先日、変質者(というと凄すぎるんですが、とりあえず知らない女性)から謎の絡まれ方をしまして、
別に大したことじゃなかったんだけどイヤホンを嵌めたまま誰もいない夜道を歩くものではないと思った。
しかし人間「ブチ殺してやる!」って思うときって別にまったく殺したくはないんですね。演習発表でしくじって「死にたい!」って思ってるとき実際は別に死にたいだなんてことは全然思っていないように(「死にたい!」は、せいぜい「今すぐこの教室から駆け出してそのままバス飛び乗って山手線に乗ってぐるぐるしたい!!」って感じ)……。
つまり「ブチ殺してやる」っていうワードが、「その者の命を断ってやる」ではない意味を持っているわけよ。そしてその「ブチ殺してやる」は日本語訳すると何なのか? と問うてみたとき、一番しっくり来るのは「幸せになってくれ」だった。そしてこの字面だけの殺意と幸せ祈願のあいだにある脈絡を求めた結果としてこの記事の折り畳み以下があるわけなのですが、なんだか字数ばかりが増えて行きまして……ほんとに長いよ!!! プロフィールにも書いてあるけど暇過ぎて死にそうな人だけ読んでね。
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ちなみに↑の「暇過ぎて死にそう」はたぶん「あまりにも興味を惹かれるものがなく、また必要とされてもおらず、精神的な身の置き場がないことから不安をおぼえている」とかいう意味に翻訳できるんじゃなかろうか?
あんまり死ぬとか殺すとかいうワードを避けてもいけねえよなー。意味的に避けるならまだしもその言葉の形・並びから信号的に避けるのではいけねえこりゃいけねえ。言葉狩りの何が惨めかというに、代替案を出せば許されてしまうあたりですよ。もちろん代替案すら許されなかったらそんなにクソいことも世のなかそうそうあったもんじゃねーよ! と思いますが…… 言葉の激しさや汚さを知ることは良識と会話力をはぐくむことを目的に行われる教育の不可避な一環なのであって、つまり目的とする良識がはぐくまれていればわざわざ禁則事項とするまでもないはずではないのかね。一見して過激な言葉も、使いどきを見誤らなければ会話のキャッチボールのひとつに過ぎないはずではないのかね。汚い言葉・激しい言葉は確かにあるが、それの使い時や声の調子を巧みに操ることで弦楽器のようにさまざまな振幅を持たせることが本来理想とされるありかたであって、代替として作られた急ごしらえのスラングで元と同じ意味を伝えているようでは、振幅が増すどころかむしろ単に弦の本数=語彙を減らしただけやんなー。日本語的に損やんなー(別に復権させてほしい禁止用語があるわけではありませんが)。
つまり笑いながら「死ね!」と言うからといって眉を潜めてはならん。その言葉がいい感じのスパイスになってる会話だってありうるのだ。まあ確かに聞き良いものではないし、進んで聞きたいものではないし、「死ねって言葉は言っちゃいけないんだよ!」と言ってる小学生や実は内心言わないように心がけてる女子高生とかは可愛いと思うけど。そして「死ね」に始まる過激めの言葉というのは上記「殺してやる」などと同様、往々にして本心をあらわしません。(「殺してやる」という語をうっかり額面通りにとってセルフ勘違いしたりすることはあるとしても、)普通に生きている人間が本物の殺意を抱く瞬間はないからです。それは様式的な語にすぎません。そうすると翻訳にかける必要が出てきます。そしてその翻訳機の性能が個人によって異なる以上、ほかの言葉に比べればちょっとだけ気を使うべきではあろう。と思っています。
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(※今後の文中にある「きみ」は既存の友達ではないです)
(※今後の文中にある二人称はこれを読む方のことではないです)
