こんにちは、あかねです。9月15日の日曜日、森鷗外記念館と子規庵、田端文士村記念館に行ってきました!今月19日は正岡子規の命日で、糸瓜(へちま)忌と言います。糸瓜忌に合わせた特別展示が行われているとのことだったので、同じ日暮里近辺の森鷗外記念館にも行くことにしました。
先に訪れたのは森鷗外記念館です。モリキネと略され、中のカフェも「モリキネカフェ」という名前です。現在行われている展示は「文学とビール 鷗外と味わう麦酒(ビール)の話」!普段は常設展示に置かれている鷗外のビールジョッキも今回は特別展示の方にありました。鷗外とビールの関係性として鷗外筆『独逸日記』から面白いエピソードを紹介しており、「ドイツ人は12リットルも酒を飲む。自分は1.2リットルでもう駄目だから笑われる」というものが個人的には一番印象的でした。1.2リットルも飲めれば十分なのでは……当時のアルコール度数にも依りますがね!文学とビールとの関係性としては、巨大な年表が用意されていました。当時のビールと世相の動きが書いてあります。展示としては仮名垣魯文『安愚楽鍋』や坪内逍遥『当世書生気質』、夏目漱石『吾輩は猫である』等の作中からビールが登場する箇所を紹介し、明治から昭和にかけてのビールの役割を追っていました。明治大正期の黒ビールは高級品のようなものだったのに、時代が下るにつれ、お歳暮や客人に振る舞う飲み物へと変化していっていました。モリキネカフェでは岩見麦酒(ビール)をいただくことが出来たので、昼から少しだけ飲みました……!人生初ビールです。香りがとてもフルーティで、微炭酸でした。香りがなかったらリンゴ味のソーダかと思うような舌ざわりです。味はリンゴなはずもなく、麦と果物の香りがしました。後にほんのり苦みが残りますが、それも爽やかに消えていくので飲みやすかったです。ただ、嗅覚が鋭い方はグラスを口に付けた際、深呼吸しない方が良いかと思います。良くも悪くも香りが強かったです。(しかし美味しかったので、成人の方は是非お試しあれ!未成年の方はしばしの辛抱)
そして子規庵へ!
ガラス戸の向こうの緑が今回も綺麗でした。手が届かないからこその美しさなのだろうと、いつも思います。
今回の展示は「食ヒナガラ泣ク、泣キナガラ書ク」でした。『病床六尺』や『仰臥漫録』に見られる子規の食事と執筆風景に迫っています。食事に関しては、食べたものを「菓子パン数個」としておきながら4つも写生している子規が紹介されていました。最低でも4個は食べたけど細かい数は知らないよ、ということでしょうか。読者の皆さんも薄々お気付きでしょうが、子規の食欲はとても旺盛でした。庭へ出る付近に、子規が書き留めた毎日の食事を1日1ページで纏めたものもありました。そこで見かけたご飯は、基本的には毎食「粥3杯」。昼ご飯には、「鰻の蒲焼きが7つ」とか「焼き鰯が18匹」とか……。勿論、これはおかずなので粥や漬物がついてきます。
そんな正岡家、食費に圧迫されていたかというとそうでもなかったみたいです。菓子パンの絵のパネルの隣に、エンゲル係数が示されていました。結核で寝たきりになる前から新聞社に勤めていた子規。寝込んだ後も新聞記事を書き続けていますが(それが『病床六尺』)、新聞社から払われる月収は今で約50万円。高額な医療費を払ったとしても、毎日昼に1000円程度使える給料でした。
『仰臥漫録』に書いてあった子規の食事の表。『仰臥漫録』は子規が布団の中で寝ながら書き、家族が来たら布団と畳の隙間に隠すようにして密かに執筆していたものです。「一日中下痢」と記された日も。もしかしたら書いていないだけで、沢山食べるごとに苦しんでいたかもしれませんね。
子規庵はボランティアの方々によって支えられているのですが、柿の文鎮をお作りになっている方が作成したというある日の子規の食事サンプルもありました。お刺身が艶ピカで美味しそうです。
こちらは『仰臥漫録』に書かれていた妹の律への悪口。理屈っぽくて頭が固い!気を利かせてくれ!(私の意訳)という不満が表れています。病床の辛さからの八つ当たりでしょうが、世話をしてくれている人にそんな……という思いもあり、何とも言えない気持ちになりますね。
高浜虚子が口述筆記した『病床六尺』
そしてこの子規庵、日暮里駅と鶯谷駅の間にあるのですが、なんと貸し切りで勉強会や句会・歌会を開くことが出来ます!
貸出日は月曜が終日(振替祝日の場合は火曜)、月曜以外は午後4時半から可能です。借りられる時間は2時間半が目安となります。料金は使用料1万円に加えて、利用者1人につき500円支払う必要があります。この500円は入庵料なので、「友の会」の会員になっている方は500円は払わなくて良いとのことです。入庵料さえ払えば1万円で句会や勉強会が開けるのは最高ですね!
設備は折り畳みの机が4台、座布団、お茶セットとのことです。机が1台につき4人の使用となるため、一度に利用できる人数は16人となります。創作自主ゼミさんや短歌会さん、ご検討なさってみてはどうでしょうか。
利用に最適なのは5月だそうです。申し込みの問い合わせは子規庵事務局03-3876-8218か、田村さん090-2721-3861へ、とのことでした。静かで雰囲気も良く、俳句作りも捗ります。近代の俳句を拓いていった人と同じ場所で自分たちも活動できるなんて早々ありません。有意義な日文生活を送る機会として是非ご検討ください!社会人になっても、誰かと一緒にこういう場所でのんびり俳句を作りたいな……。以上、あかねでした。
最後の最後に!9月16日の木曜日、それぞれ11時、12時半、13時半から子規庵内で演劇「糸瓜咲け」の公開本読み稽古が行われるとのことです!予約は不要で先着順だそうです。上野ストアハウスで上演されるものの稽古ですね。学生はチケットが3500円になるそうなので、もし時間があったら見に行ってみてはいかがでしょうか。子規の生き方はきっと心に響くと思います。以上、あかねでした。