こんばんは。むーと申します。
さっきからくしゃみが止まりません。あったかいフリースを着こんでも、体にぼーっと熱がこもるだけでくしゃみの改善には至らず、よもや風邪……?となってます。やめて、風邪なんて引きたくない!!
いやそれにしたって寒くないですか!? ほんとにもうやんなっちゃう。
気がつけば冬に片足つっこんでいて、秋はどこにいったのやら。早く冬物買わないと、学校に着ていくものがマジでないです。2週間くらいしか日の目を見なかった秋物で強行突破するしかない。それは流石に凍死する気がします。
家にいても寒くて、最近のもっぱらの楽しみは布団にこもってスマホで好きなコンテンツの二次創作を読みふけること……なのですが、今日はそんな日本の古今の二次創作のお話をばと思って参りました。
後期になってわたくし、中世と近世の授業を取り始めました。
それぞれ能、怪異が主題の授業で、大変興味深く受講しているのですが、なんというかこう、オタク気質にドストライクするというか、そういった内容がそれぞれの授業の中にめちゃくちゃにあって。
何と言ったら伝わりやすいかな、「シチュエーション萌え」みたいな。きっと私のように二次創作を愛好していらっしゃる方には、多くご共感いただける感覚なのではないかな、と感じています。
まず能から。能には、『平家物語』などから主題した作品が数多くあります。例えば能〈敦盛〉は、『平家物語』の「敦盛最期」のその後の物語、として描かれています。めちゃくちゃ簡単にどんなお話か説明しますね。
原典では、若く美しく気高い笛の名手であった平敦盛を、そんなに名の上がらない中年であった熊谷次郎直実が打ち、我が子ほどの年頃の少年を手に掛けた悲しさにより、直実は敦盛の供養のため出家する……というところで物語は留め置かれているのですが、能〈敦盛〉ではお坊さんになった直実の前に、敦盛の霊が現れます。自分を殺した仇であると共に、誰よりも供養してくれる直実に、いかんとも表現しがたい思いを抱きながら。
はいオタク。好きでしょこのシチュエーション。一言で言い表してしまうなら、死んだキャラが幽霊になって別のキャラの前に現れる話。私は好きです。
生存if、とかも頻繁に目にしますよね。物語の中で無念の中死んでしまったキャラクターを、何とか救い上げたい。そんな思いが、二次創作を生み出し、同時に広く人に読まれていく原動力になるのではないかなと思います。一次創作を享受する人々の作品に対する愛が二次創作には表れていると思うのですが、はてさて、能の世界でもそうした動きがみられるとは、少し驚きではないですか。
次に怪異。『牡丹灯篭』というお話があります。妻を亡くしたばかりで沈んでばかりいた男が、この世のものとは思えないほどの美人と出会い、恋に落ちる。不審に思った知り合いが、ある夜男の家を覗き見ると、美人の姿など影も形もない。彼は、一体の骸骨と仲睦まじく抱き合っていた――知り合いは男を寺へと連れていき、女の霊から男をなんとか救い出そうとするが、最後には男は女の霊に取り込まれ、死んでしまう。
はいオタク。好きでしょ人外×人。私は好きです。このお話のすごいのは、派生作品が何度も作られているということ。原典は、中国の古典。それが日本に伝わって、翻訳のみならず舞台設定や登場人物の名前を日本に置き換えた作品が何作か登場し、果てにはかなりの脚色が加わって、三遊亭円朝の落語『怪談牡丹灯篭』になっていく。そのいずれも、1つとして筋が徹頭徹尾同じものはありませんが、上に大まかに書いたあらすじは、いずれの作品でも守られていくのです。原典におけるそのシチュエーションを、後年の作家たちは二次利用し、継いで行っているのです。
ちと話がずれるやもしれませんが、二次創作って、その大半は型に当てはめたようにおんなじ構造をしています。先に書いたようないわゆる死ネタ、登場人物の死そのものを描いたり、死んでしまった登場人物に救済を与えたり。シンデレラストーリー的なものや、「実はこのキャラは喧嘩がものすごく強くて……」みたいなものもよく見かけるように思いますが、きっとそうした型って、ずっとずっと昔から受け継いでいるものなのだろうなと、授業を受けていて感じたのでした。起源がどこにあるかはわからない、けれど一度魅力的なものが生み出されると、『牡丹灯篭』のようにどんどん再生産されて行って、またそうした1つの型になっていく。
なんだかそうした、現代のオタク文化の源泉をそこに見たような気になったのでした。
二次創作をたしなんでいる以上、一次創作に対する後ろめたさ、みたいなものはだれしも持ち合わせているだろうと思います。ちゃんと原典があるのに、そこからそれる形で作品を摂取していていいのだろうか、みたいな。けれど、二次創作が日本の文化をより豊かにしていった歴史があるのも確かで。きっと、創作を摂取する人間がいる以上、二次創作が生まれていくのは自然なことなんだろうなあ、と思います。そんな肯定感のようなものを、気が付けば授業の中で得ていたのでした。
一次創作に対するリスペクトを忘れずに、これからも二次創作をエンジョイ出来たらと思います。
それでは今日はこのへんで!お相手はむーでした~~