そもそも他人をかわいそがることが楽しいわけないんですよ。サドというのは変態性向であり特殊なことでありそもそも性的嗜好だからしかるべきシチュエーション以外で作用するサドなんてただの性格悪い人ですよ。決まってんべや。かわいそうな人がこの世にいるってだけでもなかなかつらいわ。現代日本に生まれたというだけのことでも罪悪感をおぼえるほどだ。FGMでえらい目に遭ったあげく感染症で死んでいったあどけない小児がいる一方で私はこのざま! なんということ。この自己否認作業が自己是認欲望を産み結果として向学心を産むのだがそこは今はどうでもよくてね。
そのうえというべきか、私にはかわいそうな人といる才能がない。と言おうか、私が不幸でかわいそうな人といたところで、達者に、あるいは人並みに、できることが何ひとつとしてない。こりゃあ実に申し訳ないことである。いっそ私が何らかの手段をもってきみより不幸になることで「きみを慰めろ」という世間の無言の重圧から逃れたくなるほど申し訳ない。それほどまでに私はきみの求めていることを確実に為せない。そばにいるだけで慰めになるとかいうけどそれほんと? 「こいつ慰めんの驚異的に下手だなオイ」と思ってつい和んで泣き止むだけじゃない? それはそれでいいけど。そしてそれすらも私にはできないと思うけど。できてるっていってくれるならあなたは優しい人であり不幸ではない人だ。少なくとも今議題にしている言葉の意味における不幸の概念からは外れる人だ。それどころか輝かしく素敵な人だ。
きみがつらいときは可能な限り大事にされるべきだと思っている。だからこそ全力でケアしたい。だからこそきみを私といっしょにいさせてはいけない。今のきみはもっとほかの慰め上手な人、慰めを生業とするような人といっしょにいたほうがいい。ぜひまかせてくれ、呼んでくるからそこにいてくれ。晴れて治癒したその日にはきみを楽しませられるよういろいろ準備しておこうね(必ず楽しませられると約束することはできないが少なくともその努力はしておくし、人間ほんとうに万全の状態であればアドレナリンが出まくる→まったく楽しくないものでも楽しいと感じるもの かもしれない)。
とはいえ私がいることがきみの不幸の緩和に意味を成すならいくらでもそばにいたいさ。でもそれは私の慰め下手を承知していない場合ありえない現象なのだ。承知していないままそんなん希望した日には確実にがっかりルートまっしぐらってなもんよ。誰かをがっかりさせるよりもつらいことなどそうそうないものです。いわんや既に落ち込んでいる人をや…… そんなもんを更にがっかりさせるだなんて、そんな鬼畜の仕打ちを私にさせようとしてはならぬ! できぬ! 見ず知らずの他人を傷つけるだけで私はある程度ながら傷つくし、相手がきみならなおのことその傾向は激しくなるさ。そして私を傷つけたことで傷つく程度にまともな優しさを持ち合わせているきみが私は好きさ。好きであるからこそきみを傷つけたとき私はたった一撃にして二重、三重にも傷つかないではおれないのだ。ここで仮にきみが私(もしくは他人)を傷つけたことによって更に自分を傷つけるという現象を起こさずにいられるようなタフガイだという仮定をするなら、それはわざわざ私がクソ下手な慰めをしなくても自分でやっていけそうだからそもそも慰めようとはあまり思わん(けどそういう人にはとても憧れる)。
そういうわけで私にきみを慰めさせようとは思わないでくれ。私に不幸なきみの姿を見せないでくれ。その不幸が癒えるまでのあいだ私から見える範囲を歩こうと思わないでくれ。それが死ぬまで無理だってんなら死ぬまで会うのやめようね……私はきみのことが好きだしきみにいつでも幸せになっててほしいしきみがつらい状況にあるのはいやだけど、今挙げたそれらってすべて「それおまえ(私)の欲望だよね?」って言われたら反論のしようもないことだ。そして私の欲望だとその落ち込み人に思わせてしまおうものなら、慰めにならないどころか自然治癒の妨害にすらなる。当然そのままぶつけるわけにはいきません。しかし私の手先はものすごく無骨で不器用なのだ。自分生き方不器用っスからとかそういうレベルにはとどまらぬクソっぷり。結果的にやることっつったらおめぇ、共に(とはいえ寄り添わず)落ち込むだけよ。誰の得にもならないばかりか相乗効果でみじめさがえらいことになるわよ。精神衛生の汚染はなはだしいわ。
愛してる! 幸せになってほしい!
