「ヴ」の付く強い馬

こんにちは、ゆりかです。

今日は競走馬、サラブレッドのお話をしていきたいと思います。

「大魔人」と呼ばれた元・プロ野球選手の佐々木さんが愛した牝馬、ハルーワスウィート。

ハルーワスウィートは先天的に尻尾がない馬だった。

血統的にはグローリアスソング直子の孫と、かなりの良血馬。

キレイな栗毛色の馬体。

その身体つきが魅力的と感じた友道調教師は、尻尾がないものの、最初の預託馬として引き受けた。

普通、馬は疾走時に尻尾でバランスを取りながら、カーブを曲がると言われている。

が、ハルーワスウィートには、そうした感覚が備わっていないと考えられた。

現役時代は、ダート(砂)の短距離で活躍し、下級条件戦で5勝をあげた準オープン馬。

尻尾がない姿が愛らしく、ファンも多い馬であった。

佐々木さんもこの馬のファンだった。

「僕は尻尾のないハルーワスウィートという馬が現役時代から大好きでして、

あの馬の子供は全部ほしいんです。

(生産者の)吉田勝己さんが『こんだけ好かれたらしょうがない。佐々木君のもんだ』と諦めてるくらいに。

なので、その子供もずっと持ち続けていきたいですよ」

その言葉通り、2012年に馬主資格を取得した佐々木さんはハルーワスウィートの子を落札し、産駒5頭全て所有している。

繁殖牝馬ハルーワスウィートから生まれた3頭は、全てがG1馬(最高位のレースで勝った馬)となり、

特に、ヴィブロスは海外G1のドバイターフにも優勝し、一夜にして賞金約4億円を獲得。

しかし、馬を養っていくには、馬の餌となる牧草など多大な出費が免れない。

馬主の佐々木さんも決して楽ではないという。

ヴィルシーナ、ヴィブロス、シュヴァルグラン。

佐々木さんの馬にはいつしか「ヴ」が付くようになった。

ヴィルシーナ。青毛の牝馬。

馬名の由来は、ロシア語で頂点。

ヴィブロス。青毛の牝馬。

馬名は、ギリシャの地名ビブロスから。

シュヴァルグラン。栗毛の牡馬。

馬名の由来は、フランス語で偉大な馬。

これらの命名は佐々木さんの妻である、タレントの榎本加奈子さんによるもの。

強い馬には「ヴ」が付いていると、佐々木さんにアドバイスしたらしい。

武豊騎手に「2400mで世界一」とまで言われた金色の暴君・オルフェーヴル。

そのオルフェーヴルを、凱旋門賞(2400m)で負かした、フランスの女傑トレヴ。

これらが強い馬にあたるのでしょうか。

少々、話が脱線しますが、先程紹介したオルフェーヴル。この馬はヨーロッパ最大級のレースの一つ、フランス・ロンシャンの凱旋門賞に2度挑戦している。

中でも、トレヴがいなかった一度目の2012年のレース。

後ろから3、4頭目。外から栗毛の馬体が来たぞーーー!!!日本のオルフェーヴルだーー!!!!ッ

オルフェーヴル先頭だ!残り200m!先頭はオルフェーヴルだっ!

栄光まであと200mー!!!

最後の直線、誰もが勝ったと思った。

この試合を生中継で見ていた伯父によると、

どしゃ降りの雨馬場を走るオルフェーヴル。

その姿ははたから見てもバッテバテだった。

普通無表情に近い、涼しい顔で走るはずの馬が、その直線本当に苦しそうな顔をしていた。

横からジリジリ差をつめるソレミヤ。

ソレミヤは、現地フランスでも人気薄で、雨の日だけ強いことで知られる牝馬。

勝てるかどうか、オルフェーヴル!

ソレミヤ!!ソレミヤが迫ってくる!!!

オルフェーヴル、ソレミヤに僅かにかわされたかーーー!!

僅かに…、僅かにかわされたかー!

日本の夢がゴール直前で潰えたかっ!!!

そう、凱旋門賞は世界中から選出された、ジョッキーと名馬が競い合う祭典。

日本馬で、日本のジョッキーで勝つことが、競馬業界を代々担ってきたものの夢である。

「世界一」という称号を得るために!

しかし、伯父はオルフェーヴルが嫌いだった。なぜかは知らないが、嫌いだった。

人生は不条理なものである。

日本馬が、最も栄光に近づいたこのレース、

伯父はオルフェーヴルに勝ってほしくなかった!

食い入るように画面を見つめる伯父。

そこに映し出されたオルフェーヴルは、なんともひどい顔をしていたという。

まるで、バテバテの人間が息を吸うため、口を大きく開け、苦しみに顔を歪めているような。

その顔で必死になって走る、その姿が、よりによって正面アップのスローモーションで映し出された。

伯父の腹筋は崩壊した。

伯父は「なんというひどい顔をしているのだと、思わず笑ってしまった」と回想する。

その後、録画しておいたものをもう一回見て、オルフェーヴルの最後の直線、正面アップで画像を止め、また爆笑した。

オルフェーヴル、2着ッ!!!

ゴール直前まで、日本は夢を見ました!

残り50m!勝利を半分確信しました!

しかし!外から1頭、フランスのソレミヤという牝馬が、オルフェーヴルを交わしていきました、これが凱旋門賞です!!

(悔しさと落胆の入り交じった声)

これが世界の高い壁です!

最後は半馬身差………

正直言って、最初にこのレースを見た時、私はあと一歩だったのにといった感じで、悔しいと思った。

しかし、伯父の話を聞き、オルフェーヴルは雨の中で嫌々走ってるようだったし、すでにバテていたことを知った。

それを知った時、これは各々が十分努力した上での、必然的な結果だったのかもしれない、と胸が軽くなった。

引用した特徴的な実況は、情熱的で、聞いていて、とても面白いと思うので、ぜひYouTubeで聞いてみて下さい。