アインシュタインが1905年に発表した Elementary derivation of the equivalence of mass and energy 『質量とエネルギーの等価性の初等証明』 をもとにイメージを簡単に説明します。
いま、次のような系を考えます。 物体${\rm A}$が座標系${\rm K}$に対して空間に力を受けずに静止しているとすると、このとき左右にある光源${\rm S_1}$、${\rm S_2}$は各々$\frac{E}{2}$のエネルギーをもってそれぞれ$x$軸に平行な方向に進み、最後に${\rm A}$に吸収されます。この吸収によって${\rm A}$のエネルギーが$E$だけ増加します。物体${\rm A}$は対称性の理由により${\rm K}$に対して静止し続けます。 さて、同じ過程を${\rm K}$に対して一定の速度vで負の$z$方向に動いている座標系${\rm K'}$から眺めたとします(a)。その場合、${\rm K}$に関しては上の過程の記述は次のようになります。 物体${\rm A}$は正の$z$方向に速度$v$で動いています。二つの光源は今度は${\rm K}$に対しては$x$軸と角$α$をなす方向を持っています(b)。このとき$sinα=\frac{v}{c}$で表せます。 さて、${\rm A}$が光線を吸収する前後での運動量(公式:$p=mv=\frac{E}{c}$)について考えます。${\rm K'}$から見た吸収前の物体${\rm A}$の質量を$M$、吸収後の質量を$M'$とします。
${\rm B}$さんが静止している系を${\rm X}$系とし、速度$u$で運動する${\rm A}$さんと共にある系を${\rm X'}$系とします。${\rm A}$さんが${\rm X'}$系に対して$x$軸方向に速度$v$ で投げた運動するボールを考えます。そのボールの座標を${\rm X'}$系にいる${\rm A}$さんが見ると$(x',t')$、${\rm X}$系にいる${\rm B}$さんが見ると$(x,t)$とします。また、その時の${\rm B}$さんから見た速度を$V$ とすると
\begin{eqnarray}
\tag{5.3} v&=&\frac{dx'}{dt'}\\[8pt]
\tag{5.4} V&=&\frac{dx}{dt}
\end{eqnarray}
ここでローレンツ逆変換は
\begin{eqnarray}
\tag{5.5} x&=&\frac{u}{\sqrt{1-{\left(u/c\right)}^2}}t'+\frac{1}{\sqrt{1-{\left(u/c\right)}^2}}x'\\[8pt]
\tag{5.6} t&=&\frac{1}{\sqrt{1-{\left(u/c\right)}^2}}t'+\frac{u/c^2}{\sqrt{1-{\left(u/c\right)}^2}}x'
\end{eqnarray}
であることを使って、
\begin{equation}
\tag{5.6} V=\frac{dx}{dt}=\frac{dx'+udt'}{dt'+u(dx'/c^2)}=\frac{v+u}{1+uv/c^2}
\end{equation}
と導くことができました。
$u=15$万${\rm km/s}$、${\rm 20km/s}$、${\rm 30km/s}$ の3通りで特殊相対論における速度の加法法則を適応すると
図5-2のようになります。
―おまけ―
慣性質量と重力質量
運動方程式で表される質量は加速のされづらさとして定義されたものでした。慣性の大小を表す量であり、重力のない宇宙空間では質量は加速のされづらさの度合いから測定することが出来ます。
万有引力の法則から求められる質量を重力質量といいます。これは重力のある地上で地球から受ける万有引力が大きいほど質量が大きいものとして定義されています。
アインシュタインはこの二つの値が全く一致していることから等価原理を主張しました。
等価原理は座標系を運動させることによって局所的に重力の無い座標系(局所慣性系)を作ることができる、というものです。つまり重力と系の加速度による力が同じものであり、慣性質量と重力質量が等しいということでもあります。これは一般相対性理論につながる重要な考え方です。相対性原理を成り立たせるにはどの座標系でも成り立つように物理法則を定式化しなくてはいけません。このような座標変換に対して同様な式にすることを共変形式にすると言います。特殊相対性理論において、電磁気学などはローレンツ変換に対して共変な形にすることができました。しかし重力だけはできませんでした。それは万有引力の式には時間に依存する項が無いためローレンツ変換との相性が悪かったからです。これを解決したのは等価原理であり、局所的にローレンツ変換を適用できる慣性系が実現でき、その局所慣性系どうしのずれを重力による効果として、重力場を考えました。
では質量とエネルギーが本質的に等しいことをウランという原子を使って説明していきます。ウランという単語から原子力爆弾や原子力発電をイメージされる方もいらっしゃると思います。ウランは自然に存在している92種類の原子のうち最も陽子数が多い(重い)原子です。原子力を取り出す際にウランをよく用いるのは質量が大きいほど取り出すことのできるエネルギーは大きくなるというのが一つの理由です。 ウランには陽子92個と中性子143個のウラン235と、陽子92個と中性子146個のウラン238とがあります。 大きなエネルギーを生み出すことのできる核分裂反応に用いられるのは前者のウラン235です。ウラン235はウラン全体の中でわずか0.7%しかなく残りの99.3%はウラン238です。 ウラン235に中性子が1つぶつかって吸収されるとウラン235の原子核は不安定になり質量数が85〜105くらいの原子と150〜130くらいの原子の二つとあまりの中性子2つに分かれます。 このとき莫大なエネルギーが放出されます。(図5-3)
ここで1kgのウランが実際に核分裂したときのエネルギーを求めてみましょう。単純化のためにすべてのウラン(U)235原子はイットリウム(Y)95とヨウ素(I)139に分裂するという条件を付けます。(図5-4)