しかしそのために私が不幸になる意味があるとはおよそ思えないし私を不幸にして幸せになるきみのことは別に愛してねーよ。そこに我が身かわいさがないとは断言できないが、だって今この宇宙にいる以上に不幸な人間を増やすことになるわけですよ。そんなんした日にはもう宇宙に対して申し訳ないではないか。ただですら低い宇宙のGNP。己や愛しいきみまでもがそれを下げる一因となるだなんて。実に申し訳ないではないか。今どんだけ不幸な人間が宇宙にあふれていると思うのか? などと私が言うよりも先に、きみはもう本能的に知っているはずだ。少なくともこの識字率と教育率を誇る日本に生きているならばユニセフの活動内容は知っているだろうし何より自分の姿を顧みればわかるはずだ。つまり、もしきみが私をまったく愛してなくても、これ以上不幸な人間を増やす行為は無意味で無体だと思うはずだ。そしてもし私を愛してるとしたらその行為の持つ惨たらしさはますますその傾向を高めるはずだ。だから私にきみの致命的な不幸を慰めさせようとするのはやめよう……私にその効用を求めるのはやめよう……私のこのとんでもない不器用ぶりを慰めの一種として許容できるほどの段階にまで回復したらまた呼んでね。いやそうなったらもうたぶん慰めなんて必要ないと思うんだけど…… 私がきみを愛してる件はほんとに嘘くさいけど嘘じゃないんだよ。でも私がきみから全力で逃げている以上きみがそれを認めてくれないのはまあしかたねえことだと思うよ。これできみに憎まれなければ御の字っていうレベルだよ。やってることは単に保身だからのう
きみのために私がやることっていうのは結局のところ限度があるわさ。プレゼントでいえばロクシタンのハンドクリームくらいなら買ってあげるかもしれないし、食事も一回くらいならおごるかもしれないけど、それはあくまでもきみが幸せになってからの話だ。だって不幸なきみの顔を見たくなどないもんよ。私と会ったら元気になる! 不幸の羽衣を脱ぎ去る! っていう場合以外は不幸なきみと会いたくねえよ。きみが私を万物の妙薬とするほどにまでは愛してないってことがわかるし、そんなん分かったら自分の価値のなさをあらためて突きつけられて傷つくし、そんなやつのために傷つくのはごめんだと思っている。だいたいこの「きみ」っていうのは私が遭遇したあの女性のことなのである。そんなわけですので当然ながらきみへの愛のためにどっかの宗教に改宗したりどっかの国に帰化したり財産投げ出したりトラックの前に飛び出したりするほど必死になれるわけもないよ。もし私がきみに寄り添うことでこの世の不幸をむやみに増やすとしても、それに納得いく意味づけはできないだろう。納得いってないことをする/されるというのは人間にとって恐らくそうとうな拷問だよ。
そしてきみがその限度をわきまえてくれず、私に拷問を課そうとするようなら、そんなきみへの愛なんぞたやすく捨てることができる。悲しくはあるにせよ捨てることはできる。こっちだって別に捨てたくて捨てるわけではない。きみが私に捨てさせるのだ。この不運な縁、きみの謎の境界なき行為さえなければただ有象無象の一として臆面もなく愛していられたというのに何てことすんのよーって感じ……私のほうから頼んで持ったきみへの愛ではないが、そしてきみだって私に愛されてるとは夢にも思っているまいが、それでもやはり捨てるのは悲しいしなかなかさびしいものだから、可能な限りはそういう気持ちにはなりたくないし、きみを「私をそういう気持ちにさせた人」にしたくねえんだわ。だから私はきみを愛しているけど不幸の淵に落ち込んでいるきみの顔なんて見たくないし、きみが不幸の淵に落ち込んでいるあいだはきみを愛さぬ人たちと同じように振る舞うし、常にきみが存在しないといいなって思っているし、きみが回復するまではきみの存在を忘れようとすることほかにはきみに対して何のアクションも絶対とりたくねえよ。
↑ていうかつまりこれ「おれにお前を嫌わせないでくれー!」っていうひどい叫びね。これを別れの際に言われた日には十中八九ガン萎えし、将来的にヨリを戻す可能性すらゼロまで落ち込むこと請け合い。
かわいそうな人といっしょにいたくない~
