が娘のお婿さんとは知らず、家に尋ねに来たお婿さんを見て動揺する。変装をしてなんとかやりすごそうとするが、最終的に見破られる。
流派によって結末は様々あり、船頭と義理の父が別人というところもありますが、大枠としては若いお婿さんが経験不足により恥をかく、「むこもの」に分類される狂言です。この話では義理の父も恥をかくけど。そう狂言って、「むこもの」っていうジャンルがあるのです……ジャンルとして独立するほど粒ぞろいかつ種類もある……中世の人々はお婿さんが恥をかくストーリーを好んでコント劇に仕立てていたのですね、興味深い……
いやそれにしても、この劇お酒めっちゃ大事なのですよ…………
「児童向けコンテンツにお酒が登場してもいいのか」。今私たちが頭を抱えている一番の問題点です。
今週末に人形劇の勉強会があって、ありがたいことにプロの人形劇団員の先生に観ていただけるので、そのときご指摘いただいたらおまんじゅうとか、あられに差し替えようとは話しているのですが、どうなることか。子供とお酒の問題にどこまで潔癖になるべきか、またそれをプロはどのように指導するのか。大変好ましくない姿勢であることはわかっておりますが、すこし楽しみにしてしまっています。
また、もうひとつ悩まれるのは、「タイトル」の問題です。
過去に狂言『菌(くさびら、「きのこ」の古語)』を題材にした人形劇をしたとき、プロの先生より「タイトルがそのままではお客さんに分からないから改めなさい」と言われ、『きのこ』に改題しました。それをいうなら、『舟渡聟』はもっとわからない題なわけで。けれど良い代替案が決まらずメンバーで考えあぐねていました。その際の候補が以下のものになります。
・おむこさんとうみ
・お酒は飲んでも飲まれるな
・おむこさんとふね
・初対面って怖い
・だまされたおむこさん
皆さんはどんなタイトルが良いと思われるでしょうか???ううううん………
メンバー内で最終的に合意したのは、「だまされた むこ」というタイトルでした。誰が主人公なのかはっきりさせること、見どころを明らかにすること、キャッチ―であること、お話の軸のありかを考えること、原題を大切にすること……みんなできたとは思わないのですが、ううううんすごく個人的には、原題『舟渡聟』と語感が似ているところがよいなあと思っています……もし私たちの人形劇を観てくれた子供が、大きくなっても劇の内容とタイトルを憶えていて、原作の『舟渡聟』に触れるような機会があったときに、「あれの原作ってこれか~~~~~!!!!」と思ってやしてくれないかと思って……………どうでしょう……………
そんな不安や思惑を抱えつつ、今週末の勉強会で初めて他人にお披露目する新作。ドキドキや挑戦が詰まっています。ブラッシュアップを経て、いつか皆さんのお目にかけられる日がくるといいなぁ……
そんなことを夢想しつつ床に入ります。お付き合いありがとうございます。むーでした!