冬になると陽の光が襖の奥まで差し込んできて、午前中はとても暖かくなります。夏の照り付ける太陽とは違う、じんわりとしたやさしい光。外に出てしまうと風の冷たさばかりが感じられますが、家の中で過ごしていると、冬の太陽が好きになりました。
家の和室に小さな森が出現したのは、そんな冬のある日のこと。
あたたかな光を受けて輝く緑。この植物、今までに見たことがないスピードで成長していくのです。じっくりと観察していると、葉っぱが動くのも見えるほど。水を吸い上げているからなのでしょうか、風もない和室の中でかすかに揺れている。それはまるでジブリの世界に迷い込んだかのよう。庭に埋めた木の実をトトロたちが発芽させるシーン、印象的ですよね。あのシーンを現実に再現してみたらきっとこんな感じなのでしょう。朝、目覚めると、昨日より確かに大きくなっているのがわかる。トトロの魔法、本当なのかもしれない。
「子どもの時にだけあなたに訪れる不思議な出会い」
大人になっても不思議な出会いってあるものですね。和室に出現した小さな森のお話。さて、結局のところ、これは何の植物なのかって? それは、内緒にしておきましょう。言ってしまったら、一気におもしろい話になってしまうから。ただ、少しだけヒントを言うのならば、最初は食べるつもりだったということ。
それでは、また。