こんばんは。しおりです。
気が付けばもう七月。一年の半分が過ぎてしまいましたね。ワクチンはいつできるんだ、終息はいつだ、と毎日の様に議論されています。日本はワクチン開発に慎重でそれだけ時間もかかる。海外でワクチンができたとしても、それが日本に入って来るのにはやはり時間が必要である。こんなことを耳にするたびに、何だか不安になりますよね。そんな時はこう言い換えてみるといいのでしょうか。時間はかかるけれど、日本製のワクチンは慎重な分だけ十分な効果を期待できる。時間はかかるけれど、海外でワクチンができれば日本にも入って来る。一年の半分が過ぎてしまったではなく、終息するその時に着実に近づいていますね、と述べた方がいいかもしれません。
さて、今日は近所のパン屋さんに売られていたレトロなパンのお話。
突然ですが、皆さま、ジブリ映画の「風立ちぬ」はご存知ですか?以前のブログにも書いたでしょうか、記憶が定かではありませんが、私は堀辰雄の『風立ちぬ』と出会ったことで近代文学に興味を持ちました。あの世界観が何とも言えず好きでして、読んでいると心が落ち着きます。きれいな景色を見た時に、理由もなく感動するように(何故それがきれいであるかを分析して「感動に値する」と認定する、なんてことはありませんよね)、なぜ惹かれたのかは正直今でもわかりません。しかし、わからないということこそが、本当に好きであることの何よりの証明だと思っています。そんな『風立ちぬ』ファンの私は、当然、ジブリ映画で一番好きな作品も「風立ちぬ」と答えるわけです。この映画についても語りたいことは沢山ありますが、今日はパンのお話をするのです。「風立ちぬ」の中に「シベリア」というお菓子(早速話題がずれました。パンではないですね)が出てきます。中心人物である堀越二郎が自身の買ったシベリアを小さな女の子に分け与えようとするんですね。シベリアなんて私自身はこれまで食べたことがなく、この映画で初めてその存在を知りました。そして、近所のパン屋さんにふらっと立ち寄ったところ、映画で見たままのシベリアが売られていたんです。カステラ生地で羊羹を挟んだ、それはそれは甘いお菓子でした。
シベリアが売られているパン屋さんというのは他になかったもので、それからも時折そこに立ち寄りました。そして最近、それは丁度お腹を壊していた時でして、そのお気に入りのパン屋さんに行ったのですが、お腹が悪い時には当然甘いものは天敵なんですね。きれいに並べられたシベリアを恨めしそうに見つめながら、店内を何周も回っていると、ふとこんなものが目に付いたわけです。
「甘食 一個九十円」
何ともお腹に悪そうな名前をしていますが、見た目は非常に優しそう。その他のパンが食事パンばかりだったこともあり、それを一つ買って帰りました。もちろん、最後までシベリアに視線を残しつつですが。
さて、家に帰り包装を開けてみると、何だか妙に懐かしい香りが漂い出します。一口食べると素朴な甘さが口の中いっぱいに広がりました。シベリアよりは甘さは控えめですが、温かい牛乳と一緒に食べると何だか妙に癖になる。
調べてみると、どうやら明治時代からあるものだそうです。ちゃんとした文献にあたったわけではありませんが、東京発祥のため西日本ではあまり知られていないんだとか。近代文学で卒論を書いている私としては、明治大正期のレトロなものに出会えると嬉しくなります。さすがシベリアのパン屋さん、と、またまたそのパン屋さんがお気に入りになったのでした。
この前、ふと近所を歩いていて思ったのですが、意外とレトロな町並みって残っているんですね。「○○ネオン」などという古びた看板があったり、今は使われなくなった旅館があったり。京都や鎌倉などに行かなくても、小旅行気分って案外味わえるものです。そして、甘食の話のように、知らないところに昔ながらのものって意外と残っている。戦時中、江戸に留学するって言ったのは石川淳でしたっけ。以前の授業でそんな話を聞いたことがあります。再び外出自粛が求められている今、私もそろそろ大正時代に留学したいと思います。
それでは、また。
