こんにちは! 大学の授業が始まりましたね。ということは秋が来たってことですね。さて、段々と夜の時間が長引いてくるということです。秋の夜長に耐えられない…。眠れない…。そんなふうに思うことがあるかもしれません。でも安心して下さい。そんなときには映画を見ればいいんですよ。
家でみることの出来る映画。そういえば『ムーンライト』も『この世界のかたすみに』もレンタル開始しましたし、『ラビング』もおすすめだし、『シング』も大分よかったしもう何をみてもいいと思います!!でも実は皆さんに是非みて欲しい映画があるんです。高校生の頃でも社会に出てから少ししてからでもなく、大学生の、20歳前後の「今」みて欲しい映画があるのです。
それは『フルートベール駅で』という映画です。この映画、ある年の新年を迎えた直後にサンフランシスコ近辺のフルートベールという駅で実際に起こった事件を元にしている映画です。主人公のオスカーが大晦日を迎えるところから物語は始まります。彼はこの日誕生日を迎えた母にお祝いのメールを送り、恋人と一緒に娘を寝かしつけます。彼はとても子煩悩で朝には無締めを保育園に奥ってあげます。しかし、彼には問題がありました職がないために不本意ながら大麻の売人をしていたのです。お金がないため娘の母親とは結婚できず、新しい全うな職もなかなか見つかりません。
この日彼は色々なことを考えます。家賃を払わなきゃ。今すぐお金が必要だからヤクを売って金を作ろう。母さんの誕生日のお祝いにかにを買わなきゃ。全うな職が欲しい。いつか彼女と結婚したい。今は無理だ。足を洗いたい。刑務所に入った過去、その時の母や恋人の悲しみ、オスカーはそれらのことに思いを馳せ、ある決断をします。
その決断により一歩踏み出そうと決めたオスカーは母の誕生日パーティーの後、娘を親戚の家に預けて、恋人と友人たちと一緒に花火を観に電車で出かけます。だって彼はまだ22歳。遊びたい盛りの年でもある。そしてその帰り、電車に再び乗った彼はある小競り合いに巻き込まれて…。
この映画、冒頭に衝撃的な映像が流れ、そこから物語が始まります。その映像とは実際にフルートベール駅で起こった事件を電車の乗客がスマホで撮っていた映像です。白人警官が無抵抗の黒人青年を押さえつけ怒鳴りつけている映像です。この映画はこの映像に向かって物語が進むという構成になっています。
現在、アメリカでは白人警官や白人による丸腰の黒人への発砲事件が後を絶ちません。私はこれらの出来事をニュースで観る他人ごととして聞き流していました。黒人に対する思い込みってそんなことまでさせるのかあ。差別意識って本当に根深いし嫌だな。アメリカって以外と怖い国だなあ。と思った程度です。しかし、この映画では一人の全く同じ年の若者の1日に焦点が当てられており、この若者の悩み苦悩、新しい年への希望など、殆ど自分のことみたいに喜んだり悲しんだりしてしまいます。オスカーを「アフリカ系アメリカ人の男性」としてではなく「オスカーという一個人」として思いやり共感します。だからこそ、彼が向かって行く結末に対して、理論を超えた怒りと悲しみを覚えるのです。私は日本に産まれており、アメリカで起こっている人種差別に関して理解のおよばない部分もあるかもしれません。しかし、彼が新しい年に抱いた希望は分かります。恋人に対して、家族に対して抱いた愛情はわかります。娘を思う気持ちもわかります。そして何よりその新しい年をそれらの人々と分かち合えないかも知れないという彼の驚きと恐怖がわかってしまうのです。
大学生の今、観て欲しいと思ったのはまさにこの部分です。今、もしくる筈の明日を理由もわからず奪われそうになったら?そんなこと殆ど考えたことはないけれど漠然と将来のことを考えている今こそ観るべきだと思うのです。
日本でも様々なヘイトが飛び交い、背筋が寒くなるような事件が起こっています。段々とそういった行動が表面かし、それらをよしとする人々が堂々としている場面を観かける回数が多くなってきました。差別の問題は私達にとって他人事ではありません。もしかしたら自分の中に無意識に存在する発想かも知れないのです。そういったものから目をそらさず、向き合い、まずは自分で考えることが必要なのかもしれません。私にとってこの映画がそのきっかけになりました。あわよくば、皆さんにとってもきっかけとなる映画になればいいなと思います。