こんばんは。しおりです。
舞台「LOVE 駈込み訴え」、観てきました!!!
以前にこのブログでも紹介した舞台です。こんなに感動したのは初めてで、早くこの報告を書きたいと思い、ブログの担当が回ってくるのを今か今かと待ちわびていました!
まず、何よりも驚いたのは、独白体小説を7人で演じていながらも原作に非常に忠実であったことです。かなりの脚色が施されているのだろうと想像していたので、小説の中の言葉がそのまま台詞になっていることに気が付いた時には大変驚きました。太宰治と言えば、その語りの手法が魅力的な作家です。女性独白体小説など、語りの在り方そのものに焦点を当てた研究も行われています。そんな太宰作品の中でも『駈込み訴え』は、ある種特別な作品であると思われます。それは、口述筆記された作品であるから。書き留めたのは太宰の奥さんで、彼女の回想によると太宰は一度も言い直したり言い淀んだりすることなく全文を語ったそうです。こうした執筆背景からも、本作は語り手・ユダの一言一言、とりわけその言葉の流れが非常に重要な作品であると思われます。その語りをそのまま台詞として用いられていたものだから、初めから終わりまで本当に感動の連続でした。そして、役者さんの鬼気迫る演技!!!私は演劇について専門的なことはわからないのですが、大の演劇ファンの友達も「今まで見てきた中で一番面白かった」としみじみ語っていました。その迫力の演技には終始圧倒されました。
『駈け込み訴え』にはユダの抱くキリストへの様々な感情が描かれています。それは、信頼でもあり憧れでもあり、同時に憎しみでもあり怒りでもあります。ユダの言葉の中には青年としての強さを感じる一方で、一途にキリストを想い続ける女性的な一面もそこには確かに表れていると言えます。男女7人で1人を演じ分けられていたからこそ、ユダの中にうごめくそうした様々な感情がより鮮明に見えてくるのを感じました。そして、最後は7人の役者さんが同じ台詞を語る場面があるのですが、そこで全ての感情が「申し上げます」という密告の言葉に集約されていくことを実感しました。ユダがキリストへ向けた最後の感情。それは、確かに「愛情」と言われるものであるのかもしれませんが、私たちが日ごろ耳にするその言葉とは大きく違うものであると感じます。怒りも憎しみも恨みも全てを含めた愛情、それがユダの抱いた「LOVE」であったのかもしれません。
日本近代文学を原作とした舞台は初めて見ましたが、本当に「感動」という言葉だけでは言い表せないくらいに心を動かされました!もう一度、いや何度でも見たい!見る度に何か違うものが見えてくるのではないかと思います。太宰没後70年を記念しての舞台ということでしたが、実は太宰が生まれたのは1909年です。とすると…来年は…生誕110周年!再演してくれないかな…或いは他の太宰作品の舞台も見てみたいな…とひそかに期待しております…!
まだまだ全然言い足りませんが、今日のブログはここまでにしたいと思います。最近は展覧会に行ったり教職関連で色々と考えたことがあったりと、ブログに書きたいことが沢山あります!それはまたおいおい書いていきたいと思います。
それではまた!