というかそもそもかわいそうな人というものがこの世(私に認知できる範囲内)にいてほしくない。単に友達が落ち込んでるだけならきっと時とほかの友達と彼女の持つ強さが解決してくれるだろうからいいけどこの世に蔓延する「不幸な人」というのは私の想像をガッと上回り、「落ち込む」という動詞だけにはとどまらぬ不幸ぶり、名詞に染みつく不幸ぶりを見せてくるので恐ろしいのだ。されども愛しているよ。命あるものをどうして愛さずにおれようか!! ……といってもこの愛の根拠は単にきみがいつか不幸ではなくなることを祈っているということだけである。つまり「愛している」を「死んじまえ!」と言い換えても通じないってことはないのである。が、死んだあと不幸でなくとも死ぬ瞬間はやっぱり不幸の極致だったと思うし、やはりどうしても幸せになった善なる輝かしいきみの姿を夢見ずにはおれないんだから、やっぱりこれは一種のアガペーではないか? アフリカだろうと南極だろうとソンブレロ銀河だろうと、現実に生じるつらさは何もかもがつらい。実際につらい人ほどつらいわけじゃないだろうけど、まあ真綿で首を絞められる程度にはつらい。
かわいそうな人がいるとつらいから(←これを「私がかわいそうだから」に変換すると自虐的なほど自己中心的な文章になります)(しかし実際そういうものさ 自己中心的であることが何よりの自虐なのだ)できるだけかわいそうになりそうな人とは接したくないなっていうのは大抵の人にある心理だよね。できるだけ明るくて幸せそうだと感じられる人といっしょにいたいのと同じ心理さ。あるいは心理としては違うかもしれんがやってることは同じなのさ。
私は幸いにして今のところこの世に嫌いな相手はほぼいないが、愛しながら縁を切りたい相手はたくさんいる。そしてその相手とは私から見てかわいそうな人すべてなのである。そしてそんな発想を持つことができる私もみじめでかわいそうなので、ますますかわいそう同士でいっしょにいてもみじめが二乗になるってなもんであろう。だから私は可能な限り忘却してえなあ。記憶をパソコンのドキュメントっぽく管理できればいいのになあ。頭によるご縁の話なので、忘却がすなわち縁切りなのだ。そして縁の切れた彼女たちが私のような者のいない場所で幸せになれるようにという祈りに偽りはねーのよ。
でも一度覚えたものはどうしても忘れられないので、微瑕なき輝かしい幸せを得ることはもはや五歳になったころから諦めている。ていうかそもそもそんなもんは実在しないのだ。しかし実在はしないとしても、微瑕なき幸せという(数学でいえばxのような)概念があり、人類が皆それに思い及ぶことができ、それに向けて誰もが恋をし、それを追い求めているというこのありさまは嬉しいね。それは知恵と理性もつ人類にとって希望の出発点であると同時に目標であると思うよ。自分の幸せを祈るのは自己愛であり、他者の幸せを祈るのは他者愛である。つまり幸せを祈るというのは愛なのだ。
それでありながらこの世にこれだけ不幸が満ち溢れていることはまさしく不幸というよりほかにないわな。みんなの願いは同時には叶わないって宇多田ヒカルも言ってたし、紀元前3000年ごろシュメール人の諺にも「誰かの喜びは誰かの悲しみ」とあった。
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ってこんなことをいきなり言い出したのはあれさ。
変質者に絡まれたのさ。言うの二度目だが。
そしてあまつさえこの世で一番言われたくないことを言われたさ。それは確かに嘘ではないよ? しかし通りすがりのきみにそこまで言われる義理はなかろうよ? それを言うことできみはすこしでも幸せになったのか? きみのその指摘はこの宇宙に少しでも善を及ぼしたか? 気は晴れたか? 胸は喜びに満ちたか? あるいはもしかすると思わず言ってしまったのか? だとしたらそのあと自分の口をどう思ったのか? 可能ならぜひ見ず知らずの他人にそのようなことを言うことへの恥と、将来への一縷の希望を持っていただきたい……きみのみならず人間はあまねくそのようにみじめな行為に親から授かった舌や声帯用運動神経を染めて良いものではないでしょうが。実際どうかなんて正解も何もそもそも問題そのものがないんだから、それならきみ自身のほうでそう思っておかねば矜持というものの行き場がないではないか。
ていうか変質者に遭遇したの人生初めてだったんだよーこわかったよーほんとこれ鬱になるかと思ったね。この世で善意など持とうと思ったのがそもそもの間違いだったかとすら思った。どうして産まれてきてしまったろうかとさえ思った。もう二度と電車で席ゆずってやんねーかんな!! とすら思った(でもやっぱり譲ってお礼を言われると嬉しいから譲る…… きみはお礼を言ってくれないけどきみのためにそのほかを犠牲にするほどきみだけを愛してるわけじゃないし、そもそもお礼を言われることを目的としながら席を譲るようならばそれはお礼を言ってもらう資格などない…… とは限らないが、少なくともそう考えるほうが謙虚で美しく自己愛のやりがいが生じてくるのである)。
