おわりのはじまり

こんにちは。
池袋の新文芸坐で『地獄の黙示録』を観てきました。リバイバル上映!この有名過ぎる映画を大きなスクリーン上で人生初鑑賞なんて…。しかも日本初上映時の編集版での上映。あの映画を初めて目にした当時の人に近い感覚で映画が観られるなんてすごくないですか?
と言うことで、ドキドキしながら初鑑賞。しかし、主人公やそれ以外の登場人物などの行動の動機や行く末がよく分からないまま物語はどんどん進んでいってしまう…。頭を抱えたくなるようなちんぷんかんぷんな初鑑賞となりました。
よく分からず、自分なりの解釈もできないまま帰るなんてお金と時間がもったいない…!
しかし、ラッキーなことに一度入場すると何度も観れるのがこの新文芸坐!ちょうど、次の回があったのでもう一度観ることにしました。
2回目は絶対に何かしら理解したい…。頭の中で何が分からなかったのか、どこを注意して観ようか、少し整理してから挑んだ2回目。2時間半の大作なので集中できるか少し不安だったのですが、上映が始まったら興奮しっぱなし!すっかり熱中して観ていました。
主人公の悪人、カーツ大佐の動向やそれを追う兵士達の段々と戦場に呑まれていく退廃的な描写など、1回目に観たときには気がつかなかった細かい部分まで目を行き届かせて観ることができ、作品から読み取ることができました。

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あらすじ
ウィラード大尉はアメリカ軍の情報部で機密の任務を何度か経験しています。そんな彼は朝鮮戦争などのかつての英雄、カーツ大佐の暗殺を依頼されます。彼の潜伏しているカンボジアを目指して川を上るウィラード一行。犠牲を払いながらも川を上り続けた先で待ち受けていたものとは…。

この映画では登場している人の誰もが何を目指しているのかもわからず、誰かの指示に従って生きています。自らの意思に従って行動したはずのカーツ大佐でさえ、目標を見失い、闇の中にいるかのようです。何に従っているのかも目指すものもわからず動く人が流れを作る。その流れに従って生きてもそこに目指すべき安息の地があるとは限りません。ウィラード大尉たちはそんな流れに逆らって生きようとする数少ない人々のようにも見えます。しかし、結局は何かしらの流れに従って日々をやり過ごしているだけなのかもしれません。
今現在、日本だけでなく世界で、人間社会の行く末を左右しかねない問題が動きだしています。安保法案、テロ防止法案、移民排斥、度重なる大統領令…。世界で起こっていることをどこか他人事に受け止めている私たちですが、日本の状況は決してそれらと無関係ではありません。人任せにして知らない振りをしていても、いつかその火の粉が私たちに降りかかって来ないとも限らない。そんなことを考えて、戦慄した今日この頃です。

追伸
マーティン・シーン演じるウィラード大尉の整った顔立ちと引き締まった筋肉、表情豊かな目や、マーロン・ブランド演じるカーツ大佐の圧倒的な演技と存在感、妖しい魅力も必見です
ほたる