おすすめの古典作品

こんにちは。あかねです。

指定校推薦など一般入試以外の方々は、そろそろ面接対策を練っている頃だろうと思います。日本文学関係だと代表的な「好きな古典作品は?」という質問。『源氏物語』はあまり好きじゃない……という方も楽しく読める古典作品を1つ、紹介しようと思います。

『今昔物語集』というものはご存知でしょうか。「仏教説話」という仏様関連の話と、「世俗説話」という昔の人たちが主人公な話が収められている短編集です。全部で1000話以上もあるのですが、どれも不思議で面白いものばかりなのです。

仏教説話で印象的なのは、仏様が母親の脇から生まれてくる場面ですね。母親は相当痛く苦しかったに違いないと思ってしまいますが、その後で赤ん坊が立って7歩あゆみ「天上天下唯我独尊」と言うのだから、恐らく作り話にしても読者のインパクトは大きかったろうと思います。

世俗説話で好きなものは「鼻」ですね。あるお坊さんが長すぎる鼻を人並みにする話なのですが、縮めている描写がやけにリアルなところに驚きます。最後は「やっぱり長い鼻の方が良い」と気付き、また巨大な鼻に戻るという話でした。他にも「初詣で美人を口説いたら実は目いっぱいお洒落した妻で、浮気性を怒られる男の話」などもあり、世俗説話は不思議な話から痴話喧嘩まで様々なものが揃っています。

芥川龍之介も『鼻』で夏目漱石に絶賛され、『地獄変』、『藪(やぶ)の中』などを執筆しましたが、これら3作とも『今昔物語集』の話が元ネタなのです。特に『藪の中』は芥川が意図的に語り手の視点を変え、嘘なのか本当なのか分からない独白形式にしたことで、迷宮入りサスペンスのような不思議な話になっています。

『今昔物語集』などの古典作品は、角川ソフィア文庫の「ビギナーズ・クラシックス」というシリーズがお薦めです。原文と現代語訳、解説が付いていて易しく古典に触れられます。ぜひ「好きな古典作品」探しにお役立てください。

『今昔物語集』の知名度が少しでもあがるように虎視眈々と狙い続けるあかねでした。