あの変質者は私の見地にしてみれば確実にかわいそうな人であり、上記におけるすべての「きみ」である。といってももしかしたら彼女自身は私に絡んでスッキリ爽快! とっても幸せ! って感じで不幸のかけらもないのかもしれんが、その浅ましい行為によって幸せになれてしまうきみのことを私がどんなにかわいそうに思っていることか! そしてかわいそうだと思って見下さなければ正気が保てないほど動揺させられた私もまたかわいそうです。やーんクソが! 同類にしないでくれ! というと単にきみを嫌いなようだがそうではない。なんでオスとメスが交尾しないと子が産まれないのでしょうか? それは遺伝子の多様性を持たせるためです。単なるコピーの量産だったとしたら、急激な環境の変化があったとき耐えられずいっぺんに死滅してしまいます。だからこそ私ときみとは違う! 違うからこそ意味がある! あ~でも軽重の差こそあれ森羅万象は不幸なきみなのかも…… でも少なくとも私は通りすがりの女子大生に絡まんわ。愛してるよ。幸せになってくれ。きみが幸せになるということはきみがいなくなるということだ
何がつらいって、その未知との遭遇によってこれだけ感情的エネルギーが生じたのに多分この世の感情的不幸の緩和に対して何も貢献してないのがつらい。故ワンガリ・マータイ女史に呆れられてしまう。何とかしてこの体験をポジティブな向きに持ち込まないとやっていられない。
そもそも相手はただの中年女性であり、それがまた私の胸に憎しみよりも憐れみを駆り立てるわけよ。彼女に対してちょっと物騒なことを願っていた時間が一秒たりともないとは断言できないが(それくらいは許してください)、それよりも彼女の幸せを祈った時間のほうが大きいということは断言できます。彼女がいつの日か恥を知りますように。恥が彼女を善なる人としますように。そして善なる彼女がかつて生み出した絶望を補って余りある安らぎと喜びをあまたの人々にもたらしますように。そうとでもならないと私の絡まれた意味がないからね
そういうわけなので夜道イヤホンはやめようね。闇からものが聞こえたらそりゃ怖いけど、聞こえなかったらもっと恐いことが起こるのだ。それを私はようやく知った。高い授業料だった。なお普通に口先でものすごく絡まれたというだけのことですので強姦・暴行などといったおおごとではないですご安心ください(そんなハードな事態になってたらこんなところに書けません) それでありながらなぜ号泣したかというに、彼女を通してこの世の不幸の一端に、すなわちきみたちの一端に触れたのではないかと感じたからだ……
今更ながらこの「きみ」って書き方やーね!
お読みになってるそちらさまのことじゃありませんよ
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あれが変質者じゃなくてただの酔っ払いだったならいくらか癒し癒されることになりますが、そうするとお酒が悪いみたいじゃない? そうでもない? 私は酒を米や塩と同様に神聖視しているし好きなのでそれもまた喜ばしくない。
うーん私が(たしなむ程度に)呑むお酒が好ましいのはなぜかというに、それが私の日本酒に対する親愛と健やかな肝機能と味覚嗜好のおかげで良い呑みとなっているからだ。そして良い呑みがあるならば悪い呑みもまたこの世にはある。でも同じ酒であっても私に呑まれれば良い呑みになれたのになあと思うと、路上のゲロを見たとき実に哀れになるね。きみだってゲロとなり路上にしたたるために醸造されてきたわけではあるまいに……たとえカストリであろうともたとえ美味しんぼで罵倒されまくるドライビールであろうとも、誰かに呑まれるべくして誰かに醸され、誰かに缶へ注がれて誰かに購われてきたはずなのに……まあ私が呑んだところで結局は養分を腎で漉しとられて尿となり下水道へ去って行くのですが、それにしたって、放尿には快楽が伴うけれどもゲロは苦痛の一言ですよ。あまつさえ路上ゲロといったら、肉体的に辛いのに加えて恥ずかしいわ申し訳ないわでもはや吐きつつ立つ瀬もなかろう。胃の腑の解放感を補って余りある羞恥と罪悪感がきりきりと心しめつける。
酒にも巡り合わせがあるように、たとえ数日前の夜中いきなり私に絡んできたのと同じきみという人間であっても、あのとき私以外の人に絡んでいれば、もしかしたらきみは不幸なるきみではなく幸あるあなただったのかもしれんなあ。おめえのシュレーディンガーの猫入りボックスを観測したのがたまたま私だったことがきみの不幸であり、あなたの不幸であり、ひいては宇宙の不幸なのではないか? と思うと、あふれる愛憎の矛先が己だけで済むので楽だなあ
つまりすべては心のありよう次第であるということですわ
がっかりするほどふつうのオチだな 今度は日文ライフについて書く